”イクメン”はいらない
世の中には時代の流れで呼ばれ方や社会の認知の仕方が変わるものがあります。本題の前に、例えば私たちの職業を含め
保母→保育士 看護婦→看護師
と呼ばれ方が変わったように、男女の様々な社会参画の形が認知されていったことが背景にあるのだと思います。
ただし、そこにはまだ”特別扱いする気持ち”は間違いなく存在します。
いまだに同職の方、特に当時はより男性保育士が少なかったであろうベテランの先生方にも
「男の子で保育士って大変ね。」
「ずっと保育士していくの?」
というような質問をされることがあります。ちなみに感覚としてわかりますが、相手の先生に一切悪意はありません。つまりは
保育士の仕事は女性向け、男性が担うには内容や形態などが不適当
と、その業界にいる人ですら無意識に思っているのですから、他の職種の方や保護者の方がそう思うのは無理のない話だと思います。
あえて言うなら、”男が保育士”というのは変だとは直感的には思いつつ、社会的に認める風潮があるため突っ込まない、のだと感じます。
その観点からの”イクメン”というワード
では、本題です。タイトルだけ読むと
「イクメンなんていなくていい、家事や育児は女性が担え!」
と、誤解を招く言葉にもとれると我ながら思います。
ただ、これは読み手である方がどんな無意識の思考をしているかによって変わるはずです。
再度私の身近な話を例に挙げると、例えば保育所の送り迎えをする保護者がお父さんである子どもも少なくありません。そんな時
「〇〇さんのところ、いつもお父さんが送り迎えでホントにイクメンだね。」
というようなことを保育者間で話しているのを耳にします。時には
「お弁当も自分で作ってるんだって。」
「お休みの日にも子どもとお父さん、二人で出かけてるって言ってた。」
のような家事や休日の過ごし方の話までに渡ることもあります。
え?なんで?なにが?
と思いませんか?
いやいや、自分の弁当くらい自分で作っても変じゃないし、休日子どもと遊ぶのもそんなすごいことなのか?と。
そんなことを、その先生と話すと大体が”うちの夫は全然だったから”というところに着地するので、人によってはそう感じてしかるべきなのかもしれません。
ただ、それが社会の意識に広まってしまうのもいけないのかな、と感じます。
言い換えれば、家事、育児に当たり前の参加をしているだけで”イクメン”と呼ばれている世のお父さん方。ちょっと鼻を高くしてしまっていませんか?
「みんなが褒めてくれる自分って、すごい頑張ってるんだ!」
なんて思ってほしくないのです。いや、自己肯定感のためにこっそり自分自身で褒めるのはいいと思いますが、周囲の反応に期待などはしない方がよいのではないでしょうか。
それもこれも、流行りだした当時、男性の家事や育児参加を促すためのワードとして使われだしたものかもしれませんが
”イクメン”という言葉が世間でまかりとおっていること自体が間違っていませんか?
よく、女性ライターの記事などで同様の内容は見かけるのですが、研究者などでない男性がそんな主張をしている記事はあまり読んだことがないように思います。
私自身、男性保育士をしていることでマイノリティに入っているのは承知しています。”いやいや、あなたは随分女性よりの思考の男性だろう?”と言われても仕方ないのかもしれません。
ですが、あえてその立場から男性が家事、育児に参加するのは当たり前で、今までの日本の風潮が本当にどれだけ変であったのかを訴えたいのです。
本当の意味で、家事や子育てが男女で五分五分になると、変な呼称が登場することもないでしょう。
そうなれば、水面下にある男女差別を含む意識差のようなものも薄れていってくれるのではないかな、と期待してしまいます。
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