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かわいい かわいい本屋さん
もともと本屋さんが好きだ。けれど、こんな本屋さんがあったなら、もう毎日通いたくなるにちがいない。
ヒグチユウコさんの絵本「ほんやのねこ」を読んだ。
絵本の雑誌「MOE」に連載されていたお話が、一冊にまとまっている。雑誌掲載のころから毎月楽しみにしていたけれど、こうして一冊の本になると、すごくかわいくて、見ているだけでも嬉しくなる。
ほんやの女主人、こはるちゃん。すっごくおしゃれで、いつもかわいいエプロンを着ている。ワンピースのようにも見える、彼女の仕事着はとってもおしゃれだ。(一度だけ「パンツルックよ」といっているところもまたかわいい)こはるちゃんが着ているエプロンの柄を実際に布地にプリントしてワンピースを仕立てたいと思うほどにかわいい。誰か、やってくれないだろうか?
ほんやには、いろんなお客様がやってくる。「こんな本を探してます」といってやってくるお客様はもちろんたくさんやってくる。
「この本を取り扱ってよ」と、売り込みにくる、いたずら好きの子たちもいる。ケンカをして仲直りをするために本を一緒に読みましょうというお話もある。
いくつかのエピソードは「あれ? この絵はどこかで見たことがあるな」というものもある。ヒグチユウコさんが、以前に書かれたポストカードだったり、TOBICHI京都の原画展で展示されていた一枚の絵のモチーフだったり。絵本の構想が先にあったのか、原画やポストカードが先かは分からないけれど、あの一枚の絵が、こうしていくつもの物語に膨らませることができるのだろう。
また、ほんやのこはるちゃんの元に遊びにくるお友達は、ヒグチさんのTwitterをフォローしている人にはおなじみの仲間たちでもある。パンダとか、クマとか。みんな可愛くて、本屋でこはるちゃんとお話しするのがとっても楽しくて仕方ない、といった内容だ。「こんなおやすみのある日は幸せね」と言い合うみんなの姿は本当に幸せそうだ。
私が一番お気に入りの話は「ニャンコのおとまり」。夜になって、ほんやを閉めた後。ほんやの中にはいろんな秘密があって、ニャンコはドッキリしたり、ビクビクしたり。幼いころ、「あのお人形は、夜になると動いているんじゃないか」とか、「朝になると、おもちゃの位置が変わっているような気がする」というような不思議な気持ちになっていた。今でも時々、そう思うことはなくもない。夜になれば、いろんな不思議が動き出すのだ。
ニンマリとしてしまうお話もあれば、胸がじんと熱くなるお話もある。ほんやの女主人を取り巻くお話ではあるけれど、悲しみや楽しみ、死についてまでを柔らかな表現で描かれている。わたしがこの本屋を訪れたなら、どんな本をおすすめしてもらえるだろうか? 一度でいいから、この本屋に足を運んでみたい。
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