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会社に退職を申し出る。

これで会社を辞めるのは5回目。
振り返れば色々な辞めパターンがありました。

今回は過去の辞め方を振り返り、円満な退職に重要なポイントを自分なりにまとめてみました。長くなってしまいました。
改めてみて上司と会社に恵まれていた「運」の要素が大きいです。


退職のパターン

1. 会社が潰れかけ、早期退職を募集している時に辞める

最初に会社を辞めた2009年3月は、リーマンショックの打撃をモロに食らった会社が実質的に銀行管理下におかれたタイミングでした。
大量の社員が割増退職金をもらって辞めていく中、私も9月の留学に備え駐在先(ジャカルタ)にいるまま辞めました。
他の人と違ったことは、割増退職金を受け取らず自己都合退職を選んだところです。
元々留学を機に辞める話を非公式ながらしていたので、自分には資格がないと辞退しました。
たしか1000万円近い金を取らなかったと思いますが、正解でした。
バカだなとも言われましたが、筋を通す人、金に綺麗な人という強いブランディングができます
また、結局元の会社に一度は戻りましたので、選択肢も広がります。

復職したベンチャーキャピタルを1年半でまた辞めることになり、その時は割増退職金をもらって辞めました(結局貰ったんかーい)。
東南アジア事業から撤退するというので、私の誇りだった会社は無くなるんだという悲しみにも似た怒りがありました(言い訳)。

これは別の機会に書きたいと思いますが、私は割り増し退職金に釣られ会社を辞めることには反対で、不利なことが多いと思っています。自分のタイミングで辞めるべきです。

2. 当初の予定通りに辞める

サンフランシスコの法律事務所を辞めた時はこのパターンです。
所属の法律事務所から派遣されたわけではないので、もっと研修を続けて弁護士のキャリアを深める道もありましたが、予定通りに1年で辞めました。
説明が簡単です。

目のつけどころがシャープな家電メーカーを辞めたのもこのパターン。
また投資の世界に戻るつもりで、短期的でも実業の世界にどっぷり浸かり企業の中から会社運営を見ておくのは今後につながると思い入社しました。
最初から3から5年で辞めますと宣言して入社したわけです。
そして宣言通り4年で辞めました。
実をいうと、製造業の生き残りをかけたダイナミックな動きや、ファイナンスのバックグラウンドだからこそ役に立てる仕事の面白みに目覚め、もっと長期間関わりたいと途中で心変わりしていました。
でも大株主として新しくやってきた人達の考え方には馴染めず、予定通り辞めますと言って辞めました。

3. いつとは言わないまでも、ずっと会社に残ることはないと言っておいて辞める。

家電メーカーで最初から辞めるタイミングを言うことの弊害を感じたため、次に入った自動車メーカーでは辞めるタイミングは言わないことに決めました。
定年までいることはないと思いますという程度にとどめました。
腰掛け野郎と見られると、会社や仲間への思い入れが薄いと思われ、一体感や心を許す感じが無くなりがちと感じていたのです。

そして日常の会話を通じて、少しずつ辞める考えを漏らしていきました。
大事なことは、自分の信用力にかけて無責任なことは絶対にしない、やめる時はかなり前もって伝えるとコミットすること。

今回は5ヶ月前で少し早いかと思いましたが、4月の組織変更のタイミングだったので伝えました。。

引きとめにくい退職の理由

1. ネガティブな理由を言わない。

本当は人間関係が嫌だから辞めたい場合でも、ネガティブな理由は言わないこと。
キャリア形成に不利だから辞めたいと思っても、新しい道で得られるキャリアの重要性を語ることで、相対的に今のキャリアは魅力が無く見えるように伝えて下さい。

また、これまで育ててもらった恩義、チャンスをもらったこと、恵まれた人間関係への感謝をキチンと伝えてください。

効果1:
今の状況を改善すればこいつは残ってくれるんじゃないかという期待はなくなります。諦めてもらいやすい。

効果2:
無駄な敵を増やさず、将来の味方になってもらえます。
自分の大事な時間と労力を何年もかけたのです。人生の一部です。可能な限り有効活用しましょう。

私はその人が前職の人と繋がっているかで、その人が前職で活躍し信頼関係を築けていた人か判断します。もちろん能力も。

2. 高尚な心の持ちようにより、低俗な上司と会話を噛み合わせない。

そんなに良いのになぜ辞めるのかって?
私は成長を求めているんです。より厳しい慣れない環境にあえて身を置いて、自分を高めたいんです。
私はストイックで高尚な人間なんですとする方が、なんとか説得できるのではという取っ掛かりが見つかりません。

