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マジシャンが心得るべき『サーストンの三原則』って?/Vol.3/他の業界にも応用できる考え方

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前回の記事


前回の記事『マジシャンが心得るべき『サーストンの三原則』って!?Vol.2』では二つ目の法則『同じマジックを繰り返し演じてはならない』ということについて書きました。

タネ明かしをしてはならない


今回は3つ目の法則、『タネ明かしをしてはならない』について考えてみましょう。

『タネ明かしをしてはならない』


これは当たり前のことなので説明しなくても理解していただけると思いますが、ことの重大性は一般的に思われている以上なので、一応細かく書いておきたいと思います。

まず、一度タネを明かしてしまうと、あなたが同じマジックを演じてもその人たちを沸かすことができなくなってしまいます。

種を明かさなければ、

「ねえ、この前見せてくれたあのマジック、この子たちにも見せてよ!」


と言われるはずのところが、種を明かしてしまうとそういう潜在的な機会がことごとく失われてしまいます。

魔法がただの手品に成り下がる瞬間


また、しつこく種明かしをせがまれると思わず、

「教えてあげないと意地悪みたいに感じられちゃうかな。教えてあげたらみんな喜ぶかな」


という誘惑に駆られてしまうものですが、真実は全くの逆です。

しつこく迫ってきた人に種を教えた瞬間、感動どころか、

「なーんだ、、、そんなことか、、、つまんないの」


という落胆の声と、冷ややかな視線が返ってくるのが常です。

種を知らなければ「ちょっとした魔法」なのに、知ってしまうと「くだらないタネの手品」という印象になってしまうのです。

タネは、マジックの構成要素のごく一部に過ぎない


なぜかというと、あなたが演じたマジックの構成要素の中で「タネ」は実際にはごく一部にしかすぎないのにも関わらず、一般的に人は「マジック=タネ」というシンプルな構図で認識しているからです。

あなたはその「ちっぽけなタネ」に、動きとセリフ、全体の構成、演出を加えて魔法を再現する総合芸術を見せていたのです。

それなのに、相手に教えるのは「ちっぽけなタネ」だけですから、それはガッカリして当然なのです。

「こんなくだらないタネを、どうやってあんな魔法みたいに見せたか、プレゼンテーションの組み立て方をみんなに教えようか?」


とでも言えば、本来の価値が伝わるのかもしれませんが、気軽に「タネ教えてよー」と言ってきた人がそんなことを望んでいるはずはありません。

どうせタネは明かしてもらえないだろうなと思いつつ、おきまりのセリフとして言っているだけなのです。相手をがっかりさせないためにも、無駄な種明かしはやめましょう。

あなたは謎を秘めているか?


「秘密を抱えたあなた」に魅力が宿るのです。
たった一つのタネを明かしてしまったことによって、その他の多くのマジックについても

「どうせ大したタネじゃないんだな、きっと。」


の一言で片付けられてしまうようになります。

種明かしをしたマジックをはるかに凌駕する別次元の演目を持てるようになれば話は別ですが、そうなったとしてもタネ明かしはしない方が賢明でしょう。

その理由は ↓ 

たった1つのタネ明かしの被害が世界中に波及する



ここから先は少し視野を広げて考えてみましょう。

あなたが種明かしをしてしまうことによって多くの人がタネを知ってしまうと、たまたま他の人が同じマジックを披露しようとした時に

「あ!それ知ってるよ。この前友達に教えてもらったもん。」


と言われて残念な思いをしてしまうのです。

マジックの世界は独特で、ひとつのタネ(原理)をアレンジしてたくさんの作品が生まれます。

そして、核となるタネ(原理)は世界中のマジシャンの共通の財産なのです。

ですから、安易に種明かしをすることは、世界中の同志を裏切る行為になってしまうのです。

そんなの、マジシャンの都合じゃん!


