小中高生とChatGPT等との付き合い方について考える。
もうすぐ夏休み。
先日、文部科学省から、
ChatGPT等のいわゆる生成AIの学校での利用についてガイドラインが出されました。
夏休みに入る前に、
夏休みの宿題でAIは使わないでねって言いたかったんでしょうね。笑
興味のある方は、↓↓↓コチラ↓↓↓ から
元文書を参照&ダウンロードしてください。
初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン
(文部科学省HPより、PDF 3.2MB)
生成AIは、
ビジネスの場では積極的に活用されている印象です。
実際に、私も副業では、
既になくてはならないパートナーになりつつあります。
でも、本格的な登場からはまだ半年余り。
発展途上である、という意見があるのはもっともだと思います。
私の本業の会社でも、
期待できる活用方法はあるものの、
まだ会社として利用するには、
セキュリティ面などクリアにしなければならない課題が多いため、
当面は利用を禁止する、というスタンスです。
自分自身の中では、
AIを使える、使えないが、今後は大きな差を産むと考えており、
積極的な利用推進派でした。
でも、子どもたちに目を向けてみると、
なるほど確かに、
手放しで「これからの時代、AIを活用できなきゃ生きていけないから、今の内から積極的にどんどん使え」とは言いづらいものがありますね。
生成AIの概要
なぜなら、まず、
「生成AIとはどういうものなのか」を
子どもたちにしっかり教えなければならないから。
ガイドラインでは、
最初に生成AIの概要が説明されていますが、
特に大事なのは次の3点です。
生成AIを使うに当たって、
一番意識して、一番気をつけなければいけない点です。
「回答」が出てくるわけではない。
アイデアを出したり、
アウトプットを広めていくときには有効、ということです。
私でさえ、理解しているはずなのに、
使っていくうちに、それを忘れてしまいそうになることがあります。
子どもならなおさら、
これを正しく理解していないと、回答を鵜呑みにして、
自分で考えることも、真偽を確認することもせず、
そのまま使ってしまう可能性は十二分にあります。
まだまだ未熟な子どもの知識では、
真偽を確認できない、と言った方が正しいかもしれませんね。
生徒たちの活用
教育現場では、
全国の学校で一斉に使い始めるのではなく、
一部の学校を対象とし、
使えそうなシーンを考えながら、
パイロット的に色々試して、
メリット・デメリット、リスク等も確認しながら、
段階的に活用していこうという基本方針になっています。
具体的な段階としては、次の通りです。
⽣成AI⾃体を学ぶ段階(⽣成AIの仕組み、利便性・リスク、留意点)
使い⽅を学ぶ段階(より良い回答を引き出すためのAIとの対話スキル、ファクトチェックの⽅法 等)
各教科等の学びにおいて積極的に⽤いる段階(問題を発⾒し、課題を設定する場⾯、⾃分の考えを形成する場⾯、異なる考えを整理したり、⽐較したり、深めたりする場⾯などでの⽣成AIの活⽤ 等)
⽇常使いする段階(⽣成AIを検索エンジンと同様に普段使いする)
まず、仕組みや使い方を学び、
各教科等を通して、実際にどのような場面で生成AIが使えるのかを学び、
これらを経て、
生成AIを検索エンジンのように日常使いできる状態を目指すという方向性になっています。
私たち社会人にも参考にできるステップですね。
また、生成AIの使い方として適切でないと考えられる例と、
活用が考えられる例についても記載があります。
【適切でないと考えられる例】
⽣成AI⾃体の性質やメリット・デメリットに関する学習を⼗分に⾏っていないなど、情報モラルを含む情報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階において、⾃由に使わせること
各種コンクールの作品やレポート・⼩論⽂などについて、⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物として応募・提出すること
詩や俳句の創作、⾳楽・美術等の表現・鑑賞など⼦供の感性や独創性を発揮させたい場⾯、初発の感想を求める場⾯などで最初から安易に使わせること
テーマに基づき調べる場⾯などで、教科書等の質の担保された教材を⽤いる前に安易に使わせること
教師が正確な知識に基づきコメント・評価すべき場⾯で、教師の代わりに安易に⽣成AIから⽣徒に対し回答させること
定期考査や⼩テストなどで⼦供達に使わせること
児童⽣徒の学習評価を、教師がAIからの出⼒のみをもって⾏うこと
教師が専⾨性を発揮し、⼈間的な触れ合いの中で⾏うべき教育指導を 実施せずに、安易に⽣成AIに相談させること
【活用が考えられる例】
情報モラル教育の⼀環として、教師が⽣成AIが⽣成する誤りを含む回答を教材として使⽤し、その性質や限界等を⽣徒に気付かせること
⽣成AIをめぐる社会的論議について⽣徒⾃⾝が主体的に考え、議論する過程で、その素材として活⽤させること
グループの考えをまとめたり、アイデアを出す活動の途中段階で、 ⽣徒同⼠で⼀定の議論やまとめをした上で、⾜りない視点を⾒つけ議論を深める⽬的で活⽤させること
英会話の相⼿として活⽤したり、より⾃然な英語表現への改善や⼀⼈⼀⼈の興味関⼼に応じた単語リストや例⽂リストの作成に活⽤させること 外国⼈児童⽣徒等の⽇本語学習のために活⽤させること
⽣成AIの活⽤⽅法を学ぶ⽬的で、⾃ら作った⽂章を⽣成AIに修正させたものを「たたき台」として、⾃分なりに何度も推敲して、より良い⽂章として修正した過程・結果をワープロソフトの校閲機能を使って提出させること
発展的な学習として、⽣成AIを⽤いた⾼度なプログラミングを⾏わせること
⽣成AIを活⽤した問題発⾒・課題解決能⼒を積極的に評価する観点から パフォーマンステストを⾏うこと
やはり、安易に使ってしまうことは、
知的にも成長段階にある子どもたちにとっては非常に危険です。
どんなに技術が進んでも、
人間としての創造性や感性は失われてはならないし、
文章を読む力・書く力が必要なくなるワケではありません。
しっかりと上手に使い分けていきたいですね。
先生たちの活用
先生たちについては、
民間企業と同様に、「社会人」として、
積極的に活用していこうという内容になっています。
理由は、大きく分けて次の2点。
働き方改革の一環
今後、生徒に教えるために自分が知っておく必要がある
校務の中で想定される利用シーンを挙げつつ、
くどいぐらいに「たたき台」という言葉が使われています。笑
あくまでも最終的なアウトプットではなく、
過程で使うことが有効で、
最後はしっかり自分でチェックしなければいけない。
それが、とても強調された内容になっています。
今回は、子どもと生成AIがテーマなので、
先生たちのことはこれくらいにさせていただきますね。笑
子どもにとって、
家庭も立派な教育の場です。
この文部科学省の教育現場におけるガイドラインなら、
それはそのまま、家庭におけるガイドラインと同じです。
学校に任せきりにするのではなく、
家庭でもしっかり子どもに教えられるようになっておくことが必要だと考えます。
また、これからは、
こうした生成AIも当たり前に使える若い世代が社会に出て来ます。
自分の部下や同僚は、そんな若者であふれるかもしれません。
子どもに聞かれて、
「AIはよく分からないんだよ…。」
としか言えない残念な親にならないよう、
部下や同僚に、
「え?AI使えないんですか?」
と言われる残念な上司にならないよう、
教育現場で想定されているような段階を踏みつつ、
少しずつ、しっかりと勉強して、使いこなせるようになっていきましょう!
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