前島賢の本棚晒し【復刻版】10:森橋ビンゴ『この恋と、その未来。1 一年目 春』


本記事はマガジン『前島賢の本棚晒し【復刻版】』に含まれています。連載の更新分と、今後更新される予定の記事が含まれているため、個別に購入して頂くよりお得になっております。
また、有料記事を一時的かつ一括にご覧になりたい方に向けたメンバーシッププランも現在準備中です。
記事をご購入前にご検討ください。

本記事は、電子書籍ストアeBookJapanに、連載「前島賢の本棚晒し」第5回として2014年10月31日に掲載されたものを、加筆修正の上再公開したものです。記述は基本的に連載当時のもので、現在とは異なる場合がありますが、ご了承ください。連載時に大変お世話になりました、そして、再公開を快諾頂きました株式会社イーブックイニシアティブジャパンの皆様に厚く御礼申し上げます。


 たとえば「男の娘」や「男装女子」といった萌え要素として表現されることはあっても、ライトノベルではなかなか、性的マイノリティの存在が正面から描かれることは少ない。

 そうしたなかにあって、数少ない例外が、

森橋ビンゴ『この恋と、その未来。1 ―一年目 春―』(ファミ通文庫)

 だ。

『東雲侑子は短編小説をあいしている』に始まる三部作で、高校生同士の恋愛を、十代の少年の「性」の部分にまで踏み込んで描き、高い評価を得た書き手が、今度は性同一性障害を持って生きるひとりの少年/少女を描く。
 
 三人の姉に奴隷扱いされてきた主人公・松永四郎は、現在の環境から脱出する為、広島に新設された全寮制高校に入学する。ところが、そこで彼の同居人となったのは、「女の体」に「男の心」を持った織田未来だった。

ここから先は

896字
この記事のみ ¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?