【BL二次小説(R18)】 媚薬ルーレット⑦終
「はァン、新開……新開……」
つい今、殺人予告をしたばかりの相手の名を呼びながら悶えている荒北。
「靖友になら殺されても本望だよ……。けど、それよりおめさんと恋人同士になりたい……」
新開は荒北に優しく口づける。
「正気のおめさんはオレを呪ってるかもしれねぇけど、今のおめさんはどうなんだい?ちょっとでもオレのこと愛しいと思ってくれてたら嬉しいんだけどな……。それとも、媚薬飲んだらやっぱり目の前にいる奴と誰とでもヤっちゃうのかい?今回は運良くオレが傍にいたけど、もし違ってたらと思うとゾッとするよ……」
「新開……あぁン、あフ」
「オレとセックスしてる時に他の男の名前なんか出さないでくれよ。嫉妬で気が狂っちまう。靖友……好きだ。オレだけのものになって靖友」
「イク……新開イクぅぅ」
「毎晩イかしてやるからさ。靖友、好きだ」
「あぁあーーーーっ!!」
「靖友!靖友!靖……!」
もう何度目かわからない荒北の絶頂と共に、新開も果てた。
息を整えていると、荒北がグッタリしたまま動かないことに気付く。
荒北は失神していた ──。
~ピロリロピロリロ~
東堂のスマホが鳴る。
「どうした隼人」
電話をかけてきたのは新開だった。
「ああ、オレとフクはまだ料亭にいる。あれから貴様達の分までフクが頑張って料理を全部食べてくれたのだぞ。感謝するのだな。今は襖の向こうでガーガーいびきをかいて眠っている。オレも今夜はここに泊まるよ」
東堂は手酌で新酒を呑んでいる。
「ん?媚薬?媚薬がどうした?……なぬ?残りを買い取りたい?1粒2万出すだと?何を言っとるのだ貴様」
媚薬の入っていた小瓶を机の上でクルクル回す。
「媚薬はインチキだったと検証で結果を出したではないか。だから残りは全部トイレに流したぞ」
空になった小瓶を逆さに振る。
「なっ!何をわめいているのだ!ギャーギャー叫んでも意味がわからん!貴様、泣いているのか?泣き叫んでも余計に聞き取れん!荒北に替われ!一緒にいるのだろう?」
スマホを耳から遠ざける東堂。
「なぬ?殺される?誰が?逃げろだと?何を言ってるのかさっぱりわからん。は?巻ちゃんにも警告しろ?隼人、貴様酔っているのか?おい隼人!」
ツー、ツー、ツー……。
電話は一方的に切れた。
「……なんだったのだ今のは。全く、酔いが覚めてしまったではないか」
東堂はもう寝ようと、隣の部屋から自分の布団をズルズル引っ張ってくる。
「フクのいびきがデカ過ぎてとても同じ部屋では眠れん」
電気を消して布団に入る。
「今夜は散々だったな……。まあ、だが賑やかなのは嫌いではない。媚薬は不発で残念だったが、話題性はあった。それで充分だ。おかげで楽しかったよ巻ちゃん。……おやすみ」
殺気が近付いて来ていることも知らず、東堂は眠りについた ──。
おしまい
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