『ファクトフルネス』/ハンス・ロスリング他

悲観的になりすぎず、楽観的にもなりすぎず・・・。

「事実に基づいて世界を見ると、心が穏やかになる。」

そう信じたいし、実際にマクロで見ると事実はそこまで深刻でなかったりもする(勿論深刻なモノもあるかもしれないが、あくまで全体的な話だ)。

「事実に基づいた世界の見方をメディアに教えてもらおうなどと考えるのは、友達の撮った写真をGPSの代わりにして外国を観光するようなものだ。」

その通りである。だからこそ自分で考え抜くことこそ求められている。

<ファクトフルネスの大まかなルール>

1.分断本能

 さまざまな物事や人々は2つのグループに分かれていて、両者の間には決して埋まることのない溝があるはずだ、と思い込んでしまうこと。

⇨大半の人がどこにいるか探そう

2.ネガティブ本能

 人が誰しも持ち得る、物事のポジティブな面よりネガティブな面に注目しやすいという本能。

⇨悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておく。

3.直線本能

 グラフが直線を描くと思い込んでしまう本能。多くの人が「世界の人口は“ひたすら”増え続ける」と勘違いする原因にもなっている。

⇨直線もいつかは曲がることを知る(コブやすべり台もある)

4.恐怖本能

 人の目は自然と「恐ろしいもの」に吸い寄せられてしまうため、世界は実際の姿よりも恐ろしく見えてしまうという本能。

⇨リスクを計算する

5.過大視本能

 ある1つの数字だけを見て「なんて大きい(小さい)んだ」と勘違いするような、1つの実例を重視し過ぎてしまう考え方。

⇨数字を比較しよう

6.パターン化本能

 人は無意識に物事や状況をパターン化し、それをすべてに当てはめてしまうもの。 

⇨分類を疑おう

7.宿命本能

 持って生まれた宿命によって、人や国、宗教や文化の行方は決まるという思い込み。

⇨ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう

8.単純化本能

 世の中のさまざまな問題に対し、1つの原因と1つの解答を当てはめてしまう傾向のこと。

⇨一つの知識が全てに応用できないことを覚えておこう

9.犯人捜し本能

 何か悪いことが起きたとき、単純明快な理由を見つけたくなる傾向のこと。

⇨誰かを責めても問題は解決しようと肝に銘じよう。

10.焦り本能

 目の前に危機が迫っていると感じると、すぐに動きたくなる本能。

⇨「今すぐに決めなければならない」ことは滅多にない、と知ること。むしろ極端な予測に惑わされず、時間をかけて正確な情報やデータを収集し、冷静な分析に努める必要がある。小さな一歩を積み重ねよう。

全てのファクトフルネスが大事だと思うが、「焦り本能」は特に大事だかもしれない。

例えば、今でいうと景気悪化。

会社によっては倒産や大幅な失速が免れないため、「すぐに動きたくなる衝動」が止まらないだろう。しかし、どんな状況でも自分自身を知ったり、会社を調査するなどしてよく状況を見極めることが大事になる。

勿論、データ分析などをしたところで調査したところで成功するかはわからない。しかし、「本能」として「焦り」があると承知した上で、自分自身の「抗えない本能」と闘うことが大事になるのではないのではかと思う。

これは「性欲」に関しても似たような印象を抱いており、最近は「性欲に振り回される人生」は大きく間違っている気もしている。高城剛のメルマガでも「遺伝子を治療してでも性欲に立ち向かうべき」とも取れるQ&Aの回答が最近あった。

つまり本能のまま生きることは、あらゆる面で現実を損なう可能性がある。

人生にはあらゆる迷いがあるかもしれないが、まずはそれらを冷静に見るために、ファクトフルネスから始めてみるのはいかがだろうか?


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