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Vol.14 「土と一緒にこころを耕す」地域への愛着の育み方

2019年度に1億円だった美唄市のふるさと納税の寄付額が、2020年度には11億円と増加率で道内トップ。この数字は人口2万人の市町村にしては、かなり大きな数字です。

そんなふるさと納税の返礼品の上位を占めているのが、お米を中心とした農産物です。

今では美唄の中心的な産業である農業。しかしずっと前からお米や野菜の栽培に適していたわけではありません。たった150年前は食物が育たない、泥炭層が広がる荒地だったのです。そんな土地を先祖たちが命がけで土壌改良や施策を重ねてきて今があるのです。

「農業を知らずして、美唄を語れない!」ということで、実際にお手伝いをさせていただきました!(というよりも”いただいた”だけだったかも)

お米ー田植え

日本一おいしいお米を選ぶコンクールで金賞を受賞したこともある美唄のお米!着任してすぐ、田植え(15cmほどに成長した苗を、田んぼに移植する作業)を体験させてもらいました!

やっぱり本州(特に僕が住んでいた神奈川)の田んぼとはスケールが違う。美唄の西側エリアには田園地帯が見渡す限り広がっているのです。

田植えと言うと、腰を曲げて苗を一つずつ植えていくイメージがある方もいらっしゃると思いますが、(お恥ずかしながら僕も一部信じていました笑)莫大な広さの田んぼに何週間もかけて手で植えているわけではないのです。現在では、田植え機を使って等間隔で植えていきます。人生ではじめて田植え機に乗せていただき、そこから見える田園風景が最高でした。

不器用ながらも一緒に汗をかくということ

とは言え一部積み下ろしなどの作業があり、人手が必要な田植えの時期と稲刈りの時期には、家族や親戚が手伝いに集まるそうです。僕が行った日も、サラリーマンをされている兄弟や本州にいる親戚の方が来ていました。普段遠くにいる人たちと、年に数回でも一緒に作業をする機会があるというのは、すごく良いコミュニケーションにもなっていると感じました。

午前中いっぱいだったので、お昼にと美唄名物のとりめしをいただきました!

アスパラガスー収穫

美唄はアスパラの生産も盛んで、アスパラを食べている羊もいるんです!

市がやっている移住者交流会の企画でアスパラ刈りに参加をしました。農家さんからアスパラの育て方や特徴を伺った後、実際に収穫へ。馴染み深い野菜でもどんな感じで生えているのか意外と知らないものですよね。生で食べられるとのことで、そのままいただきます!

一日で10cmほど伸びるということもあるらしい!

うん!(お察しください笑)

収穫体験のあとは、採れたてのアスパラを使ってBBQ!美味しいご飯を通して、他の移住者たちとの交流を楽しみました。

個人的には焼いたほうが好き笑

普段食卓にならんでいる食材たちはいくつものプロセスを踏んでいて見えにくいけれど、ついさっきまで土から生えていたものがダイレクトに体に入ってくると、自分も地球の一部なんだなと感じました。人だけでなく地球とのつながりも感じられた一日でした。

ハスカップー収穫

僕が地域おこし協力隊として担当しているシティプロモーション事業では、美唄の若者11人と委員会を立ち上げて事業を進めています。その委員の中に農家さんがいて、家になっているハスカップの収穫をお手伝いさせていただきました。(委員会の詳細はこちらをご覧ください)

ハスカップというのは不老長寿の実と言われる、ブルーベリーに比較的似た酸味が強い果実です。あまり馴染みがない方が多いと思うのは、ハスカップの実がやわらかく潰れやすいため流通に適さないことが主な理由です。

意外と採るのが難しい

ハスカップを採りながら、農家さんとしての活動やまちへの想いを聞かせていただきました。はじめは少し寡黙な方かなと思っていたのですが、手を動かしながらもたっぷり対話をすることができました。会議室で向かい合って話すとどうしても話しにくいことも、同じ作業をやりながら同じ方向を向いているとすごく話しやすいのです。そして自然の中にいると、何故か素になるのです。

自家製のハスカップジュースをいただいたり、帰り際には絶対に自分がとった以上のハスカップを持たせてくれました。

「もらったハスカップでジャムを作ったら吹きこぼれた」

農家さんももらってもらうことが嬉しいと言ってくれて、なんていい関係なんだろうと、すごく温かい気持ちになりました。(僕は初めての体験もさせていただいて、まちのことも教えていただいて、ハスカップに加えて野菜もいただいて、、)何かすぐにでもお返しをしたいと思ったけれど、見返りを求めているわけでは決してないし、活動を通して少しずつでもお返しできたらと思っています。

農業(Agriculture)を通して、心を養う(Cultivate)

農業は経済的な価値以外にも、協働体験を作るという意味でも価値があると思っています。

莫大な土地に予測できない気候の影響なども相まって、一人で管理することはできないので、親戚だったり、地域の人と支え合っている。その中で他者と共同して何かを作る大切さ、喜びが原体験として作られていく。

その感覚を持っているか、いないかでその人の人間関係に大きな影響を及ぼすと思っています。一人でできることは限られていて、みんなで一緒に作り、その喜びを共有できるということはすごく豊かなことではないでしょうか。

土と結びついた経験が地域への愛着を育む

私たちはどんどんと土地に縛られなくなってきています。それは自由が広がるという意味ですごく良いことだと思います。

その一方で、地域での身体を通した経験の喪失によって、地域への愛着も失われていっているのではないか。一度まちを離れた若者が、その後全く関わらなくなってしまうことと無関係ではないと思います。身体を通して経験したことは、頭で考えたことより圧倒的に深く刻まれています。

僕の原体験にあるのは、幼馴染とザリガニを釣りに行って池に落ちたこと、
近所のあばあちゃんたちの犬の散歩に連れてもらったこと。

地域でのこういった経験があるから、いつか地元に戻りたいと思う。そうやって誰かの顔が思い浮かび、具体的なシーンがイメージできることが自分のモチベーションにもなるし、地域への愛着につながっていくんだと思います。

土地から開放されている中でも、身体をともなった経験をできるところが身近に溢れているということこそが地域の強みであると思っています。

農が地方創生のカギ!?

協働する喜びを知っているか、身体を通した原体験があるかが、地方創生にとって一つのカギになってくる。それらはもはや最終的に目指す、個人の幸せに直接的に結びついているのではないかと思っています。

豊かなこころを育むことこそが、一番の地方創生、そしてそれを超えて良い社会をつくると信じて、活動をしていきます!


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