2023年10月某日 〜台灣生活日記〜

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

「土佐日記」紀貫之

と言うのは、あまりに有名な「土佐日記」の冒頭。
noteで度々拝見する日記というものを、私もしてみむとてするなり。

というわけで、2023年10月某日の日記です。

■10月某日　マシンピラティスを習い始めた

新しく個人レッスンのマシンピラティス教室へ通い始めて、今日で3回目。中国語学習もかねて中文のみでレッスンをしてもらっている(先生は日本語も英語もしゃべらない方)。教科書では習わない単語ばかりで、言われたことをすぐに理解することができない。出て来た動作を表す中文をLINEで送ってもらうためご面倒をおかけしている。私が一回で理解できないとどんどん声が大きくなる先生なので、彼女が私より先に音を上げないか心配。
マシンピラティス自体はとても気に入っているので、購入したチケット分は頑張って続けよう。

■10月某日　朝からずっと眠い

一日中一度もちゃんと覚醒してないんじゃないか？っていう日が何日も続いている。脳みそが腐るんじゃないかと不安になる。
眠りが浅いからだ。このままではいけない。
良質な睡眠のためにできることを検索したり等する。

■10月某日　エキストラ

14:30、あまりの眠気に仕事が手につかない。仕方がないので会社の周りを一周してこようと思いエレベータで下まで降りた。
会社ビルの正面玄関を出て右折すると、長身の若人がこちらを向いて立っていた。
「私のこと待ってたの？(中国語)」
後頭部からはっきりと声がしたから、妄想のあまり己が発したかと錯覚したが、声の主はエレベータに乗り合わせた長身の女性だった。
(さすがモテ女は言うことが違う。)
そんな彼女に彼は微笑み、見つめ合う。

人の頭越しに何やってくれとるんだ、一体。
恋する二人に、私というエキストラは視界に入らない。
お陰で目が覚めた。

■10月某日　ドラマ「いちばんすきな花」

Tverで見る。登場人物一人ひとりに共感する部分があり心をえぐられ、毎回泣いてしまう。
子供の頃から、同じものを見たり、体験したりしても違う視点、感情を持つことが多く、物理的に一人でないのに心理的に孤独になることが多かった。
興味を示し、良い意味で面白がってくれる人もいたけど、昔付き合っていた人に「もっと普通な感じのこと言えないの？」と言われて落ち込んだことを思い出した。その人とは短く終わったけど、私の時間を無駄にせずに済んで本当に良かった。

■10月某日　やはり只者ではなかった

珍しく赴任者の一人と食事に行くことに。
その方は非常にクリエイティブなご趣味をお持ちで、写真ではあるものの、作品を詳細に見せていただくためだ。
雰囲気からもともと只者ではないと思っていたけれど、やはり只者ではなかった。

「大友克洋の『AKIRA』や初期の鳥山明の世界観に似たものを感じます」と感想を言ったら、「それはとても良い指摘で、僕自身も初期の鳥山明の世界観が好きなんですよね。旧友からも同じような分析をされました。」とお褒めの言葉を頂戴した。
「これほどまでに時間も労力もかかることだから、本当に好きでないとできないはずなのに、話し方が熱を帯びてないのは何故ですか？努めて感情を抑えようとしているように見えます。」と言ったら、「そういう感情を全開にして話している自分が気持ち悪いと思うんです。」と言われて、その気持ちが分かり過ぎたけどうまく言えなかった。まぁいい。

■10月某日　秋天

台湾でも秋が来たと聞いているが、10月後半と言うのに暑い。
分かってはいたけれど、人生でこんなに長い期間真夏日を経験したことはなかったので、身体に疲労が見える。
そのせいで毎日眠いのかなぁ。日本の秋が懐かしい。

■10月某日　映画「君たちはどう生きるか」

映画館で観る。
日本語音声に中国語字幕。
登場人物の呼び方を中国語ではこのように表現するのだなぁ等と興味深い。
受け手によっていくらでも想像、考察ができてしまう作品であるが故に、見終わった後もぐるぐる考えてしまい、なかなか映画の世界から抜け出せなかった。
台湾へ来て、映画館で映画鑑賞するのはこれで2回目だが、上映中も「わぁ！」という歓声や笑い声も普通に聞こえるのにはちょっと慣れない。
映画の内容にも勿論依るのだけれど、没入したい私としては日本の鑑賞スタイルの方が性に合っているなぁと思う。

■10月某日　ゴシップ

職場で身近な存在の子が、しばしばお昼に別の部門の男性と待ち合わせているのを、いつも微笑ましく見ていた。
バレバレなのに、その子は隠しているつもりなのがかわいい。

と、思っていたら、お相手の男性は私の友達にもアプローチしていて、最近まで何度もデートしたことがあって、その期間がかぶっているのだということを聞いた。(その友達は思い切ってその男性に聞いてみたらしい。)
微笑ましく見ていたものが、一瞬にして社内ゴシップに変わってしまった。

女の子二人とも、その男性以外と幸せになってほしい。