【エッセイ】思ったことは口に出した方がいい
ここで言いたいことは、相手を傷付けるようなことを言ってもいいということではない。
自分に優しくしてくれた人。
何で?って疑問に思ったこと。
我慢しすぎて辛くなった気持ち。
そんな感情はため込まない方がいいって気付けた。
今日またスタバに行ってみると、私の目の前に立つ女性がとても素敵なファッションをしていた。
「おしゃれですね」と声をかけた私。
突然声をかけられた女性は驚いていたが、すぐに素敵な笑顔になって
「ありがとうございます」と返してくれた。
「思ったことは口に出すことにしているんです」
私がそう続けると、スタッフさんも「すっごくいいですね!」と声をかけてくれる。
「今日、とてもいい日になりました」
と女性に言われた私も、すごくいい気持ちになった。
私は「なぜあの時声をかけなかったのか」という後悔が多い。
素敵な人や、優しかった人に声をかければよかったと思ってしまうのだ。
こんな風に思えたのにはきっかけがある。
20代前半。
接客業をしていた私に、いつも声をかけてくださる女性がいた。
年齢はたぶん、70代くらいの方だったと思う。
いつも寡黙なご主人とお2人でいらっしゃっていて、笑顔がすごく素敵な方だった。
異動が決まった際に
「3日後に異動になりました。よくして頂いてありがとうございました。」とお伝えした。
異動日前日。
「あなたの笑顔が見たいから走ってきちゃった」と、少女のような可愛らしい笑顔でレジまで来て下さり、和柄の手鏡を渡してくれた。
本来であれば、お客様から金品を頂いてはいけないのだが、私が涙をこらえきれなくなっていたので、店長が特例として許してくれた。
10年以上過ぎた今でも、手鏡は大切に使っている。
私が親族以外で憧れた、初めての人。
お名前も知らないし、どこに住んでいるのかも知らない。
それでも、あの素敵な笑顔はずっと私の心に残っている。
今日会ったおしゃれな女性も、おそらくこの先の人生で会うことはもうないと思う。
でも、彼女にとって、今日という日が素敵な1日になれたなら、私はすごく幸せなのだ。
情けは人の為ならず。
私はこの言葉が大好きだ。
「情けは人のためにならないから、相手にもっと努力させなさい」
という意味では決してない。
本来の意味は「誰かに優しくすることはまわりまわって自分に返ってくる」というもの。
本当にそうだと思ってる。
余談だが、我慢という感情も良くない。
自分を押し殺して、「私が我慢していれば」という気持ちを持ち続けると、いつか大きな波になって自分の身体を蝕む。
良い感情も負の感情も抱き合わせて、自分の心に正直に生きていきたい。
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