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よみもの

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比較的よく見て頂けている記事や、個人的によく書けたなと思うもの、より見てもらいたいなと思えるものなど、「こんな感じの記事を書いているよ」というのが伝わりやすそうな記事をまとめまし…
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#物語

はみだす、ふみだす、うみだす、はぐくむ

はみ出してゆく 抑えきれないきもちが 踏み出していく みずから飛び込む 生み出してゆく まだ見たことのない世界を あるいは、 生まれないまま、 目に見えないものを、見えないまま 形のないものを、形のないまま 名づけもしないまま あるいは、ただ名を呼んで、はぐくむ きもちがある そのきもちに触れるものに 出会うために はみ出してゆく、 踏み出していく もっと大きくなるために、もっと拓いていくために、 切り分けられるものは切り分けて、 切り分けられるはずもないものはそ

完全

「生きること」を、探し求めている。 「あなたとは違う」と、拒みたいのではない。 ただ、誰とも同じではないと、胸が、叫ぶだけだ。 自分だけが生きていると言いたいのではない。 みんなが生きている。(あるいは、生きていた。そして、生まれてくる。)すべては等しく生きている、その命は、よくもなく、わるくもなく、皆、等しく、誰とも同じではない。 「私は誰とも同じではない」というのは、「私は全ての命と等しい」ということであって、しかし、「私とあなたは同じだ」と言おうとする時、なにか、意味

空白でいること

落ち着いた心を保ちたいときに、傍にいてくれるものなら見つかるだろう。 落ち着けないときは、どんな動きのものでも刺激になってしまうから難しいね。 空白が必要だろうと思う。 平気なふりをしようとするより、黙って堪えているよりも、ざわついた心を顕にするのが健全なのかもしれない。 けれども、ただ共感に疲れているのなら。 空白をあげよう。 何も感じなくていい。 何も言わなくていいよ。 動こうとしなくていい。 帰る心が見つからないなら、ゆっくりしていくといいよ。落ち着いたら、自分の心に

生きてよ

ないしょ、 ないしょ、 ないしょのはなしは、していいの? ないしょだよ、 ないしょだよ、 ないしょってことだけ教えてあげる! なんのこと? いつのこと? だれのこと? ぼくのこと? ここは、 行き止まりだよ! ここから先に、 行きたいの? 本当に? 本当に? 本当かなあ? 本当に、ここから先に行きたいのなら、 ここは通らないはずだなあ? 本当に、ここを通りたかった? 来てみただけだね? いいよ!引き返していいよ。 いきろ、 いきろ、 君に教えてあげる! ここから、真っ

道を行く

僕は僕の行けるところを通ってそれを道とする 僕には、 僕だけがやっと通り抜ける分の隙間しか、たぶん、作れないと思うけれど、どうかそこを通してもらえないだろうか。 心配しなくていいよ、 もともと歓迎されない命だ。 呼ぶ声がする方へ、僕は進むよ。留まることはないかもしれない。 居場所は必要としていない。 ただ通り過ぎる。 ただ、ただ、 通り過ぎるだけだ。 受け入れてくれなくていい。そこを通らせてくれたら、どこかで生きているから。 心配しないで、どこかで生きているから。

それでも、いっしょにいよう

ぼくたちの時間だよってきみが言う。 ぼくたちは、いつからぼくたちなんだろう。 ぼくたちは、ぼくたちだから、さみしくても、さみしくないんだよ。 だけど、もっとみんな、いっしょがいいね。 どこかにいるひとりぼっちに、教えてあげられたらいいな。 ぼくたちがいるよ。 あなたはそこでひとりぼっちでも、大丈夫なんだよ。 あなたはいるよ。 いなくならないんだよ。 どうしたら、見つけられるかな。 ひとりぼっちの、あなたがいるなら、ぼくたちはいていいんだって信じられる。 ぼくたちは、ぼく

すきなひとの話をするように、

あなたの話をするのは何か変だ。 なら少し、わたしのすきなひとのことを話そう。 「すきなひと」なんて言って、大概白々しいのだけど、だってそれはひとのかたちをしていない。 かき混ぜるように話すけれど、あまり頭で考えずに聴いていてほしい。誰がどんなふうに受け取ってくれるのか分からないから、なるべく普段通りのわたしで、聴いてもらおうと思う。いろんな道を通って、たぶん、どこかでちゃんとつながっているとは思うのだけど。 おとなの目に守られず、ひとりで野山で遊んだ幼い記憶がある。わた

