【レポート】『私たちはこうやって起業した!~女性起業家編~』 -前編-
先日、2023年11月30日に、『私たちはこうやって起業した!~女性起業家編~』と題し、株式会社タスカジの代表 和田幸子氏をお招きし起業秘話をお話しいただきました。
前編、中編、後編の3部形式でお届けいたします!是非、ご覧ください★
登壇者の紹介
●株式会社タスカジ 代表取締役社長 和田 幸子氏
1999年 横浜国立大学経営学部を卒業し、富士通株式会社に入社。
システムエンジニアとしてERP製品(会計・人事給与システムなど)の開発に従事。
2005年 企業派遣制度にて慶應義塾大学経営管理研究科(MBA)に留学。
その後、ERP製品のウェブプロモーション、中小企業向けクラウドサービスの事業立ち上げのプロジェクトリーダーを務める。
2008年 第一子を出産後、フルタイム勤務で復職
2013年10月 自身の課題でもあった共働き家庭の「新しいライフスタイル」実現に必要な社会インフラを「ITを活用して作る」べく、富士通株式会社を退職。
2013年11月 ブランニュウスタイル株式会社を設立
2014年7月 家事代行サービスマッチングプラットフォーム「タスカジ」をオープン
受賞歴等
■一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事
■東京都「東京の中小企業振興を考える有識者会議」委員
■日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018「働き方改革サポート賞」受賞
●オクシイ株式会社 代表取締役 髙田 麻衣子
1999年大阪市立大学を卒業後、株式会社スペースデザインにて仕入れ、企画開発、販売、リーシングなど現場業務に従事。その後株式会社テイク&ギヴ・ニーズにて新卒・ウェディングプランナーの採用に携わったのち、トーセイ株式会社では、女性初の管理職として広報・IR、経営企画、マーケティング業務を経験。
組織内でのキャリアアップを目指す傍ら2人の育児を両立させることの大変さから「子育てにゆとりと笑顔を生み出す『新しい働きかた』を実現したい」と、2014年にオクシイ株式会社を設立し、保育付きシェアオフィス「マフィス」を立ち上げる。
対談に至った経緯
髙田:
オクシイでは、起業を考えている方々に向けて様々な業種の方をお招きし起業秘話や当時のお話しなんかを対談形式のセミナーでお届けしています。今回が第三弾となるのですが、第一弾が弁護士編、第二弾が建築プロデューサー編、そして今回の第三弾が “女性起業家編” ということで、タスカジの和田様にご登壇いただくことになりました。
私と和田さんの共通点として、「子育てと仕事の両立支援」という形での社会課題の解決をテーマに起業していることと、さらに私も和田さんも、非常に初期投資が必要な事業をやっているということで今回はいろいろ面白いお話しが聞けるのではないかと思い、登壇のオファーをさせていただきました。改めて本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
学生時代に共同起業して失敗した経験は、後にタスカジをつくるにあたってどのような学びになった?
髙田:
早速最初の質問に入らせていただきますが、大学院時代に同級生10人と共同起業したものの、その時は失敗に終わったと過去のインタビューでお話しされていましたが、そのときの失敗は後にタスカジを作るにあたってどのような学びになりましたか?
和田:
これはホントに学びしかなかった、という時期ですね。そもそも共同起業することになった仲間とは、新卒で入社した富士通でERPの会計システムの開発に携わって数年経った頃、MBA(経営学修士)を取得するために通っていた大学院で出会いました。もともと新規事業の立ち上げに興味を持っていたこともあって、これはチャンスだと思い、大学院で知り合った同級生と起業しました。当時は仲間がたくさんいればいるほど良いに違いないと思い、10人で立ち上げました。
ですが、全然仲が悪いとかではないのですが、起業のテーマを話し合うときにいろんなアイディアが出てきた中で、最終的には自分がやりたいと思うこととは違うテーマに決まったんですね。そのテーマについて興味はあったものの、私自身の怒りを伴うほどの課題を解決してくれるサービスかと言われるとそこまでではなく、何となく面白いぐらいに感じるテーマだったこともあって、どうやって資金調達をしていくかとか、ハードルを越えなければいけない場面に直面した時に、少し気が重く感じてしまったんです。
その時までは新規事業であれば何でもいいと思っていたのですが、やっぱりテーマってとても大事なんだなってその時に気付きました。次は、自分の人生の大切な時間を投入してもいいと思えるぐらい自分の課題に紐づいている事業で起業しようと思い、失敗から7~8年経ってようやく今の会社を起業したという感じです。
髙田:
わりと女性は、自身の課題解決を起業のきっかけにすることが多いなと思っていて。逆に男性の場合は市場ニーズやマーケットサイズっていうものを客観的に意識しながら起業される方が多いように感じています。あと、女性の場合はよっぽど何かこう自分達の時間を捻出する程の思いを形にできるようなもので起業しないと本気になれないっていうのがあるのかもしれないですね。
和田:
結構そういう感じが強かったですね。
髙田:
うん。
和田:
ただ、逆にそういう強い思いを持って起業したからこそ、そのエネルギーだけで最初の5年ぐらいは頑張れたかなって思います。
髙田:
分かる。なんかみんなバタ足してますよね。やっぱり最初の数年間はお金がどんどん目減りしていくので。
和田:
マネタイズすることがすごく難しいので。そこで潰れてしまう会社もたくさんあると思うんですけど、起業は資金繰りさえきちんと回っていれば会社は潰れないものなので、無理にたくさん投資しなければ、ちゃんと続いていくなというのはやってみて思いましたね。だから、ずっとねちっこくやり続けられる方が勝つんだなって思います。
タスカジを世に広げるにあたって、広告を出すよりもメディアへアプローチすることを重視した理由は?
