前島賢の本棚晒し【復刻版】11:清松みゆき/グループSNE『ソード・ワールドRPGリプレイ集バブリーズ編』

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本記事は、電子書籍ストアeBookJapanに、連載「前島賢の本棚晒し」第6回として2014年11月7日に掲載されたものを、加筆修正の上再公開したものです。記述は基本的に連載当時のもので、現在とは異なる場合がありますが、ご了承ください。連載時に大変お世話になりました、そして、再公開を快諾頂きました株式会社イーブックイニシアティブジャパンの皆様に厚く御礼申し上げます。


 テーブルトークRPGというものをご存じだろうか。
 サイコロを使って遊ぶ即興演劇のようなゲームである。詳しくはググってもらった方が早いと思うが、オンラインRPGを、コンピュータを使わず、司会役の人間(GM=ゲームマスターという)とサイコロによる判定でもって遊ぶ様子を想像してもらえば理解が早い(実際には経緯が真逆で、このTRPGをコンピュータで遊べるようにしようという発想から生まれたのが現在のCRPGなのだが)。

 さて、このTRPGを遊んだ様子をまとめたものを「リプレイ」と呼ぶ。
 ライトノベルの棚の中に、セリフとト書きで構成された脚本のような本を手に取ったことがないだろうか。それが多分、リプレイだ。
 最近では、奈須きのこ、虚淵玄、成田良悟らそうそうたる面々が集結し、映像化も決定した『レッドドラゴン』(星海社)などが記憶に新しい。
 もともとライトノベルとの関わりは極めて深く、そもそもライトノベル・ファンタジーの基礎を築いた水野良『ロードス島戦記』自体が、TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のリプレイとして出版されるはずが諸般の事情で不可能になり、小説として出版された、という経緯をもっている。

 さて筆者はTRPGに興味はあれど、一緒に遊んでくれる友達がおらず、リプレイばかり読んでいたエアプレイヤーだった時期が長かった(泣)。
 しかしだからこそ言える。
 TRPGをやらなくても、リプレイは読み物としてそれ単独で面白い、と。

 読み物としてのリプレイの魅力は数あれど、何より、その筋書のないドラマの面白さを第一に上げたい。もちろん毎回、司会進行役のGMがおおまかなシナリオは用意するのだが、何せすべてはプレイヤーの選択とサイコロの出目次第。ただの脇役を真犯人だと誤解して迷走することもあれば、重要人物が運が悪くてあっさり死ぬこともある。
 そんなどこへ転がるかわからない「リプレイ」の魅力を存分に楽しめるシリーズのひとつとして、今回取り上げたいのがこれだ。

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