見出し画像

鼻歌混じりに命がけ




閉鎖病棟で出会ったサヴァンと自閉症の
淳さんというかたが言っていた、
私の好きな言葉のひとつです。

淳さんを見た瞬間、この人、何か違う…
そう感じました。

閉鎖病棟をうろうろしていると、
掲示板があり、そこには詩が。


「気にして良いと私がいう」
いま 私は飢えている 弱音を吐いて甘えたい
青い空に流れる雲を 私の思考とかせねたい
夜空の星に輝く星で 私の未来をたしかめたい
自然を感じてひとつになり 私の感情をながめたい
私が飢えているということは
私が生きているということで
私が死を恐れるということは
私が生きていたいということだ
私が消えてしまいそうな時
私は私の苦しみを探す
私はあなたではなく私で 
あなたは私ではなくあなただから
私の苦しみと あなたの苦しみの間に 線を引く
私があなたを気にすることで
私が消えてしまいそうな時
東西南北 どこを向いても ただただ素直に
ありがとうと言えるまで 私を待つあなたを信じて
私のことを気にしている あなたを信じて


1人の楽な幸せや 共に楽しい幸せを
苦しい日や楽しい日の幸せを
息を吸って はく 常に 良い日を生きている
「そんなことは気にしなくて良い」と
優しい声や 笑う声に
「気にしてくれて ありがとう」
と私がいう 
「でもね 私の心で感じたことを
私の頭で考えたいから気にしなくて良い」
と私がいう

ㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡㅡ 

優しい声や 笑う声に
「気にしてくれてありがとう」
と私がいう
「私の頭の中で考えたいから気にしなくて良い」
と私がいう

私とあなたへ



この詩を読んだ時
こんな閉鎖的な空間で生活していて
こんなに綺麗な本物の言葉が
並べてあることに対して
感動して涙が出ました。
なんて素敵なんだろうって。
書いた人はどんな人なんだろうって。

書いた人、淳さんと私は結構な時間
2人でよくお話ししました。

感性と思考について、理性と知性について

私は大学生の頃ようやくそういった
トピックについて思考を巡らせていましたが
淳さんは小学五年生までしか学校に
行っておらず、そこから
ホームレスになり、団体に参加して
大勢の前で演説をする様になったといいます。
大切な人を失って、
インドでホームレスになったこともあると
いいます。
そんな生き方をした淳さんとお話しするのは
とても楽しかったです。

ここの閉鎖病棟の
過酷で劣悪な環境についてもひとこと
「ゆるいよね!」と言い放って
この人面白いな〜と思いました。

サヴァンらしく、
一つの私の言葉に対して
10くらい返してくれる人でした。

淳さんとお話しする時は本当に
楽しかったです。
でも、私の方が先に退院してしまいました。

ときどき、淳さん元気かな、と思います。
今年、また閉鎖病棟に入院した時に
他の患者さんに
淳さんは元気ですか、と聞いたところ
半年前に退院したとのこと。

私はてっきりいるものだと思っていたので
すごく残念でした。

淳さんには沢山の夢がありました。
今、その夢に向かってがむしゃらに
頑張っているに違いありません。

淳さんは

鼻歌混じりにし命懸け

という言葉を私に言いました。
私も鼻歌混じりに命がけで
生きようと思いました。

いつか、いつか
会える日がきますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?