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生鮮野菜・果物への値上がり実感が急上昇、3週間で10ポイント増加(マクロミル調査)

アメリカ大統領選挙でのトランプ氏当選や、国内プロ野球日本シリーズでの横浜DeNAベイスターズの下剋上優勝など大きなニュースが報じられた11月。また、身近な生活では気温の低下によるインフルエンザ患者数増加なども報じられました。そんな11月の消費動向や生活マインドについて、ウイークリー生活者定点観測調査「Macromill Weekly Index」から読み解きます。


今回も、マクロミル・グローバルリサーチ・インスティテュート シニアフェローの熊谷信司が読み解きます!

値上がり実感割合、「生鮮野菜・果物」と「米」が11月第2週に逆転

モノやサービスの値上がりを実感した品目を尋ねる「値上がり品目」に関する生活者意識を見ていきます【図表1】。
 
11月は「生鮮野菜・果物」のスコアが毎週上昇を続け、11月第1週時点で46.8%、第4週時点で56.3%と、10ポイント近く上昇しました。また、夏以降はコメ不足の影響から、「米」の値上がり実感が高い状況が続いていましたが、11月第2週に「米」と「生鮮野菜・果物」が逆転。大根、白菜といった冬野菜の鍋物・煮物などが増えてくるこの時期での価格上昇が影響していると考えられます。

「米」にフォーカスすると、新米の流通も進み10月から11月前半にかけて値上がり実感割合が徐々に低下しました。しかしその後の数週間は50%前後でほぼ横這いで、生活者の間では米価格への高止まり感が出ているようです。

【図表1】1カ月前と比べて値上がりしたと感じる品目
(2023年9月~2024年11月/主要品目のみ)

「1週間の個人消費金額」は前年から727円増の17,096円(週平均)、年末年始に向けて消費マインドの上昇開始

「1週間の個人消費金額」は週平均17,096円で、前年11月の16,369円と比べて727円増加しました。文化の日の連休があった11月第1週は17,000円を超え、第2~3週は微減するも17,000円近くを推移し、第4週には17,719円と再び上昇しました。第4週には、ブラックフライデーと銘打ったセールが始まり、消費が活発になったようです。具体的な購入品目の動きは、次節でご紹介します。【図2_1】

【図表2_1】1週間の個人消費金額(2023年10月~2024年11月)
※家賃やローン、公共料金、電話料金などの毎月の支払いを除く

また、今後の消費マインドを示す「1カ月の消費予想」の指数を見ると、10月後半から徐々に上昇が続いています(緑色の折れ線)。10月末(10月第5週)の指数は54.4でしたが、1カ月後の11月第4週には59.4と、5.0ポイント上昇しました。【図表2_2】

【図表2_2】1週間の個人消費金額と、今後1カ月の消費予想(※)
(2024年10月~11月)
※今後1カ月の消費増減予想について、以下の点数を付与したときの加重平均値「大幅に増えると思う(100), やや増えると思う(75), 変わらないと思う(50), やや減ると思う(25), 大幅に減ると思う(0)」

例年、「1カ月の消費予想」は年末年始が近づいてくる11月に上昇を開始する季節変動があります。年末に向けて消費意欲が高まる時期となったことが、今年のデータからも確認できます。【図表2_3】

【図表2_3】今後1カ月の消費予想(2019年~2024年)

気温が高かった11月、「洋服」購入の増加は例年よりも後ろ倒し。11月末にはセール等で「洋服」「化粧品」の購入が上昇

「過去1週間の購入品目」から、いくつかの品目を取り上げて変化を見てみましょう【図表3】。
 
外食について見てみると、10月以降、3連休の含まれる2つの週(10月第3週(スポーツの日)と11月第1週(文化の日))において、「家族との外食」がどちらも32.1%と、他の週より4~5ポイント前後高い割合となりました。一方、友人や同僚などとの「食事会・飲み会」は、この2カ月間は毎週15~17%程度と、ほぼ変わらずに推移しました。
 
続いて、日用品をいくつか見てみましょう。10月後半頃から気温が下がる日が増え始め、「洋服」の購入割合が10%を超える週が増えてきました。一方、前年11月と比較すると、例年の平均気温よりも暖かい日が多かったためか購入上昇のタイミングは後ろ倒しになりました。
11月第4週は、「化粧品」と「洋服」が、どちらも10月以降では最も高いスコアとなりました。これらの品目は、気温低下や季節変化に加え、上述したブラックフライデーセールなどの影響も考えられるでしょう。

【図表3】過去1週間に購入した品目(2023年10月~2024年1月/主要品目のみ)

11月のまとめと12月の注目点

11月は気温・季節変化に対応した消費の様子もうかがえました。しかし、米、野菜、菓子など食材・食品の価格をはじめ、様々な身の回りの商品について、多くの生活者が価格高騰感を持ち続けています。
折しも「103万円の壁」などが話題になっているように、家計のやりくりなどに関心が高まっているため、年末へ向けた消費動向がどうなっていくのか、引き続きウォッチしていく必要があるでしょう。

【連載】Macromill Weekly Index 消費動向を読み解く
2024年12月8日:生鮮野菜・果物への値上がり実感が急上昇、3週間で10ポイント増加
2024年11月8日: 新内閣発足や衆議院選挙、政治関心が上昇の一方で景況感には影?
2024年10月17日:コメ不足や豪雨による生活者の反応は?

■ウィークリー生活者定点観測調査『Macromill Weekly Index』とは
日本における毎週の生活者意識や消費動向を継続的に把握する、マクロミルの定点観測調査データです。1週間の消費金額や、消費カテゴリーのほか、内閣府が実施する消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にした消費マインドや景況感などの指標を幅広く取得しており、政府が公表する「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」にも採用されました。
調査は毎週水曜に実施、データは同週の金曜に即時性高く公表しており、BIツール「Tableau」との連携によって、性別や年代別、地域ごとなどの動向把握が可能です。

【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、20~74歳の男女1,000人
割付方法:人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
調査日時:毎週水曜日実施
調査主体:マクロミル