前島賢

前島賢:ライトノベル&SFライター。 著書「セカイ系とは何か」。大樹連司名義で小説も。

前島賢

前島賢:ライトノベル&SFライター。 著書「セカイ系とは何か」。大樹連司名義で小説も。

マガジン

  • 前島賢の本棚晒し【復刻版】

    電子書籍サイト「ebookjapan」にて2014年~2016年まで掲載されたライトノベル書評連載『前島賢の本棚晒し』を復刻したものです。 現在週1回1記事ずつ更新中で、購入後も記事が追加されていきます。 最終的に全120回、総分量にして新書約3冊分の記事が収録される予定です。 ※全記事更新完了後に、価格改定を予定しています。

最近の記事

前島賢の本棚晒し【復刻版】18:鏡貴也『黙示録アリス』

 どこの業界にも共通する問題だろうが、コアなファンや評論家が褒める作品と、実際に売れてる作品というのはなかなか一致しない。  ライトノベルなんて、特にこの乖離が激しいというか、ネットに上がる書評・感想の数と、売り上げが反比例してるんじゃないかと思う時があり、ライターとして反省することもしばしばであるorz。 『伝説の勇者の伝説』や『いつか天魔の黒ウサギ』といったベストセラーで知られるライトノベル作家・鏡貴也も、まさにそれゆえに読み逃してしまっているファンが少なくないのではな

¥150〜
    • 前島賢の本棚晒し【復刻版】17:富野由悠季『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

       GレコのGは元気のGだ!  小生は、富野由悠季監督のアニメが本当に大好きでありまして、『ガンダム Gのレコンギスタ』のおかげで毎日、元気でいられる昨今。ウェブの片隅から富野御大を応援すべく、今回は、この作品を紹介したい。  偉大なるアニメ作家・富野由悠季は、みずから手がけた『機動戦士ガンダム』シリーズのノヴェライズをはじめ、多数の著作を持つ小説家としての顔も持つ。本作は、なかでもとりわけ評価が高く、「小説としての最高傑作」に推す人も少なくない作品だ。  物語の舞台は、映

      ¥150〜
      • 前島賢の本棚晒し【復刻版】16:比嘉智康『転醒のKAFKA使い』

         下校時の道草のみにスポット絞った異色ラブコメ『神明解ろーどぐらす』や、まったく泳がない水泳コメディ『泳ぎません。』と、いつもその独特の発想で楽しませてくれる比嘉智康。  その久々の新作となるのが、   https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/237245/A000262679/  主人公は、「aBis」というライトノベルシリーズを展開中の高校生作家、周防崇。  こう書くと、伏見つかさ『エロマンガ先生』や時雨沢恵一『男子高校生で売れっ子ライ

        ¥150〜
        • 前島賢の本棚晒し【復刻版】15:庄司卓『それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】』

          ・オタク美少女が部室でゲームとかアニメとかの濃ゆい話をする日常系。 ・彼女たちは放課後、部活感覚で戦争もする。 ・しかも戦艦で艦隊決戦。 ・アイドルものっぽい要素もあり。  こう箇条書きすると、いかにも最近の流行ばかり追いかけた「狙い過ぎ」な企画に思えるだろう。しかし、これ今から20年以上前にスタートし、90年代にアニメ化もされた、人気ライトノベルなのです。  物語は、主人公の山本洋子をはじめとした四人の美少女高校生が、30世紀の世界に召喚され、それぞれ一人乗りの最新鋭巨

          ¥150〜

        前島賢の本棚晒し【復刻版】18:鏡貴也『黙示録アリス』

        ¥150〜
        • 前島賢の本棚晒し【復刻版】17:富野由悠季『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

          ¥150〜
        • 前島賢の本棚晒し【復刻版】16:比嘉智康『転醒のKAFKA使い』

          ¥150〜
        • 前島賢の本棚晒し【復刻版】15:庄司卓『それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】』

          ¥150〜

        マガジン

        • 前島賢の本棚晒し【復刻版】
          18本
          ¥1,000

        記事

          前島賢の本棚晒し【復刻版】14:秀章『GランDKとダーティ・フェスタ』

          「自由」とか「体制への反逆」と言ったテーマが、フィクションの中でさえ輝きを失いはじめて、随分になると思う。  一昔前までライトノベルの主人公の定番といえば、冒険者だった。国家にも組織にも縛られず、己の腕だけを頼りにファンタジー世界を生きる者達。貴族の息子として生まれ、何の疑いもなく騎士となったエリートの青年が、自由な冒険者と旅をするうち、定められたレールの上を歩むだけの人生に疑問を持ち、やがてみずからも自由人となる――ほんの少し前までド定番だったはずのこんなプロットを、最後に

