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病室からの初日の出。

「ほら、起きて。初日の出だよ。」

6年前の2018年元旦。
息子(当時小1)と私は、病院の病室で新年を迎えていた。

年末のちょうど学校が冬休みに入る頃。
息子は40度近い高熱を出し、強い首の痛みを訴えた。

川崎病だった。

高熱は1週間近く続いたけれど、
クリスマスに受けた24時間に渡る点滴が効いて、
息子の病状は改善。
ひと安心だった。

年末までには退院できるのかな?

医師に相談してみると、
川崎病は、症状が改善してから10~14日間は外出禁止とのこと。
残念ながら、息子の年末までの退院は叶わなかった。

また、病院というのは、
帰宅可能な患者さんは、年末に一時帰宅し、
自宅で家族と年越しをして、年が明けたらまた病院に戻ってくるのが一般的らしい。

息子と同じ病室の患者さんも、
ひとりまたひとりと一時帰宅し、
6人部屋に残ったのは息子だけ。

息子と私は、広い6人部屋で、
ふたりだけで年末年始を過ごすことになった。

そして迎えた元旦。

病室からは初日の出と、
それに照らされる富士山が見える絶好のロケーション。
私は寝ている息子を起こして、ふたりでその光景を楽しんだ。

息子にとっては、初めて見る初日の出。

実際にこの光景を「楽しんだ」のは私だけ。
息子にとっては、眠っていたのを起こされたことの方が不満で、
初日の出に大して感慨はなかった様子。

でも、それから新年を迎える度に、
息子に「病院で初日の出を見たの覚えてる?」と聞いてみる。

息子にとっては、病気でとてもつらい思いをした記憶ではあるけれど、
病院から見た初日の出は、息子と私のふたりだけの思い出。
なかなかできない貴重な経験だったと思ってくれているようだ。

今年もこの後聞いてみよう。
息子にこの質問ができる元日も、あと何回あるだろう。

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