学校の怪談〜管理職候補から聞いた怖い話〜
ある冬、県の人と一緒に仕事をしたときの話です。
県から派遣されてきたその男性の先生は、年齢を尋ねたわけではありませんが、まだ30代に見えました。
当時20代半ばだった僕の目には、ちょっと上の頼れるお兄さんという風に映りました。
その日、ある行事のために、学校にはそういった方が数人来ていて、警備や案内の仕事を一緒にしていました。
僕は外の担当で、その若い先生と校門のあたりで2人して震えながら割り振られた時間が経つのをひたすら待っていました。
暇な時間も多かったので、僕たちはホッカイロを弄びながら、いろいろな話をしました。
その方がいかに優秀で、上からの期待を背負っているかが、会話の中でよくわかりました。
彼はいわゆる、管理職候補なわけです。
おそらく、このあとどこかの学校に戻り、中学を経験し、教頭、校長の流れ。
管理職コースど真ん中。
しかし。
「そんなにお若いのに県に行くってすごいですね」
僕が何気なく放った一言に、彼の笑顔が一瞬曇りました。
そして、俯き加減に小さな声で言ったのです。
「誰も望んでやってないよ」
こえええええ
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