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】14:秀章『GランDKとダーティ・フェスタ』

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】13:高畑京一郎『タイムリープ』

           VR-RPGの世界に閉じ込められた少年少女の冒険を描いた、高畑京一郎のデビュー作『クリス・クロス―混沌の魔王―』(1994年)。 『ソードアート・オンライン』に始まる現在のVR-MMOモノの流行を考えるに、本作が、電撃文庫初の新人賞である第1回電撃ゲーム小説大賞で金賞を受賞していたというのは、何とも予言的な事態にも思える。  ともあれ、今回紹介するのは、そんな著者の第二作、  である。  気がつくと、見知らぬ部屋で、ほとんど交流のなかったクラスメート・若松和彦とキスをし

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】13:高畑京一郎『タイムリープ』

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】12:鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

           学生寮に引っ越してきた少女は自分でパンツもはけないような「要介護ヒロイン」で……。  アニメ化もされた人気シリーズ『さくら荘のペットな彼女』。一見、典型的なラブコメのように見えて、物語が進むうちに、才能を持つ者と持たざる者の格差、取り残された者の焦りや嫉妬と言った思春期の苦悩が姿を現していく。  著者の鴨志田一は、ひとりのヒロインのなかに、いわゆる「萌え要素」と、等身大の内面性を両立させることができる優れたライトノベル作家だ。  は、そんな著者の新シリーズ。現在、続編『青

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】12:鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】11:清松みゆき/グループSNE『ソード・ワールドRPGリプレイ集バブリーズ編』

           テーブルトークRPGというものをご存じだろうか。  サイコロを使って遊ぶ即興演劇のようなゲームである。詳しくはググってもらった方が早いと思うが、オンラインRPGを、コンピュータを使わず、司会役の人間(GM=ゲームマスターという)とサイコロによる判定でもって遊ぶ様子を想像してもらえば理解が早い(実際には経緯が真逆で、このTRPGをコンピュータで遊べるようにしようという発想から生まれたのが現在のCRPGなのだが)。  さて、このTRPGを遊んだ様子をまとめたものを「リプレイ」

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】11:清松みゆき/グループSNE『ソード・ワールドRPGリプレイ集バブリーズ編』

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】10:森橋ビンゴ『この恋と、その未来。1 一年目 春』

           たとえば「男の娘」や「男装女子」といった萌え要素として表現されることはあっても、ライトノベルではなかなか、性的マイノリティの存在が正面から描かれることは少ない。  そうしたなかにあって、数少ない例外が、 森橋ビンゴ『この恋と、その未来。1 ―一年目 春―』(ファミ通文庫)  だ。 『東雲侑子は短編小説をあいしている』に始まる三部作で、高校生同士の恋愛を、十代の少年の「性」の部分にまで踏み込んで描き、高い評価を得た書き手が、今度は性同一性障害を持って生きるひとりの少年

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】10:森橋ビンゴ『この恋と、その未来。1 一年目 春』

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】09:長谷敏司『戦略拠点32098 楽園』

           90年代から00年代前半にかけて日本SFが冬の時代と呼ばれ、国内のSF系新人賞も休止中だった時代、若き才能の受け皿として機能したのがライトノベルの新人賞であり、後にSF作家としても活躍する幾人もの書き手が、そこからデビューした。 『あなたのための物語』『BEATLESS』などで、現在では現代日本SF旗手として注目される長谷敏司もそのうちのひとり。 『戦略拠点32098 楽園』は、第6回スニーカー大賞金賞を受賞し、2001年に刊行された彼のデビュー作だ。  人類が星間文明を

          ¥100〜
          割引あり

          前島賢の本棚晒し【復刻版】09:長谷敏司『戦略拠点32098 楽園』

          ¥100〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】08:砂義出雲『天網炎上カグツチ』

           寄生虫がヒロイン……美少女化もここまで来たか……。  と、砂義出雲のデビュー作『寄生彼女サナ』に出会った時の「世も末」感は今でも憶えている。いざ読んでみると、寄生虫美少女を通じ、異なる人格が共に生きるとはどういうことか、という普遍的なテーマを描いていて、さらに驚いたことも。 『天網炎上カグツチ』はそんな著者の新たなシリーズだ。 https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/255851/A000297900/  コンセプトは「ネット炎上で強

