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株式投資を始めるにあたって読むといい本はなにか

ベンチャーキャピタル業界を離れてから、株の本を読まなくなったのですが、社会人になりたての1995年からインドネシアを離れる2009年くらいまでの間によく読んでいた本を上げさせていただきます。
もう絶版になってしまった本も入っていて申し訳ありません。


ピーターリンチ株で勝つ ピーターリンチ(著)

この本はこれから株を始める人にぜひ読んでほしい本です。
簡単にいうと、自分の知っていること身近なことを材料に株を買えばいいんですよ、と教えてくれている本です。
実際、わたしの妻はビギナーズラックの可能性もありますが、30倍になった会社が1社、10倍になった会社が2社もあります。
わたしではとても選べない会社の選び方をしています。
ピーターリンチは、たとえ社会と切り離されている主婦でも、買い物をしていて気づくレベルの話で最高の会社を見つけることはできるとこの本で言っています。念のためわたしの妻は主婦ではないです。

私の財産告白 本多静六(著)

この本も株を始める人にまず読んでほしい本です。
この人は投資の専門家ではないです。森林学の専門家で東大の教授でした。
有名なところでは明治神宮の森を一から設計して作っています。豊かな森にするためどういう種類の木をどういう組み合わせで植えるのか、100年以上先を見越して設計し、今すばらしい森になっています。

わたしは森林学という自然を相手にする学問がうまいこと株式投資の哲学にはまったのだろうと推測しています。
景気には月の満ち欠けや、潮の満ち引きのような循環があり、いいときと悪いときを繰り返します。そういうことを達観しているところがあります。

参考になるところが多いです。日本が誇るべき偉人です。

百戦百勝 城山三郎(著)

わたしは歴史好き、伝記好きです。
この本は山種証券の創業者山崎種二の話です。彼の出生地(群馬)では、リスクヘッジのために種を二つ植えるそうです。一つがダメになってももう一つが育つからです。
もう名前からして投資家になる運命だったんだなと思います。

彼は「相場の神様」と言われていた人です。彼の考え方、哲学はとても参考になります。相場師になれというんじゃないです。考えをめぐらすことがいかに大事かを知ってほしいのです。

相場師一代 是川銀蔵(著)

これも相場師の本で、こっちは本人が書いている本です。
山崎種二が貧しい農家の出なら、こっちは貧しい漁師の出です。この人の人生は波乱万丈そのもので、「最後の相場師」と言われた人です。
投資には胆力が必要なので、疑似体験する意味でおススメの本です。

ウォール街のランダムウォーカー バートン・マルキール(著)

これは有名な本なので聞いたことがある人も多いと思います。
わたしが最初に読んだ頃は、チャート分析なんてアホのすることだと言っていたのですが、改定を重ねるごとにバランスも取れこなれてきている感じがします。
わたしが最初に読んだのは30年前、最後に読んだのは10年以上前になります。
インデックスが最強と言っている本です。インデックス投資だけしていて大丈夫だろうかと不安になるときもあると思います。
そういう時に読んで安心してもらうのによい本です。

天才たちの誤算:ドキュメントLTCM破綻 ロジャー・ローウェンスタイン(著)

ブラックショールズモデルと言う言葉を聞いたことがありますでしょうか。スタートアップやベンチャーキャピタル業界にいれば、ストックオプションの価格決定で使われるので目にしたことがあると思います。

この方程式の発見によりショールズとマートンはノーベル経済学賞を取りました。
この方程式を使えばあるべきオプション価格が分かる、つまりはその価格からずれている場合、裁定取引をすれば必ず勝てるということになり、そのモデルを使った投資会社ロングタームキャピタルマネジメント社(LTCM)が設立されます。ショールズとマートンも経営陣に名を連ねます。

ところが、慢心してリスクを取りすぎ破綻します。引き金はロシアのデフォルトで、ほぼ起きないとされるレベルのことが起きたとなっています。
LTCMが破綻した時わたしは社会人になっていました。1997年のタイ、1998年のインドネシアとアジア通貨危機が起こり、次がロシアでした。
この直後、FRBはLTCMによる金融不安連鎖を防ぐため、短期間に3回の利下げを行い、5.50%から4.75%にしています。
この積極策もあってお金がじゃぶじゃぶになりインターネットバブルが起きるというジェットコースターのような時代でした。
日本では97年の山一、拓銀破綻、98年の長銀、日債銀破綻と日経の1面をにぎわす大型倒産が起きています。

普通の上場株投資とは関係なく見えますが、好況と不況のうねり、バブルとバブル崩壊のうねりを疑似体験しておくことはとても役に立つと思います。

わたしの自慢は、アジア通貨危機、ドットコムバブル、ドットコムバブル崩壊、サブプライム問題を投資の最前線で経験したことです。

アメリカ金融革命の群像 ジョセフ・ノセラ(著)

この本はアメリカで起きた金融イノベーションについて、順を追って説明している本で、とても整理されていて分かりやすいです。
上場株投資というのは金融の中の一つでしかなく、他の動きに大きく左右されるものですので、全体の流れをよく理解しておく必要があるのです。どの業界で問題が起きるとどうやって波及していくのかとかですね。