と思う方も多いと思いますが、一度タネを聞いてしまった観客は、2度とそのマジックを楽しむことができなくなってしまうのです。

被害者は秘密の共有財産を漏洩されてしまった世界中のマジシャンたちだけでなく、人生から魔法を体験する機会を失ってしまったその人自身でもあるんです。

タネ明かしをしても良いマジック


もちろん、多くの方にマジックの魅力に触れていただくために、一般的に教えても良い簡単なマジックもたくさんあります。

そういったものは、一般の方が気軽にマジックを楽しむために各自の判断で教えることは良しとされています^0^

ただ、マジックを楽しんでくれそうな方だけに教えるようにしましょう。せっかく教えたのに

「なーんだ、くだらねぇ!ビックリして損したわ。」


なんて言われるのは残念ですし、教えた相手がマジックを楽しんで他の人に演じてくれるのならまだしも、

「やっぱりくだらねぇタネだった。マジックなんてそんなもんだよ。」


などと言って回ったりしたら、残念ですよね(>。<)

基本的に、

「わたしもあなたのように他の人を楽しませたいから、どうか教えてください!」


という方限定で教えるのが懸命です。


意外性を奪ってはいけない


さて、3回にわたって3つの原則について書いてきました。

おさらいしてみましょう。

1:これから起こる現象を、先に説明してはならない
2:同じマジックを繰り返し演じてはならない
3:種明かしをしてはならない


これらすべての原則に当てはまることがあります。

それは、観客から「意外性」を奪ってはいけないということ。

マジックとは実際に展開されている現実と相手の認識の間に意図的にギャップを生み出し、そのギャップが意外性となり、驚きに繋がるものです。

みんなを楽しませるためにも、観客から「意外性」を奪ってはならないということですね。

プロマジシャンで活躍する方々は、マジックに関してだけでなく、普段の生活でも「意外性」を巧みに使って(相手にはそれと悟られず)仕事を得る術、人間関係を円滑に進める術を心得ているものです。

芸の道を選んだが最後、手先の技術だけでなく人生全てが修行になるわけです。

逆に、そういう人生を歩むことを楽しめない人は、「ただマジックが上手い人」で終わってしまうとも言えるかもしれません。

以上、マジックの基本中の基本、『サーストンの3原則』についてでした。


マジシャン以外の方々の日常にも溢れる同様の現象


おまけとして、皆様の日常に起こりうる似たような現象について少しだけ ↓ 

1:必要以上に情報を出しすぎることによって、自らの魅力を剥ぎ取る結果になってしまう。


これは恋愛でも、ビジネスでもよくある話ですね。人は誰でも自分の知らない世界に興味を持つものですが、詳しく知ってしまったことで嫌気がさしてしまうことも多いものです。

もちろん、惜しみなく情報をさらけ出すことで深い関係に発展することもあります。

大切なのは「なんでも100%伝えれば良いのだ!」という盲目的で自分勝手な考えに囚われていると、良かれと思って伝えたことによって相手を失望させる結果になるかもしれないということを理解した上で総合的に判断できることではないでしょうか。

2:1回で全てを出し切ってしまうので、底が見えてしまい長期的な人間関係にならない。


これもありがちな人間模様です。

人は、底が丸見えの人よりも、底が見えそうで見えない人に惹かれる傾向にあります。

変に謎の人ぶるのはキモチ悪いので絶対にやめた方が良いのですが、相手との距離感を考えずに何でもかんでも自分の考えや価値観、感情をぶつけてしまい、結果的に相手に引かれてしまったり、底の浅い人間だと判断されてしまったりするケースがあります。

相手との付き合いの長さや距離感を考えずに、自分の人間性を全てさらけだすことは、心の世界でいきなり全裸を見せつけるようなものです。自分のことを知ってほしいという気持ちはわかりますが、果たして世の中の多くの人は、いきなり全裸になられて喜ぶのでしょうか?

(この辺りの人間関係の間合いに関しては、以前執筆した電子書籍『間法の科学 〜心の距離感をマネジメントする軍師の眼〜』にまとめています。興味のある方はチェックしてみてください。)

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
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漫画家の妻と娘/仕事はVIP顧客を中心とした非公開な場での魔法がメインですが、プライベートでも『魔法紀行』『魔法通貨』など魔法中心の生活をしています/魔法科学者として人の心と場の空気の研究も。/NPO法人スーパーダディ協会常任理事。気づけば毎日8時間は娘と一緒にいる最近。
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