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パワポ資料はデザイン前の準備が9割

月イチで大阪市内で無料のデザイン勉強会を開催しているのですが、その内容を文字起こししてさらにそれを要約した内容をnoteにも展開します。全8回の第2回目です。

さて、第2回目からは何回かパワポの資料の作り方について勉強会を行っていこうと考えています。
そんな初回の今回は、デザイン前に行っておくべきパワポの情報整理の話をしたいと思います。デザインをする前にまず情報(コンテンツ)を適正な量にしなければそもそものデザインが難しいよね、というお話です。

よければお付き合いください。


まずはパワポ資料の目的を明確化させよう

パワポ資料を作る理由は、様々ですが、目的を明確にすることが非常に重要です。例えば、プロジェクトの承認を上司に得るため、提案を通すため、知識や情報を共有するためなど、目的は様々あるかと思います。

パワポ資料作成の際はまず、最終目標を設定し、それに向かうためにどのような情報が必要かを考えます。

ちょっと普段あまり意識していないパワポづくりのやり方をひとつひとつ言語化させていこうと思います。

例えば、プロジェクトの承認を得る場合、過去の成果や課題の解決策、将来の収益性、ビジネス展開の計画などが必要な情報として考えられるかと思います。この情報をパワポ資料に盛り込み、上司を説得するための材料としよう、ということをまずパワポを作る人は頭に浮かべているかと思います。

また、この過程で情報のブレイクダウンを行い、必要な情報を整理していきます。このようなプロセスを通じて、恐らく多くの人が(ほぼ無意識的に)いつもパワポを作っていることかと思います。自分も多分こんな感じのことを頭に浮かべながらいつも作っているように感じます。

パワーポイント資料の作成において、最終目標を明確にし、その目標に向かってどの情報が必要かを考えることが大切です。
今回のように図にするとよくわかりやすいのですが、コンテンツは最終目標達成に貢献するものであるべきで、不要な情報は削除し、必要な情報を徹底的に考え抜くことが理想となってきます。


パワポ作成で、デザインは重要じゃない

さて、品質の高いパワポの資料をつくるための構成要素を列挙してみたいと思います。

要素として、パワーポイント資料の構成、伝える内容、デザインの一貫性が重要で、これらは最終目標に繋がるように結びつけるべきです。デザインは情報を効果的に伝え、相手の行動を後押しする役割を果たします。

ただ、パワポ資料においては圧倒的にコンテンツや、それをどう伝えるかとという全体が重要で、デザインはこれらをサポートするものにすぎません。

デザインにすべてを頼り切らず、コンテンツを適切に整理することをまず心がけます。
目標に向かって情報を整理し、コンテンツが過多であると冒頭で述べた通りデザインが難しくなります。


コンテンツの整理の2つの方法

情報整理のアプローチとして、2つの方法があります。

1つ目はコンテンツを小さなページに分割し、1ページあたりの情報量を減らす方法。
もう一つが不要な情報そのものを削除し、伝えたい情報に絞込む方法です。

これらはどちらかを選んで行う、というものではなく、常に2つの可能性を探りながら情報を整理していく必要があります。

さて、ここまでのおさらいしてみます。

まずはパワーポイント資料の最終目的を明確にしましょう。資料は何のために作成されるのか、報告のためか、特定のアクションを促すためかを明確にすることが重要です。

また、デザインはコンテンツと比較して相手の行動に直接的な影響を与えることは少ないと考えましょう。デザインは伝えたい情報をどのように伝えるかを補完する役割です。

次に、デザインに取り組む前に、コンテンツの整理と余白の確保が重要です。コンテンツを分割したり、不要な情報を削除したりして余白を設けることで、パワーポイント資料が効果的になります。


実際にパワポ資料の整理をやってみよう

では、具体的にコンテンツを整理する方法について考えてみましょう。この資料は京都府に対して財源の確保を要求するためのもの、という前提で情報を整理してみます。
資料を見ながら、どのように情報を整理するか考えてみます。

出典:https://www.city.maizuru.kyoto.jp/shisei/category/3-13-3-0-0-0-0-0-0-0.html

情報の整理には主に二つの方法があります。一つは情報を分割してページを分ける方法で、もう一つは不要な情報を削除してコンテンツを精査する方法です。それらを駆使してどう情報を整理するか、考えてみてください。

私の場合は、まず情報の階層構造を読み取り、その階層を明確にすることから始めます。段階を追って説明しますが、まず自分がどのような階層構造を読み取ったかを整理したのが下の図です。

1.情報の階層構造を読み取る

資料を見ると、まず最初に目に飛び込むのは「舞鶴版ソサエティ5.0」というトピックです。これが主題で、中央にある「自立社会の実現」を目指すことをメッセージを伝えたいと考えられていると思われます。

次に、このトピックを補完する要素が黄色いボックスに示されています。これらは、自立社会を実現するための要素として位置づけられているでしょう。

さらに、それぞれの要素がどのようにデータを収集するのかについての説明がありました。たとえば、再エネデータの場合はRE100宣言のまちの取り組みの中で収集することや決済データなど、データの収集方法や活用方法が示されています。

