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#12 読書感想文 クアトロ・ラガッツィ


読んだ本の紹介


天正少年使節が日本から海外へ向かうという当時の世界史にリンクする、当時の日本の歴史を中心に描かれている本である。

この本を読んだ理由


たしか出口治明さんが著書でこの本を紹介していたので、購入した。ネットでもご感想について紹介されていたので、ここで記載しておく。


あらすじ


天正少年使節の時代、日本ではどのような状況で、キリスト教と向き合ったのかを描いたものである。天正少年使節を中心に描くのではなく、その期間に起こったことおキリスト教側の史料を基に描き出したものである。


良かったところ


これまで中学や高校のレベルでの歴史で織豊時代のことを知ってはいたが、キリスト教側の史料から見た当時はどのようなものかは全く知らなかった。

悲劇というのが起きるには、どのような順序をたどって起きるのか、そして、誰が巻き込まれたのかを学ぶことができる。

そこには傲慢さと現地のことを理解していないというポイントがあるだろう。自分の杓子定規で考えて「正しい」と思ったことが、多くの人を巻き込む悲劇、そして日本を鎖国に追いやるきっかけとなる。

世界史とのリンクがほぼ途切れるようになるには、ただ一人の代表者が全てを決めるわけではなく、その周りに渦巻く人たち、情勢、そして世界の動きが存在する。

一度読みだすと、続きがどうなるのかが気になるだろう。英雄と言われた日本の人物についても、宣教師の史料から描かれるとまた別の面が見られるのもうれしい。

気になる箇所


①天正少年使節のことだけを詳細に知りたいと思っている人がこの本を読むと、「予想」と違うと感じるだろう。私も最初は肩透かし(読んでも読んでも、天正少年使節が出てこない)をくらったが、読み終わるとこちらの書き方の方が、理解が深まると思った。

②筆者は世界史と切り離されていく日本について、悲観的な立場を取っているが、それが日本らしさにつながったのでは、という別の観点も示すことができる。「if」はないが、妄想をするのならば面白いだろう。

③地理的な知識が少し必要になってくる。また、当時のヨーロッパに行くのがどれだけ苦労したのか、船で行ったことがない私にはその苦労をほとんど理解できないといった問題がある。

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