株式に長期で取り組むのであれば、金融全体を理解し俯瞰した見方ができるようになることをお勧めします。

バブルの歴史 エドワード・チャンドラー(著)

バブルがどうして発生してどうして崩壊したかを知るのはとても大事です。バブルを説明した本はたくさんありますが、わたしはこの本をお勧めします。
バブルというのは人間の心理が引き起こすものです。そして、バブルは必ず発生し、バブルだと分かったときはもうダメージを受けた後で手遅れになっています。
本当に不思議だと思うのは、必ず今回はバブルじゃないとしたり顔で言い出す経済評論家や専門家が現れることです。

バブルはもう仕方ないのであるものだという前提でパニックにならないこと。これが一番大事です。
避難訓練ではないですが、過去のバブルを勉強して非常事態に落ち着いていられるようにするのが勉強する目的です。

わたしは過去に株式暴落を経験していますから、前回サブプライムで落ち込んだときは落ち着いてしっかりと仕込みをさせていただきました。
インターネットバブル崩壊のときは投入するお金が乏しくできなくて、今度同じことが起きたら絶対に突っ込んでやろうと思っていたのです。

ウォーレンバフェット氏にはとても励まされました。当時彼は一人で悲観するマーケットに立ち向かっていた感じです。

インターネットバブル

この本はバブルのなかでもインターネットバブルにフォーカスした本で、今でもこの本がベンチャーキャピタル業界で話題になったときのことをよく覚えています。
バブルだとどや顔で指摘した著者(レッドへリング社の編集長)は、広告主と読者層をバブル崩壊により失い勤務先のレッドへリング社が倒産するという憂き目にもあっています。
わたしはレッドへリング社が最後に発刊したペラペラの雑誌を持っています。厚さが最盛期の1/10になってました。

わたしは今でも「インターネットバブル」を開いては、たまにパラパラと気になった章を読みながら、当時の熱狂を思い出したり、今に当てはめるとどの辺だろうかと考えるのに使っています。

インターネットは革命だと言われその通りになり、多くの会社が生まれ消えました。VCもたくさんやられています。
それでもシリコンバレーもVCも生き残りました。これはもう引退してしまったMayfieldのパートナーが言っていたのですが、「シリコンバレーもVCもバブル崩壊を乗り越えるだろう。なぜならば、大部分が倒産しても残った数社への投資が倒産して失われた富を上回る富を生み出すからだ。」と言っていました。
彼は過去の歴史を踏まえて言っていたのです。

実際、アマゾン、Googleだけで当時失われたVC投資額の何十倍の富を生み出しています。

なので、わたしはバブルを否定する気はまったくなく、むしろ皆が狂ったようにお金を投じることで新しいイノベーションが起き、社会を変えていくきっかけになると肯定的にとらえています。
今AIがバブルの様相を呈していますが、ここから何が生まれるのかとても楽しみです。

錬金術 ジョージ・ソロス(著)

わたしはジョージ・ソロス氏は好きではありません。この本も実をいうとあまり好きではない。
でも、ジョージ・ソロスほど結果を出した投資家はいないし、時代を読む目、胆力は並ぶものがないです。
イングランド銀行にボンドの空売りで戦いを挑み勝った男です。バーツ売りでも勝っています。中央銀行に戦いを挑んで勝つというのはよほどのことです。
最近でも円売りで日銀、財務省に戦いを挑んでは負けるを繰り返しているヘッジファンド、投機家がいますよね。わたしはジョージ・ソロス氏が戦いを挑んでくるようなことがあれば、日銀と財務省は屈するかもしれないと思っています。

彼の投資哲学、考え方がよく分かる本です。わたしのように共感できないなという感想でも全く問題ないです。結果を出した人の考え方を知るというのは、好き嫌いを超えて大事なことなのです。

「超」成長株投資ー普通株で普通でない利益を得るために フィリップ・フィッシャー(著)

本当はウォーレン・バフェット氏の本があればいいのですが、彼は本を出していないので、彼の師匠の本をご紹介します。
ウォーレン・バフェット氏には二人の師匠がおり、一人はバリュー株のグレアム、もう一人が成長株のフィッシャーです。バフェットはこの二つの手法を組み合わせて自分の考え方に昇華させ投資をしています。

賢明なる投資家ー割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 ベンジャミン・グレアム(著)

フィッシャーが成長株投資とすれば、グレアムはバリュー株投資です。
抑えておくべき本だと思います。

この中からおもしろそうな本を選らんで少しずつ読んでみるのがよいと思います。
投資の先達の教えは哲学の域に達していますので、ピンとこないこともあるかもしれませんが、やっていれば正しいことを言っていると実感できるはずです。

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今回12冊紹介させていただきました。

わたしが投資本や過去の成功者の話でみなさんにつかんでほしいのは、株式相場には月や潮のような満ち引きがあること、行きすぎれば必ず戻るということです。景気も同じように循環します。
パニックになったり、過度に悲観することを避けられるようになれば、それだけで株式投資で勝つ確率は高まります。

健闘をお祈りいたします。

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