参議院体験プロジェクト

台風がきた水曜日、参議院体験プロジェクトに参加してきた。

このプロジェクトは、参議院の委員会を子供とロールプレイできる教育プログラム。委員会の議長、委員長、衆議院、担当大臣、会派ごとに委員数名に分かれ、実際の議事録をもとに法案成立を体験する。

今回は、体験プログラムに小・中学生14名参加することになった。

このプロジェクトが開催される1年前、Iさんが、自分の娘と国会へフィールドワークしたことがこの企画のきっかけとなった。

親子だけで国会見学している最中、この体験プログラムの存在を知ったわけだが、実は参加したくても、10名以上揃わないと受け入れてもらえない。だからたいていこのプログラムに参加するのは学校単位であるようだ。

そこで、Iさんは僕たちの非営利団体のメンバーを中心に、グループをつくり、プロジェクトを企画した。

スクリーンショット 2021-07-30 6.27.58

委員会は参議院本会議の前に討論をおこなう場で、法案の論点を整理する上でかならず開かれる。

この場では各自に実際に食育法法案の議事録をもとに、子供たちが「再演」できるようになっている。

カンペをそのまま音読するわけだが、これがかなり教育的だ。討論の場で話される抽象語は小・中学生が必ず習う公民を反映している。また実際の討論の形式を経験することもできる。
抽象語には一応ルビがふられていて、小学生でも正確に読めるように設定されているが、この「芝居」をおこなうことで、いつのまにか公民をマスターすることさえ夢ではない、と思えるほどよくできたロールプレイであった。

どうしてこれを学校でおこなわないのか不思議である。ただ役割を与え原稿を読むだけなのだが、妙なリアリティがある。このリアリティこそ、言葉の解説に終始しがちな学習に生かしてほしいと感じた。

さて、午後からは彼らと共に本をつくることにした。

作文というと億劫になりがちなので、あまりかたちにこだわらず、彼らの書いたものを本にまとめるという目的のもと、漫画やイラスト、図など、自由にアレンジを加えながら、各自参議院について解説してもらうことにした。

このアウトプットの際には、非営利団体の社員でもあり、僕の生徒でもあった高校生をアシスタントに呼んだ。
入試にめっぽう強い男子には、中2男子に論理的で硬質な文章の書き方を指導してもらい、元多動症高3生には、現役余計なこと言いまくり男子の調整をお願いした。彼らもまた、小・中学生を指導することで自分の立場を客観化できることを願って。

そんなこんなで、一回目の参議院体験プロジェクトは終了。2回目は8月12日に予定している。

外出を控えろと言われ続けた小学生も、もう中学生になった。彼らの過渡期のほとんどは家のなかで過ごすことになっている。そういう子供たちが少しでもいい経験ができるように努めたい。

ここから先は

0字
このマガジンでは基本的に週1回連載します。非公開動画も視聴可能です!

前田大介『本で書けない話』

¥625 / 月 初月無料

教育・子育てのお悩み相談や多岐にわたる教育活動などのエッセイを毎週連載。 計算や漢字の非公開動画もこのマガジンでこっそり公開していきますー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?