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匂いと臭いの違いについて考えてみる。

良い匂いと感じるか、臭いぃ……と感じるかは時と場所によって違うし、その匂いを嗅いでいる人の体調や、思い出補正がかかっていることもあります。

先日、駅ビルの中を歩いていたら、強烈なニンニク臭に襲われました。もう、ちょっと鼻を摘みたくなるほどの。周囲には眼鏡屋さんとかマッサージのお店しかなく、恐らく誰か近くを通った方の体臭、または口臭だったのかも知れません。ドラキュラ伯爵でなくても、ちょっと遠ざけたいほどでした。

ただ、その臭いの元は見つけられなかったのですが「残り香」がありました。その残り香をたどっていくと、きっと臭いの持ち主に出会えたのでしょうけれど。

ニンニクのにおいって、不思議だなと思います。カフェの仕事では、たくさんニンニクを刻みます。ニンニクの皮をむいたりすると指先にはニンニクのにおいが染み付いてしまうこともあります。何度も何度もハンドソープで洗い流しても、全然においは取れないのです。私も帰宅時の電車の中で「あの人、臭い」と思われているのかも知れません……。

でも、ニンニクを調理して、油とともに火にかけている時は食欲をそそり、空腹ならばそのにおいだけでヨダレが出そうなこともあります。逆に満腹状態だと、においだけでも、ちょっと胃もたれしそうです。

食材の中でも身近で、においを発するニンニクについて書いてみました。けれどもこの匂い/臭い問題は色々と思いあたる節があります。

先日、夫が「恋は雨上がりのように」というアニメを見ていました。女子高生がファミリーレストランの店長(45歳。バツイチ)に恋をする話です。アニメの放送はすでに三月で終わっていて、五月には映画の実写化も控えています。

そのアニメの、何でもないシーンでファミレスでバイトする主人公の橘あきらと、ファミレスのバイト仲間、西田ユイとの会話にもありました。
「クサイよ! 店長に近づくと。でも会話するとき口呼吸してるから臭い分かんないし」
店長は異性の対象ではなく、ただおじさんとしか思っていない西田ユイのひとこと。これ、店長が聞いていたらがっくりするでしょうね……。クサイって。あきらちゃんは、店長と親しげに話すユイのことが気になって、ちょっぴりヤキモチを焼きかけていたけれど。この一言でユイが店長へ恋心を抱いていないことがわかり安心します。

45歳だと、まあ加齢臭というか、そんな臭いが出てきても仕方ない。ユイの気持ちもわかる。けれど、あきらちゃんは店長のことはクサイ……かも知れないけれど「もっと店長の近くに寄りたい」好きな人の匂いを感じられるほど、そばに寄りたい。見ていてキュンと甘酸っぱい気持ちになります。

昔付き合っていた人が使っていた香水の香りが鼻腔をくすぐると、良い(悪い)思い出がよみがえったりします。その時にその香水が臭かった、と思うか良い匂いだったと捉えるかは自分自身にとっての「思い出の補正」がかかっているんでしょうね。別れたけれど、良い思い出があるか、付き合うんじゃなかったと後悔ばっかりの相手だとか。思い出によって、その香りは良くもなり、また二度とかぎたくないと思うほどの「香害」にもなる。

匂いと臭い。科学的には腐敗臭だとか、アンモニア発生の関係などもあるのですけれど、日常のにおいは、自分自身の心のうちにしか分からないもの。心理的な側面もたっぷりと含んでいるんだと思います。

雨の日特有の匂いを思い切り吸い込んで考えたことでした。

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