【BL二次小説(R18)】 媚薬ルーレット①
「まぁ、ゆるりと寛ぐがいい!ワッハッハッ!」
今夜は東堂主催の飲み会だ。
いつもの居酒屋と違い、高級料亭の完全個室だった。
勿論値段もそれなりに高く、大学生の小遣いでは無理である。
今回は東堂のおごりだと言われて、いつもの仲良し4人組は集合していた。
「全く寛がねェよ」
「ム、普通は学生だけでこういう店には入れないんじゃないのか?」
「まさかこのあと芸妓さんが出てきたりしないだろうな」
荒北、福富、新開の3人は落ち着かない様子だ。
「ジャンパーとデニムとスニーカーで来ちまったじゃねェか。料亭なら料亭って最初に言えよバァカ。だったら来なかったのにヨ」
「メシが上品過ぎて味がわからん」
「芸妓さんに払うチップだけで今月のバイト代飛ぶよ。参ったな」
東堂はネガティブなことばかり言う3人にうんざりする。
「荒北、この店はオレの顔が効く。どんな格好で来ても大丈夫だ。フク、貴様はどうせリンゴ以外の味などわからんだろう。隼人、期待させて悪いが芸妓は呼んでいない。……全く。オマエ達にはもっとこういう場に慣れさせんといかんな」
やれやれといった感じで東堂はため息をつきながら肘掛けにもたれた。
「……で、今回こんな店にオレ達を呼んだのはなぜだ」
「おう。それだよフク」
上体を起こし、東堂はパンパンと手を叩いた。
すぐに襖が開き、仲居達が酒を持ってきた。
「まずはこの酒を呑んでくれ」
仲居達は4人に各々酒を注ぎ、部屋を出て行った。
「今度うちの旅館でも売り出そうと思っている新商品なのだ」
「なんだ、試飲会かヨ」
「……ム、旨い」
「呑み易くていいと思うよ」
口当たりも香りも良いので4人は一気に呑み干した。
東堂は全員が呑んだのを確認してから、語り出した。
「実は先日、巻ちゃんからイギリス土産を貰ってな」
3人はキョトンとする。
「イギリス土産って何か有名なのあったか?」
「紅茶か?」
「カレー?」
東堂はまた深くため息をついた。
「全くオマエ達の知識ときたら……。歴史も知らんのか」
荒北はイラッとして言う。
「勿体ぶらないで言えヨ。どうせ自慢したいんだろ?」
東堂はニヤリと笑い、3人に身を乗り出して言った。
「……媚薬だ」
その淫靡な響きに、3人は一瞬息を飲んだ。
「……そうか。イギリスと言えばドラッグかァ」
「よく知ってるな荒北」
「イギリスの有名ミュージシャンは大抵ドラッグで若くして死んでっからなァ。先日もジョージ・マイコーが……まァいっか」
荒北は福富に洋楽の知識を披露する。
「使ってみたのか?尽八」
新開が興味津々で聞く。
「いや、まだだ。数粒ある」
「なぜ巻島はそんな土産を?」
福富は素朴に質問する。
「さあ?シャレじゃないか?」
東堂は答える。
「尽八と使うつもりで買ってきたんじゃねーの?」
新開はニヤニヤして言う。
「それなら直接オレに飲ませれば良かろう。こうして普通に土産としてくれたということは、“誰かと楽しんでくれっショ”という意味だろう」
「それもそうだな」
新開はちょっとつまらなそうな反応を見せた。
「まァ、媚薬なんてインチキらしいかンな。暗示にかかってその気になってるだけで、中身はただの栄養剤だったりするンだぜ」
荒北は馬鹿馬鹿しいという感じで手をヒラヒラさせる。
それを聞いて東堂はニヤリとする。
「だがな荒北、日本のならそうかもしれんが、これは本場の物だぞ」
「う……」
荒北はちょっとドキッとする。
「興味あるなぁオレ」
新開がニコニコする。
「オメーは媚薬なんか必要ねェだろ?」
荒北がツッコミを入れる。
「そんなことねぇさ。好きなのにどうしても手に入らない相手には薬飲ませてでも……なんて思ったりするよ」
新開は荒北にグッと近付き、目を覗き込むようにして言う。
「犯罪じゃねェの?ソレ」
荒北はたじろいで身を引く。
「ふむ。話が盛り上がってなによりだ。でな……」
東堂は仕切り直すように語り出した。
「その媚薬の効果を確かめるべく、検証を行うことにしたのだ」
「検証?」
「どうやって?」
「誰かに飲ませる気か?」
3人が東堂に問う。
東堂はドヤ顔で答えた。
「実はな、さっき呑んでもらった酒に、一人だけ、その媚薬を溶かして入れてあったのだ。誰に当たったかはオレにもわからん。確率は4分の1だ」
「!」
「!」
「!」
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