髙田:
はい。じゃあ、次行きます。
タスカジを世に広げるにあたって、広告を出すよりもメディアへアプローチすることを重視したと答えている記事を見かけましたが、どうしてメディアへのアプローチに力を入れたのか教えてください。
和田:
ありがとうございます。めちゃくちゃ読んでいただいていますね。
そう、依頼者さんの獲得に関しては殆ど広告を出さずに今までやってきているんですけど、なぜかというと、初期の頃は家事代行を利用するという文化そのものがほとんどなくて、みんな使いたいけれどどう使ったらいいかも分からないし、そもそも使うことで罪悪感を感じるっていう価値観が今よりもずっと蔓延していたんです。あと仮に家事代行サービスを使っていたとしても、周りの人には使っていることを内緒にしていたり。
髙田:
セレブぶってるって思われるんじゃないかとかね。そういうのはたしかにありましたよね。
和田:
そういう時代だったので、家事代行サービスを使うことによってその先にどんな人生が待っているのかとか、なぜ使うのかとか、そういうライフスタイル作り?文化作り?をしないといけないなって思った時に、やっぱり自社だけで発信してもどうしてもポジショントークになっちゃうじゃないですか。なので、メディアとか第三者の視点から客観的な情報として提案していかないと定着していかないと感じたので、マーケチームよりも先に広報チームを作って広報アプローチから始めたっていう流れですね。
髙田:
今もすごい力入れられていますもんね。
和田:
そうですね。たしかに今もこちらから様々なアプローチはしていますけど、でもどちらかというと毎日のように色んなメディアさんから取材したいっていうご連絡をいただくことの方が多くなってきたので、最初のメディアアプローチはうまくいったかなと思っています。
起業前に会社員経験を積むことは大切?
髙田:
次の質問に行きます。
いま、大学在学中に起業して会社勤めの経験を積まないまま初めから社長になる方が増えているイメージですが、それに対してはどうですか?和田さんは富士通という大企業で十数年勤めていた経験がありますが、起業前にサラリーマン経験を積むことは重要だと思う?
和田:
そうですね、私の場合は起業前に会社員を13年くらい経験しました。やっぱり社会人経験を13年も積むとそれなりに幅広く仕事ができるようになっていたので、全く聞いたこともない、全然分からない、というような分野が殆どない状態で起業ができたのは大きかったかもしれないです。その分失敗するリスクも減らせたんじゃないかなって思います。だけど、どのタイミングで起業するかなんて本当にその人次第なので、一番やりたいと思うタイミングで起業するのがいいんじゃないかな。やっぱり若ければ若いほど、エネルギーや寝ないでも考えられる体力など、ちょっと違いますよね。
髙田:
全然違いますね。あと、自分が独り身だととことん仕事に時間を費やせたり、色々ですよね。
和田:
そうですね。子供がいると、やっぱり子供の学費のためのお金をちゃんと残しておかないととか、考えなくちゃいけないことが増えるので。そういう意味ではプライベートが複雑になりますよね。
髙田:
わかる。仕事が乗りに乗っていたとしても夕方には一度家に帰って子ども達にご飯を食べさせたり寝かせたりしないといけないとかね。そこからもう一回仕事に戻るってなかなか気合いと根性の要る作業になるので、やっぱりこう24時間をどう回すのかっていうのが全然変わってきますね。
和田:
それはもう男性も女性も多分同じで。どのタイミングが自分にとって一番心地いいのかっていうことなのかなと思います。私の場合は大学生の時に、社会人になってちょっとしてから起業したら楽しそうっていう風に思い始めたんです。大学生というそのタイミングでは私はまだ起業できないって思ったんですよね。結果的にいまの会社をつくったのは37歳のときだったので、そこまでリスクが高いことはなかったと思います。
髙田:
実は私も34歳の時に初めて独立したいなと思ったんですけど、そこからやっぱり3年でした。ちょうど3年後の37歳で私も独立をしました。人それぞれですね。
和田:
何かあるんですかね。でもこの世代で起業している人は、結構多いですよね。
髙田:
確かにね。で、割と子ども達が同世代であることも多いですよね。出産・子育てがトリガーになってる気がします。
和田:
子供がちょっと大きくなって4歳5歳ぐらいになってくるタイミングだったり、30代後半っていう年代って、ライフステージが変わるタイミングなのかもしれないですね。
髙田:
あと、40代に入ると今度は圧倒的に体力とか何かちょっとこう女性系の具合の悪さみたいなものが結構でてくる。なので30代はオススメです。
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