NO ウィンタースポーツ、YES マイライフ。(スケート編)
「ウィンタースポーツを行わない生活こそ、我が人生」だと言い切れるほどに、運動神経の悪い私にとって、スキーやスケートといったウィンタースポーツは縁遠い存在だ。幼い頃からずっと。
実家の近くに「ひらかたパーク」という遊園地がある。その遊園地は冬のアトラクションとしてスケートリンクが開設されていた。
私も、私の姉も、そして両親とも、誰もスケートは好きじゃなかった。うまく滑れないし、そもそも氷の上を滑ることは何が楽しいのか、いまひとつ理解できなかった。
それにも関わらず、一度、家族で冬の遊園地に行き、スケートをした記憶がある。小学生か幼稚園くらいのころだった。
スケート専用のシューズを借りて、ロッカールームではく時点で、私たち姉妹は、もう少しウンザリしていた。靴が硬くて、足にフィットしない。細い金属の刃がついていて、持ち運ぶことすらこわい。ようやくはけたものの、スケートリンクまで歩いて行くことすら、つらい。
全然楽しくなかった。
姉はスケートリンクにすら、行きたくないと言っていた。母にいたっては、シューズを借りることすらせず、スケートリンクの外から見学しとくわ、と言っていた。「お母さんがスケートしても、ただ手すりにつかまって何周か周るだけやん。そんなん、手袋でなんども手すりを掃除してるみたいで、楽しくないし」と、ハッキリ言っていた。
なかなかスケートリンクに行こうとしない姉妹に対し、父は少しずついらだち始めていた。父も別にスケートが好きだった訳じゃないのだ。おそらく職場か、どこかからチケットをもらって、捨てるのはもったいないから、と遊びにきたのだろう。
「滑りたくないんやったら、滑らんでいいで」と、ぐずぐずする姉妹に言い放っていた。
せっかく遊びにきているのに、父の機嫌を損ねるのはヤバい。姉と私は意を決してスケートリンクまでヨチヨチと歩いていった。
つるつると不安定な氷の上をスイーッと上手に滑る人たちをちらちら見ながら、私たち姉妹はしっかりと手すりにつかまって、ちょっとずつ進んだ。それでも何度か転んではお尻をひどく打ち付けて痛かったし、早々にズボンがびしょ濡れになりうんざりした。転んでもすぐに立ち上がれずもたもたしていると、すぐそばを通っていくスケートシューズの刃が、私の身体を切り裂くんじゃないかと思うと、それもまた怖かった。
結局、姉も私も、レンタルしたスケートシューズが合わなかったのか靴ずれのようになってしまい早々にスケートを切り上げた。転んでびしょびしょに濡れるだろうと予想していた母により、私達姉妹はパンツまでずぶ濡れになった洋服をトイレで着替えさせてもらい、冷え切った体をストーブのそばで温め続けた。
帰り際、スケートリンクから離れた場所にあったゲームコーナーでエアホッケーをしたことのほうがよっぽど楽しかった。
ロクな思い出ではないけれど、家族で出かけた記憶として、いまではすこし懐かしい。
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