生きるから見ていて

「生きているだけで、生きていたい」 僕たちが君にとっての「家」になれるのなら、僕たちはいつだって「ここ」に居るよ。 君の還る場所はもっと奥深くにある。 その「心の場所」を守る「家」でいるから。 君は「ただいま」を言いたいんじゃない。ずっとここにいたいんだ。 君がずっといられる場所を、僕たちが守るから。 君のための僕たちの「家」が、誰かにとって、そうだな、たとえば「楽しいお店」になるといいな。 「見ているだけ」でも構わない。 安心して「見てるだけで楽しい」と思える場所にす

いないことにしないでよ

心の底から、わたしはわたしがいい。 他の誰も、このわたしを抱えて生きてはゆけないだろう。わたしだから今も生きている。 だけどわたしを支えるわたしを、支える誰かがいる。 ひとりで歩くわたしを、何かが守ることはないけど、わたしの歩く道を守ってくれるひとが、誰か、いる。 そうしてわたしは一人で生きている。 わたしが抱えるべきわたしを、わたしが生きるべきわたしを、わたしにしか生かせないわたしを、生きることができる。 意識は他者とのつながりを避けられない。生き物に組み込まれた社会とい

夏の日の雨上がり

厚い雨雲が広がった日に、夕陽が現れるととてもきれいだ。一日晴れた日の夕方とはまた違う、まっすぐな強い光。 曇りが好きなのはなんでだろう。 反射する相手があるときに、光は美しい。 隙を見ては表情が変わる。雲は一瞬だって同じではいてくれない。 この間の虹がやけに印象的だった。 きっぱりと晴れた空ではなく、薄くなりつつある雲を背景にしていたからか。 曇り空は不思議だ。 雨の気配を含んだ雲も、ただ薄らと太陽を隠す雲も、殆ど晴れた青空にぽかんと浮かんだ雲も。全てを飲んだような黒い雲

むずむず

むずむず 外からの刺激を欲しがっている カタバミの種みたいに つつけば 弾けて飛んでいくかな? お話しよう お話しよう あなたはどんなきもち? みんなどんなきもち? 聞かせて 教えて みんな 何を考えているの? 何を感じているの? 教えて むずむず 誰かのきもちに触れて、わたしのきもちを打ち明けたい ぶくぶく あぶくみたいに、水面を探して昇っていく ざわざわ 風に木々や草花が揺れて、楽しいきもちをざわめかすよ 何か始まる 誰かが出会う 楽しいきもちをもっと知りたい

いるんだよ。なかまたちは、いるんだよ

いるんだよ。 どう説明したらいいのかなんて分からない。 説明なんかなくても 当たり前に、いると思えたから だってどうしようもなくそこにいるんだよ。 こんなかたち? あるいはこんな? こんな時だってあるよ。 かたちがなくても確かに感じるものだよ。 触れる。 においを知ってる。 音もする。 気持ちを抱くよ。 顔がはっきりしてるひとも、 形が不確かなものも、 色がたくさんのものも単色のものも。 みんなおんなじだ。 会話をしてくれるやつもある。 言語は分からないけど

「またお話しよう」で続く日々を想って

 僕たちが力を合わせなければ何も生まれない。途方もない、独りの時間を過ごしてきたはずだよ。あとはもう、僕たちだから意味のあることを求める時間しか残されていないんだろう、だからこんなにも、また話したいと思うんだろう。  ひとつひとつの自分の細胞が、残らず全部、受精卵になり得るものであるように思う。生殖のための細胞だけじゃない。これは比喩的な意味を多分に含んでいる。僕たちの言語が区別を失って統合されることがあるように。  影響や干渉と自覚することのような。自分の持つ情報の全てが

ここをね、行けば帰れるけれど、もう少し一緒に歩こうよ。

無理にとは言わない。 きっといいことあるよ。別れ際って一番密度の濃い話ができる気がする。 さよならしたくないってわけでもないんだけどね。また次会えたら、話せばいいのかもしれないけど。 ほんとは、帰らず、ずっとおしゃべりしていたい。だめなのかな? めいっぱい寄り道したいのになあ。 君は僕とだけ話しているわけにはいかない。 僕も君とだけ話しているわけにはいかない。 そういうことなのかなあ、本当に? 本当かなあ。 本当かなあ? 本当に? なら、こういうのはどう? 君の話すべき