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『辺境を歩いた人々』 宮本常一

 本書には、近藤富蔵、松浦武四郎、菅江真澄、笹森儀助という四人の、それぞれ時代も立場も異なる人たちが、日本列島の辺境を歩いたさまが評伝風に書かれてている。一八世紀半ばの江戸時代後期から明治末までの一五〇年ほどの時期は、まだ日本という近代国家は確立しきれておらず、中央から遠くはなれた地域まで行政の目が行き届いていなかった。北は千島列島、樺太、蝦夷地、東北など、南は八丈島、奄美、沖縄、宮古、八重山の島々に移動して、彼らはその土地の地理や人びとの生活を記録しようとした。その旅の多くは探険といえるほど危険なもので、疫病にかかったり航海中に命を落としたりする可能性もあった。

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