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人ではないけれど、心あるもの

大阪市立美術館で開催中の「江戸の戯画 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」という展示を見てきました。

前期:4月17日〜5月13日/後期:5月15日〜6月10日という日程で、期間中には展示入れ替えがあります。

この展示の開催を知ったとき、うわぁ! と胸が高まりました。歌川国芳の「金魚づくし」シリーズ、全9図が一挙公開されるなんて!

「金魚づくし」とは、トップ画像にも載せていますが、金魚や蛙、おたまじゃくしなどを擬人化して日常の一場面をユーモラスに描いたもの。
むちゃくちゃかわいいです。

何気ない一場面、例えば急に雨が降ってきたから慌てているところ、とか。百物語(順番に話し合う怪談)をしていたら、猫が覗きこんできて慌てふためくとか。

金魚づくしシリーズとして存在する9図が一堂に会する展示だなんて! 前期だけ全て揃っているとのことで、予定をやりくりして行ってきました。

この展示は「戯画」と書かれているとおり、ちょっと面白い、漫画的な絵がたくさん展示されていました。鳥獣戯画もあれば北斎漫画という、今で言うところのイラスト集みたいなものもあります。

展示されている絵はユーモラスなものが多くて、「なにこれ〜」と指差して笑ってしまうようなものも。いろいろな人に愛されるものって、やっぱりユーモアというか、くすっと笑えるエッセンスが含まれているんですね。

私は「擬人化」にも、すごく心を惹かれています。金魚づくしにしても、金魚を人に見立てた動きをさせてみたり。猫が歌舞伎役者のように演じている浮世絵なども大好きです。

動物や植物を人に見立て、いろいろな表現をしている。人間そのものではないのに、人間そのものを描いているように感じます。今だと、ヒグチユウコさんが描かれている擬人化されたネコや植物などにも、同じように素敵だなと感じることがあります。

擬人化って、どこか幼い様に思われることもあるかもしれません。けれど、人間をよくよく観察して、作者独自の解釈や噛み砕いた考えを作り出さないと描けないものです。人間自体を描いてしまうと、イヤミっぽくなったとしても、擬人化という表現で柔らかさを纏わせてみたり。絵本とかもクマやウサギがしゃべったり、ネズミくんがチョッキを着たり。人ではないものが表現をするほうが、スッと人の心に染みることもあるのだと思います。

「江戸の戯画」展、難しく考えず、固まったアタマをやわらかくするにはピッタリの展示でした! 会期はまだありますので、関西方面の方はぜひ足を運んでみてください〜。

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