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盆栽は難しくない。たぶん、きっと。

「大丈夫です! ね、できそうでしょう?」できませんと言えば、目の前にある、ワークショップで作ったばかりの盆栽を枯らすことになる。できません、とは言いたくない。もう後には引けない。

ここのところ気になっていた盆栽のワークショップに参加した。盆栽と呼ばれている生き物達を我が家に迎える覚悟を決めたのだ。

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もともと、実家には盆栽がたくさんあって、身近な存在だった。またそれとは別に「散髪は盆栽の剪定に似ている」と思ったことから、盆栽に対しての興味が少しずつ増えていもいた。

Twitterでフォローしている鈴木稔さんという陶芸家の方がいる。盆栽の鉢を作成し、鈴木さんの鉢に植えられた盆栽の展示とワークショップが開催されると呟いていらっしゃるのを発見。「今まさに求めていた情報じゃないか!」と色めき立ち、盆栽を作成するワークショップに申し込む。

実家にいくつかの盆栽があるとはいえ、苗木を鉢に植え替える方法などは、手伝ったことはありません。私にとって盆栽は「お父さんの趣味。水やりを欠かすとすぐ枯れる」というイメージでした。この「水やりを欠かすとすぐ枯れる」の意味も、今回のワークショップで理解できたので、それだけでも満足。

盆栽の展示とワークショップを開催されたのは「塩津丈洋植物研究所」さん。現在は奈良県で植物を育てていらっしゃるとのこと。

凛々しい盆栽の数々に圧倒されます。

盆栽のワークショップの流れとして、
1.植物を決める
2.鉢を選ぶ
3.鉢に植物を植える
4.土の表面に苔をいれる
5.化粧砂を乗せる
これで完成です。取り立てて難しいものではありません。むしろ、楽しいです。

盆栽の植え替えに必要な道具としてはこちら

カップの左が赤玉土、右が桐生砂と腐葉土の混ぜられたもの。比率は赤玉土3:桐生砂1:腐葉土1
ただし、この土の比率も基本的なもので、植物によってはもう少しいろいろ混ぜたりすることも。
あとは針金とハサミ。ハサミが入ってる緑色の筒はスコップ。割り箸も、植え替えの際に土を取り除いたりする際に必要です。針金は、植物が鉢の中でぐらぐら動かないように固定するために使います。あとは、隠れてしまって見えないのですが、盆栽の鉢にいれた砂がこぼれないようにするネットも使います。盆栽の鉢にはお水を挙げたときに水が通るようにと、あらかじめ穴があけられているので、そこから砂がこぼれ落ちないようにネットでふさいでおくためです。

盆栽についての基本的な考え方を聞いたのち、植物を選びます。

二十種程ある植物のなかから私は「アカマツ」を選びました。アカマツに合わせる植木鉢も選び、早速植え替え開始です。

植物が入っていたポストから抜き出し、根についた土を丁寧に落とします。盆栽の鉢は浅いものが多く、植物の根と土を最小限しか入れられません。根を傷つけてしまわないように、割り箸の先を使って土を落とします。土を落としたら先ほどの赤玉土などを混ぜ合わせたものを入れていきます。鉢から盛り上がらない程度に。

このくらい。

次に、この土の上に苔を乗せていきます。苔を乗せるには、ちゃんとした理由がある。盆栽は植物を育てるには、圧倒的に土の量が少ないのです。そのために、土の中に含まれる水分量はあっという間に乾燥してしまい、植物が水分を吸い上げることができなくなって、枯れてしまいます。そこに苔を敷くことで、保水率も高くなり、土の表面を覆って乾燥を防ぎ、植物自体を枯れにくくしてくれます。

苔! ふかふかしてて、とっても綺麗。苔だけを愛でる、という人がいるのも、実際にこの苔を間近で見ると理解できます。

苔を敷き詰めたら、こんな感じになりました。苔自体も厚みがあるので、ハサミでカットして、整えました。

化粧砂をかけて完成!

化粧砂も、苔が浮いてこないようにと、乾燥を防ぐという理由があります。もちろん、見た目にも綺麗。

ワークショップ自体はこれで終了。最後に「自宅での管理方法」について学びました。

が、ここでちょっとだけ心配なことが。「マツのお手入れはちょっとだけ特別なので、個別指導します。すこしお時間いただけますか?」と。あー、マツは初心者向けじゃないのかな……。いや! もうここまできたら、というか、もう私のアカマツの盆栽は完成してるし! 腹を括って向かいあおうじゃないかという気持ちに。

一般的には、盆栽は日光を浴びせ、最低毎日一回はお水をあげる。植物によって若干時期は違うけれど、春先か秋頃に伸びすぎた枝は切ってあげる。三年に一度程度、植え替えたり、サイズをそのままに保ちたいなら、根を切って成長をすこし抑えてあげる。根本的なことは同じ。

しかし、マツは伸びた枝や芽を切る時期が独特となる。そもそも、どこをカットしていいのかも、教わらないと分からない。

一応、六月末に伸びている新芽をカット。また、十二月に新芽ではなく、古い葉を手で摘んでとる。マツの葉はハサミで切るとそこから枯れてきやすいので、手で摘んでいくのだと教わりました。いやー、手のかかる子だこと!
ですが、講師の塩津さんは、「大丈夫! 基本的なことを覚えてしまえば、できますから!」と、あからさまに不安そうな顔をしている私を励ましてくれました。

記憶力に頼ると、スコーンと抜けてしまいそうなので、書籍も購入。この本の通りに実行すれば、大丈夫なはず!

せっかくなので、展示されていた盆栽も一鉢購入しました。イソザンショウという名前。わっさりとした葉が、アカマツとは違う格好良さがあります。

左がアカマツ。右がイソザンショウ。どちらも常緑樹で紅葉しません。無意識ながらも渋い選択です。もうちょっと良い台も作らなきゃ。

ワークショップ自体は二時間程度でした。盆栽は渋い趣味のようだけれど、奥深いです。私の実家にある盆栽は、多分私よりも長く生きています。

枯らすも活かすも、人間次第。天気を見て、季節を感じながら水やりや虫除けなんかをこまめにやらなければ、あっという間に枯れてしまいます。自分のことだけでいっぱいいっぱいになりやすいですが、盆栽を枯らさないように、いろいろな物事に気を配って生活していきたいです。



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