          ¥100〜
          割引あり

          前島賢の本棚晒し【復刻版】08:砂義出雲『天網炎上カグツチ』

          ¥100〜

          【お知らせ】定期購読マガジン『前島賢の本棚晒し【復刻版】』を停止いたします。

          お知らせです。 単品記事と並行して販売させて頂いておりました、定期購読マガジン『前島賢の本棚晒し【復刻版】』ですが、こちらの仕様と自分の想定の齟齬が発覚しまして、この度6/27をもって公開停止とさせて頂きます。 もともと、同定期購読マガジンは、過去の更新記事を一気読みしていただくプランとして想定していました。 しかし実際には、noteの「定期購読マガジン」の仕様では、購読が可能になるのは登録月の更新分だけで、登録月以前に更新された記事はバックナンバーとして別途、単品記事を

          【お知らせ】定期購読マガジン『前島賢の本棚晒し【復刻版】』を停止いたします。

          前島賢の本棚晒し【復刻版】07:滝川羊『神々の砂漠 風の白猿神』

           毎月、膨大な数の新刊が刊行されるライトノベルだが、裏を返せばその分だけ既刊が書店から消えていくわけで、そう考えると売り切れも在庫切れも品切れ重版未定もない電子書籍というのはありがたい。eBookJapanのラインナップを眺めていると、新刊書店どころか古本屋でさえ見かけなくなった、我が青春のライトノベルたちが最新刊と一緒に普通に並んでいて、思わず目頭が熱くなった。うぉう『友井町バスターズ』! きゃあ、『ねこたま』! ああ、何もかもが懐かしい……。  そんなわけで、そんな電子書

          ¥100〜
          割引あり

          前島賢の本棚晒し【復刻版】07:滝川羊『神々の砂漠 風の白猿神』

          ¥100〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】06:「艦隊これくしょん―艦これ―」ノベライズ(築地俊彦『陽炎、抜錨します!』/内田弘樹『鶴翼の絆』/鷹見一幸『一航戦、出ます!』)

           今週から、eBookJapanで始めさせて頂くことになった「ラノベ漂流20年~前島賢の本棚晒し」。小学生の時に、『ロードス島戦記』と『ゴクドーくん漫遊記』と『スレイヤーズ!』の洗礼を受けて以来、青春はもちろん人生までをもライトノベルに捧げつつある、ライター前島賢(32)が、古今の名作を独断と偏見でチョイスしていくチラシの裏……もとい、書評コラムである。  の、だが。  初回から申し訳ないが、実は、筆者はここ一年、ライター業そっちのけで『艦隊これくしょん』にドハマりしており

          ¥100〜
          割引あり

          前島賢の本棚晒し【復刻版】06:「艦隊これくしょん―艦これ―」ノベライズ(築地俊彦『陽炎、抜錨します!』/内田弘樹『鶴翼の絆』/鷹見一幸『一航戦、出ます!』)

          ¥100〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】05:上遠野浩平『夜明けのブギーポップ』

           さて全五回でお送りしてきた『ブギーポップ』勝手に電子化記念特集もいよいよ、今回で最後。最終回の今回は第五作『夜明けのブギーポップ』を取り上げたい。  本作は、『ブギーポップは笑わない』の前日譚……いわゆるエピソード・ゼロに相当する作品で、ブギーポップが始めて現れた事件として第一作で少しだけ言及された、連続猟奇殺人事件の顛末が描かれる。ちなみに僕は一時期、一作目『笑わない』から読み始めて本作『夜明け』まできたらまた『笑わない』に戻ってと……ほんと無限ループのように、この六冊

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】05:上遠野浩平『夜明けのブギーポップ』

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】04:上遠野浩平『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』

           勝手に『ブギーポップ』特集も後半戦突入。  今回は4作目『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』だ。  上遠野浩平によれば、当初は『ブギーポップ』シリーズの完結編となる可能性も想定して書かれていたという本作(次の第五作『夜明けのブギーポップ』が、ブギーポップの誕生秘話を描くエピソード0にあたる話なので、ひとまず今回の勝手に特集を初期5作6冊で句切りとしたのは、この理由による)。  前作『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』が泣ける青春アクション小説だったのとはう

          ¥150〜

          前島賢の本棚晒し【復刻版】04:上遠野浩平『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』

          ¥150〜