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私の中で生き続けてる言葉

16歳の頃

当時でもう3年ぐらい大好きだった2つ上の先輩がいてたんだけど、その先輩、今思えば、恋愛に関しては、超クズ男で。。。

それでも、当時の私にとっては、めちゃくちゃ、素敵な人だった。

高校生になってから、彼と関係を持つようになり、彼の親とも仲良くなり、夢のような日々を過ごす中、彼はいつも、突然、他に女を作っては私を捨てた。

最初の頃は、一晩泣いて泣き尽くして、気持ちを切り替えて、前を向くと言う潔さがあった。

だけど、私は、女と別れては、戻ってくる彼を毎回、信じて受け入れていた。
都合よく扱われてるなんて18歳の私には気づきもしていなかった。

当時、私には仲の良い男友達がいて、仲が良いと言うか、なんというか、、
学生の頃は、いつもお弁当さらっていくし、いじめっ子で悪ガキで、彼女と揉めたら逃げ込んでくるわ、お金がなくなったら、ご飯せびりに来るわ。
1人が寂しいから買い物付き合わされるわ。
ま、ある意味、兄弟のような世話の焼ける男だった。

そんなある19歳の夏、
その子から電話がかかってきて、
『昨日の夜、みんなで溜まってたら、知らん女の人が来て、
あなた達、◯◯の後輩よね?
私、◯◯の彼女だから。
って、言って去って行ったけど、
お前、◯◯君の彼女の話聞いてる?』

私は、まただ。。

電話の向こうで泣いた。
初めての事じゃないのに、何回もやられてるのに、本気で泣いた。

『聞いてない。
なんで、いつも、こうなの?
なんで、いつも、話ししてくれないの?
なんでいつも突然、突き落とされるの?
なんで?
なんで?』

そういって、ワンワン泣いた。

彼は、電話の向こうで黙ってた。
しばらく黙っておもむろに、

『すぐにかけ直す。待ってて。』

そう言って電話を切った。

どれくらいたっただろう。
10分くらいだったのかな。
なんでこうなるんだろ、、そんな事を考えながら、私は、ぼーっと部屋の天井を眺めていたら折り返しの電話がかかってきた。

『今、◯◯君に電話したから。』
『、、へ?』
『これ以上、あいつの事、傷つけないでください。
付き合えないんだったら、別れるんだったら ちゃんと、顔見て、あいつと話をしてあげて下さい。じゃないと。あいつが可哀想すぎる。
そう、言ってきたから。
だから、ちゃんと、連絡あると思う。
俺も、◯◯君の事大好きだし、そんないい加減な男でいて欲しくない。』

中学生の頃の2つ上の先輩って
憧れでもあり、怖い存在でもありますよね。
そんな相手に物申してくれた気持ちが嬉しくて、悲しいのと嬉しいのがごちゃ混ぜになって、また泣いた。

そんな私に彼は、
『俺さ、お前が羨ましいわ。
なんか、楽しそう。』

私は、ピタッと涙を止め、さっきの感謝も忘れ『は?何が?どこか?この状況の?何が楽しいの?は?』

そう言う私に
『いや、ちゃうねん、そうじゃない。
俺、お前みたいな状況になりたくないもん。
ちゃうねん
あんな
どんなに笑って楽しそうにしてても、楽しそうに見えへんやつがおんねん。
だけど、俺、お前泣いてて悲しいの解るけど楽しそうに見えんねんもん。
状況が最悪でも人から楽しそうに見えるって幸せなんちゃうかなって、思うねん。
うまく言えんけど、、』

この言葉がずっと頭を巡って
いつの間にか心に住みついて15年がたった頃
私は、自分が経営したお店を手放した。
そんな時、この言葉をくれた彼が
突然、この世界からいなくなった。
35歳の冬だった。

私はお店を手放した空虚感で自分の立ち位置が分からなくなって、ただただ彼の言葉を頭で繰り返した。

そうだ。
とにかく、楽しまなくちゃ。

お酒を飲み、新しい仲間を見つけ、毎日、騒がしく過ごした。
楽しんでると言う事に必死だった。
楽しんでると思われなくちゃ。


—————


ねぇ、
私、いつの間にか取り違えてたね。
あんたの言ってた事。

お店を経営してる時、辛くて仕方がなかった事が沢山ある。
でも、不思議に後悔がない。
なのに、この4年程、すごく楽しかった事が多かったのに後悔だらけなんよ。
なんでだろ。

あの時あんたは
もがいて苦しんで悩んで必死な私を楽しそうって言ったんだったね。
一生懸命に生きてる事を楽しそうって言ったんだったね。

あれから、もう20年か、、。

いつか、

お前の人生、オモロイなっ!

そう、言ってもらえるよう、
私は今日も、あんたのいないこの世界を精一杯生きるよっ!


追伸。
あ、この間、あの彼がまた連絡してきたから
私、あんたの事、もう1ミリも好きじゃない。
いつまで何自惚れてんの?何歳なの?
いいおじさんが馬鹿じゃない?

って。言ってやったよ。笑












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