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シェンゲン協定  ヨーロッパの繁栄の礎

欧州の国境ではパスポートコントロールがありません。欧州全体ではありませんが、フランスとドイツ、ドイツとスイス、スエーデンとノルウェー、などは車・鉄道・飛行機で自由に往来が出来ます。

一方、パリからロンドンに空路・鉄道で入る時にはパスポートコントロールがあります。

これは、EU加盟国だからではなく、国境検査なしで国境を越えることを許可するシェンゲン協定を締結している国が対象です。

スイス、ノルウェーは非EUですが、シェンゲン協定締結国です。
英国はEUでしたが、シェンゲン協定を締結していませんでしたのでパスポートコントロールが必要です。

欧州は車を使って往来することができます。高速道路網が整備されているので、例えば、ドイツからフランスを抜けてスペインまで一気に車で行くことができます。また、ベルギーとフランス国境付近に住んでいるベルギー人がフランスのスーパーマーケットに買い物に行くのも日常的なことです。

労働者も同じように、スイス国境付近のドイツに住んでいる人がスイスに車で通勤します。パスポートコントロールはありません。神奈川都民、千葉都民のようなものです。

自由に往来できることから、いったんシェンゲン協定国内に入ると自由に他の国に行くことができます。難民問題はこれが根本にありました。ドイツを目指してハンガリーに多くの難民が入ろうとしました。ハンガリーからオーストリアを経由してドイツを目指すのです。

こうした問題以上に経済的メリットが大きいと考えます。人だけでなく物流の往来も自由ですので、ヨーロッパの繁栄の礎だと言ってもいいと思います。

このシェンゲン協定は、ルクセンブルクのシェンゲン村で1985年6月14日に、西ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの5カ国で締結されました。
シェンゲン村は人口500人くらい小さな村で、ドイツ、フランス、ルクセンブルクの国境が交わるところにあります。

協定は、国境があるモーゼル川上の、3カ国の国境地点の船上で署名されました。面白い逸話です。

シェンゲン村にはシェンゲン協定の記念館がある程度で観光客もほとんどいませんが、写真のようにEUのEをかたどった植木があります。

時に、人の自由な往来による問題が発生するとシェンゲン協定そのものについての議論に発展することがありますが、シェンゲン協定はヨーロッパ人の英知を具現化したものと思います。

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