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北京の紅焼牛肉麺に思いを寄せて

今回は北京で超有名な紅焼牛肉麺を食べてみた。

ここのお店は北京でも有名で、中国版食べログ(大众点评)でも人気のお店である。たまたま近くのホテルに泊まったので、行くチャンスができたというわけだ。

まずこのお店の特徴として、24時間オープンというのが挙げられる。ラーメン屋で24時間オープンとなると、夜にお酒を飲んでから、ここで一杯というお客さんが来る。

私も朝6時前にお店にやってきたが、お客さんでにぎわっていた。その中の半分のお客さんはお酒を飲んでいたのが印象的である。

次に、このお店の紅焼牛肉麺は他のお店とは違い、辛味がしっかり効いているところが挙げられる。「紅焼牛肉麺」と言われて、まず最初に思いつくのが康师傅の「紅焼牛肉麺」カップラーメンである。

この康师傅「紅焼牛肉麺」は中国のカップラーメン界をけん引している有名なものだ。10年以上前だが、当時のカップラーメンはそこまで多くなかった。しかも良く分からないブランドもある中で、この康师傅シリーズは安定した味だったので、長距離移動の時はかなりお世話になった。

当時の康师傅シリーズのカップラーメンは主に三種類、

赤→紅焼牛肉麺

緑→豚骨ラーメン

青→海鮮ラーメン

の3種であった。ポケモンみたいだな、と思ったのが第一印象である。その中で私が好きだったのは青の「海鮮ラーメン」。しっかり海鮮の味がするので、毎回これを狙っていた。ただし、お湯を目分量入れると味が薄まるので、少し少なめに入れるのがコツだった。

それだけではない。この青の海鮮ラーメンは、他の赤・緑と比べて数が少なく、お店によっては置いていない場合もあった。ここまでポケモンの状況と似ていることも珍しい。

その後、康师傅はピンク、白、黒といった各種のラーメンを世に出していくことになる。

この康师傅に待ったをかけ、今ではカップラーメンの雌雄と言われるまでの存在になったのが、統一「老坛酸菜牛肉面」である。紫のパッケージが特徴で、食べると酸菜が良いアクセントになって美味しくいただける。日本に住んでいる中国人留学生も故郷の味として、袋めんを買うこともあるらしい。それぐらいの人気である。

もちろん康师傅も同じようなカップラーメンを出したが、勝てなく今の状況に至っている。

現在の中国カップラーメン市場は群雄割拠であり、様々なメーカーがあの手この手でいろんなカップラーメンを出している。タニシ麺、ビーフンなど「ラーメン」以外を売りにしているところも出始めた。

今では日本と同じように健康ブームでカロリーを意識しているものと、王道のカップラーメンとの競争になっている。日本だと日清カップラーメンなどのものと春雨スープのようなものの構図といったところだろうか。

そうした康师傅「紅焼牛肉麺」を思い出しながら、このラーメンを食べてみたい。濃厚なスープの味で、飲み干すことは無理だと分かる濃さ。そして、襲ってくるしびれと辛味。特に辛さは印象的で、食べきれないのではと思った瞬間に油が優しく包んでくれる。

パクチーのアクセントも良い具合にラーメンを引き立てている。混ぜながら食べるとその良さがより一層際立つ。

そして牛肉は薄切りではなく厚切りになっているので、噛み応えがある。値段も少し高めの設定だったが、これだけの牛肉が入っているのだから、文句のつけどころがない。

朝6時のラーメンだったが、思ったよりもお客さんはラーメンを食べていない。おつまみにお酒を飲む人、ビールを飲みながら会話をする人など様々だ。

そうした夜明けのラーメンはお昼に食べるラーメンとはまた異なり、新鮮でお客の目的も異なっていた。こんな北京の朝模様を知れたのは初めてだった。

その後、近くを歩いていると、またしてもラーメンの有名店があることを知った。どうやらこの辺りはそうした「有名店」がいくつかあるみたいだ。また、ゆっくり朝散歩しながらじっくりラーメンを味わいたい。



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