それを聞けば良い上司は、日本社会の発展のためまた本人のため優秀な彼/彼女には羽ばたいて行ってもらおうとなります。

悪い上司は、低レベルな話に持っていったり、自分や部署の人たちが困っても良いのか、自分勝手ではないかと言ってきたりするようです。
そんな人との会話は噛み合わない状態で放置して下さい。養老猛司先生に「バカの壁」と名付けられた一般的によく見られる現象です。
理解されることは永遠にないでしょう。

3.  給料が上がることを理由にする

これは特に若い人は使いやすいです。
大企業は年功序列なので、若いうちは給与が低いです。特に製造業はその傾向が強い。
なので、転職のタイミングで給与が上がる可能性はかなりありますし、上司も多分そうなのだろうと信じます。
また、給与を上げるというのは、その会社の人事制度を丸ごと見直さないと対応できないケースが多く、時間軸的にも権限上も不可能に近いため、お手上げになります。

それは、上司がさらにその上に説明するのに、それはどうにもならんなと理解が得られやすい理由なんです。

4.  家庭の事情を持ち出す

結婚、配偶者の転勤について行く、親の介護、実家の家業を継ぐことになど、家庭の事情はまず反対されません。
反対するのはタブー視されている雰囲気があります。人としてどうなの?と言われかねない感じです。
思うに、その人しかできない、替えが効かない立場なので、止めることが出来ないのだと思います。

これも、上司がその上司に説明するのが容易なタイプの理由です。

嘘をついている人もいるかもしれませんが、嘘はいつかバレるものなので嘘はやめておきましょう。

5.留学や進学するという

名のある大学や大学院に合格したので辞めて行きますというと、止められないです。
転職される時は腹立たしいと思う人でも、合格したと言われるとついおめでとうと言ってしまうようです。
おそらくその人のチャンスを潰してまで残らせても責任を取れないと感じるのではないでしょうか。また、転職に比べ、裏切った感は出にくいです。

私は古来より日本人の中に、学問を尊ぶ気風がしみ込んでいるのではないかと思っています。科挙制度の歴史を持つ中国、韓国由来の文化です。
ただし、学問を尊ぶかどうかは会社や職場の風土によるかもしれません。

引き止められた場合の対応

私は無理な引き止めにあったことがないので、説得力に欠けますが、よく記事を見たり知り合いから話を聞いて、あぁこういうことを言われるんだというのは知っています。

1. 急に言われても後任はいないし引き継ぎもできない。

1ヶ月は確かに短い場合もあるかもしれないですが、3ヶ月あっても無理ならそれは組織や会社の構造的な問題ですので、個人の力ではどうしようもありません。

引き継ぎ先を用意してもらえない場合、(何日の何時にどこで伝えたか小まめにメモして)いついつにお願いした引き継ぎの件はいかがでしょうか。引き継ぎ書は用意しているので、すぐに引き継ぎを始めたいのですが、とプレッシャーをかける。

引き継ぎもしないで辞めていった最悪な奴になりたくないので、大変申し訳ありませんが人事(または上司の上)に引き継ぎが出来ずに困っていること、このままだと業務上ご迷惑をおかけするのが心配だとお伝えすることにしますと言い放って下さい。

2. 異動させるので、どこの部署に行きたいか教えてほしい。

本当に異動の方が転職より魅力的と思えば転職を取りやめれば良いです。例えば人間関係やキャリア形成の悩みが転職の理由であれば、解決するかもしれません。
私は採用したかった人がこのパターンで引き止められてお断りされた経験があります。

転職の意思が固い場合は、丁寧に感謝の意を伝えつつも、意思は変わらないことを明確に伝えます。

もう少し考えて見てはどうだろうかと言われたら、本当に何ヶ月も悩んで考えに考えて決めたので、もう変わることはありませんと明確に伝えます。

転職したことがある人であれば共感していただけると思いますが、一度会社を辞めようと決めると心がぷっつりと切れてしまって、以前のような気持ちでは働けなくなってしまいます。
まじめな人ほどそうなるので、気持ちが切れたとはっきり伝えるのがよいと思います。

まとめ

□  前向きな姿勢
今の仕事が嫌だからではなく、より自分を高めるためにあえて厳しいことに挑戦したい、という前向きな態度が大事。

□  断固とした態度
考えに考えた結論なので、その場で思いついたような説得は全く効きそうにないと思わせる、断固として明確な態度が大事。

□  万全の準備
しっかりと前もって伝える、やるべきことは責任を持って果たしてから辞めますという文句の言いようがない態度と仕事ぶりが大事。

□  覚悟
最後は、開き直りです。
その上司も、会社も、あなたの今後の人生を保証してくれませんし、いくら会社に忠誠を尽くしたとしても最後まで守ってくれません。
転職を引き止めた結果の責任は誰も取ってくれません。
結局、誰にもあなたの転職を止める権利はないのです。





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