マガジンのカバー画像

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記

35
2007年に実施した最長片道切符の旅のレポートです。以前に著者が運営していたウェブサイトで公開していたものを一部改訂の上、公開です。
運営しているクリエイター

2023年1月の記事一覧

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 第3日目

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 第3日目

前回のお話は以下URLから。

3. 第3日目(2007年7月12日)(釧路ー)釧路湿原ー釧路ー新得ー富良野ー中富良野ーラベンダー畑ー美瑛ー旭川ー岩見沢ー沼ノ端(ー苫小牧)

3.1 釧路湿原駅へ戻る

 朝食に根室で買っておいた花咲かにめしを頂いて、身支度を整えたりしていると、あっという間に5時半を回った。今朝は、一旦釧路湿原駅まで戻らねばならない。というのも、昨日は最長片道切符を釧路湿原駅でそ

もっとみる
最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 第2日目

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 第2日目

前回は以下URLから。

2. 第2日目 (2007年7月11日)摩周ー釧路湿原(ー塘路ー釧路ー根室ー釧路)

2.1 最長片道切符の旅は最短

 昨日、網走で買っておいた「磯宴生うに」を開けると、そのつもりはなかったが傾いて盛りつけが崩れていた。店の主人の言いつけを守れなかった。やむなく、自分で盛りつけ直すが、買ったときのようにはいかなかった。それを食べてあれやこれやとしているうちに時計の針は8

もっとみる
最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 第1日目

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 第1日目

前回のお話

1. 第1日目(2007年7月10日)稚内ー音威子府ー(旭川)ー網走ー摩周

1.1 最長片道切符の旅、スタートです

 稚内の朝は早い。まだ4時前だというのに窓外はすっかりと明るくなっていた。身支度の後、おやど天翔を出たのは5時半過ぎで、ここから稚内駅までは歩いて15分ほどである。7月でも肌寒く、長袖を持ってきて正解であったと、早朝の稚内市街を歩きつつ思った。きょうは季節臨時の特急

もっとみる
最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の4

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の4

前回のお話は以下から

プロローグ(4)始発駅へ7月9日、前日に自宅を出た僕は、寝台特急トワイライトエクスプレス号に乗り、一路、最長片道切符の始発駅、稚内駅へと向かった。

0.4.1 7月9日未明、北海道へと渡る

 機関車が停まったのを客車がその衝撃を受けて、僕は目を覚ました。時計は1時過ぎを示していた。カーテンを捲ると、どこかの駅に停車している。じっと凝らして見ると、ピンク色した帯のステンレ

もっとみる
最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の3

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の3

前回のお話は以下URLから

プロローグ(3)始発駅へ7月8日、僕は自宅を出て、一路、最長片道切符の始発駅、稚内駅へと向かった。

0.3.1 寝台専用特別急行トワイライトエクスプレス号

 大阪駅10番線ホームでサンダーバード19号の発車を見送った。大阪駅は建て替え工事中で、本来北陸方面への特急列車が発着する11番線は閉鎖中でフェンスで仕切られている。しばらくすると、深緑に鮮やかな黄色の帯を纏っ

もっとみる
最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の2

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の2

2007年夏に行った最長片道切符の旅について
前回の話は以下から

プロローグ(2) 計画の話0.2.1 始発駅への行き方

 さまざまな葛藤と障碍を乗り越えて(多分に大仰だが)、最長片道切符の旅へ出ることになった。そこで一つ新たに考えるべき課題が発生した。現在、最長片道切符の発駅は、北海道は稚内駅である。とすれば、僕は、まず稚内へ行かねばならないのだ。出発地点まで行くための旅程を考えねばならない

もっとみる
最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の1

最長片道切符で行く迂路迂路西遊記 序章の1

2007年夏に実施した最長片道切符の旅について、回顧してみたいと思う。

プロローグ(1) 旅の話0.1.1 思いつきから決心へ

 最長片道切符の旅に出ることに決めた。

 僕は、これまで曲がりなりにも日本のあちらこちらを周遊してきた。自身の生活圏から離れれば離れるほどに、その土地に対する憧憬が深まっていき、それを充足するために旅に出ていた。しかし、あちらこちらを旅することでいわゆる飽きにも似た

もっとみる