最後に、外部連携に関する情報が白いボックスで示されています。これは、自立社会の実現に向けて、他の自治体や企業と連携し、データを提供・共有する重要性を強調しています。
私はここも別ものとして分けて考えたほうが整理しやすいかと思いわけることにしました。

最終的に整理した構造が以下になります。

2.ページを分割する

情報の階層構造を読み取り、その階層を明確にすることで、資料の整理が行いやすくなりました。
次にページが分割できないか、分割するならどこが良いのかを考えてみます。ページを分割することで1ページあたりの情報量が減り、デザインを行いやすくなります。

ここも正解はないのですが、私は自立社会を実現させるトップメッセージと、その要素であるデータ収集施策に焦点を当て、これらを一つのページで説明したほうが良いかと考えました。
その後、外部連携に関する情報は今後のビジョンとして別のページにまとめてみよたいと思います。

3.不要な情報を取り除く

次はページの中で目的の達成に特段寄与しなさそうな要素を削っていきます。一旦今回は上記のような部分を削除、もしくは再検討が必要と考えました。
なお、不要な要素の削除は、内部の担当者の方でないと大胆な判断ができない可能性があります。
外部の視点からは、情報の重要性や役割が明確でないことがあり、究極どの要素が本当に必要であるかを判断できないため、この部分は特に担当者が担うべき役割が大きいです。

一方で限られた知識の範囲内で外部の視点からも不要な要素を削除することは可能です。
例えば、特定の要素が明らかに目標の達成に関係ない場合や、理解が難しい要素がある場合、これらを削除することで資料をシンプルにし、伝えたいメッセージがより明確に伝わるようにしています。

4.冗長なテキストの文字量を削り取る

最後は文章を細かく編集し、冗長なテキストを削減す地道な作業です。
一文字単位で文章を精査し、削れる部分は削り取りきります。

方法はさまざまあるのですが一例を示しているのが上の図です。
最近ではGPTなどのツールを使用することもあります。この作業に関しては、YouTubeなどで情報を調べることも有効です。

これにより、テキストの冗長性を削減し、デザインを行うための基盤を作っていきます。


整理した情報を並べる

さて、ようやく情報の整理が完了しました。元のパワポはこのようなデザインでした。

それを段階を経て情報を整理し、私は以下のようにまとめなおしました。

さて、振り返りになりますが今回は以下のステップで情報整理を行いました。

  1. 目的の明確化: パワーポイント資料を作成する目的を明確にしました。目的が明確でなければ、情報整理が難しくなります。

  2. 情報の階層構造化: 目的に基づいて情報を階層構造に整理しました。これにより、情報を整理するための基盤ができました。

  3. ページ分割の検討: ページを分割することで情報をよりわかりやすく表示できるかどうかを検討しました。情報を分かりやすく伝えるために、適切な分割を行いました。

  4. 不要な情報の削除: 目的に関連のない情報を段階的に削除しました。情報を絞り込むことで、クリアで効果的なコンテンツを作成しました。

  5. 文字数と内容の検討: 各ページの文字数や内容について検討し、必要な情報を残し、不要な情報を削除しました。

最終的に、情報の整理が進み、コンテンツがよりクリアで理解しやすい形になったかなぁと思います。
次回の勉強会ではデザインにフォーカスして、情報を視覚的に整理するためのTips集のようなものをお伝えできたらと考えています。


勉強会前に向けて読んだ本

最後に今回の勉強会に向けて客観的な視点も取り入れるべく自分も改めて勉強しようと思い、いくつか本を購入して読んでましたのでご紹介します。

まずは有名な本ですが「ノンデザイナーズ・デザインブック」です。
こちらはその名の通りデザイナーではない人向けに書かれたデザイン本なのですが、汎用的に使えるデザインの基礎知識がわかりやすく網羅されており、かなりオススメです。

あとは、こちらもよく売れている有名な本なのですが、「けっきょく、よはく」シリーズもまとめて3冊買ってみました。
こちらも非常に面白かったのですが、内容的にはこれからデザインをやっていきたいという人向けというよりは、デザイナーとして働いている人が参考に読むようなレベルのものでした。

ちょっとこちらの勉強会の趣旨やレベルとは離れてしまう本ではあるのですが、デザインが楽しくなってきて本格的にデザインをやってみたい、デザインの仕事にチャレンジしてみたい、と思い始めた方がいたらめちゃくちゃおすすめできる本です。

ちなみに3冊全部読んでみたのですが内容的にはオーバーラップしている部分も多いため、タイトルはあまり意識せず「Part1、Part2、Part3」的な位置づけと考えていいかなぁと思います。
特に好みなどなければ一旦第一弾の「けっきょく、よはく」から読んでみたらいいんじゃないかと思います。

勉強会第三回は10月10日に行うため、そちらが終わり次第またnoteにもまとめようと思います。よければまたお付き合いください。


この他のデザイン勉強会の記事はこちらから↓

また、個人的に気になった海外記事を週数本メモしてたりしますので、よければフォローお願いします。

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