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「中性脂肪」「コレステロール」を訴求する商品が伸長、トクホ市場を購買履歴データで読み解く

突然ですが、皆さんは普段どれだけ健康に気を使っているでしょうか?
また、そういった皆さんの健康意識は商品の購入にどのくらい影響を与えているのでしょうか?
今回は、特定保健用食品(以下、トクホ)の商品の市場動向をマクロミルの消費者購買履歴データ「QPR™」とマクロミルが保有する意識データを用いて紐解いていきます。

1.トクホ市場は「ヨーグルト・ドリンクヨーグルト」が牽引

トクホ(※)市場の購買推移を時系列のグラフで見ていきましょう。

以下のグラフは、市場全体の規模を青色の縦棒グラフ、商品カテゴリを折れ線グラフで示しています。トクホ市場は2016年をピークにダウントレンドの状態が市場全体として続いています。コロナ禍で市場が健康意識の高まりを見せていましたが、トクホ市場にはその影響が及んでいないようです。

商品カテゴリでは「ヨーグルト・ドリンクヨーグルト」が市場を牽引しており、「無糖茶ドリンク」は2016年をピークに2番手から3番手にダウンしています。

トクホ商品 100人あたりの購入金額の推移

※トクホとは、からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品です。
特定保健用食品として販売するには、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりません。
(健康増進法第43条第1項)
引用元:「消費者庁 特定保健用食品について」

続いて、トクホ市場がダウントレンドになった2016年と2021年について、トクホ該当商品の購入金額順にTOP15の変化を見ていきます。

2016年と2021年はともに「ヨーグルト・ドリンクヨーグルト」のカテゴリが上位を占めています。2016年以前から「ヨーグルト・ドリンクヨーグルト」は、免疫力向上やインフルエンザ、風邪、花粉症などの予防効果が訴求されているため、“トクホだから”購入されているのではなく、免疫力向上や各種予防効果を期待して購入されている可能性がありそうです。

一方、「無糖茶ドリンク」は2021年において2つの商品がともに順位を下げていることがわかります。新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークをされる方が増えた結果、これまでオフィスで飲まれていた「無糖茶ドリンク」の選択機会が減少しているのかもしれません。

トクホ商品 購入金額TOP15(2016年・2021年)

2.「脂肪・体脂肪+コレステロール」「中性脂肪」訴求のカテゴリが伸長

直近の過去2年間で、トクホ市場全体、購入率、1人あたりの購入金額の3つの軸で比較してみます。
 
トクホ市場全体では昨対比94%の縮小傾向にあることがわかります。突出している「脂肪・体脂肪+コレステロール」を訴求する商品は前年対比111%、「中性脂肪」を訴求する商品は前年対比124%と伸長しています。これらの伸長は購入率の増加に起因しており、コロナ太りなどで健康意識が高まり、「脂肪・体脂肪+コレステロール」や「中性脂肪」のカテゴリ商品の需要が増加したものと考えられます。

購入率は99%とほぼ横ばいで推移、1人当たりの購入金額は95%に縮小していることから、やはりトクホ市場自体は縮小傾向にあるものの、「脂肪・体脂肪+コレステロール」「中性脂肪」といった特定の訴求商品においては好調傾向にあるようです。

トクホ市場全体・購入率・1人あたりの購入金額比較
期間1: 2020年3月~2021年2月
期間2: 2021年3月~2022年2月

3.男性のシェア増加!トクホ商品ユーザーの推移

直近の過去2年間で、市場全体とトクホに該当する商品を購入した人の年代を見てみると、市場全体のメインユーザーは女性40~60代となっています。その中でカテゴリが伸長している「脂肪・体脂肪・コレステロール」を訴求する商品は、直近では男性30代のシェアが増加しています。また、「中性脂肪」を訴求する商品については男性50代のシェアが増えていることが見て取れます。

市場全体とトクホに該当する商品の購入者の性年代別比較
期間1: 2020年3月~2021年2月
期間2: 2021年3月~2022年2月

4.「脂肪・体脂肪+コレステロール」を訴求するトクホ商品は、コンビニシェアが増加

直近の過去2年間で、市場全体とトクホに該当する商品の購入チャネルを比較したところ、基本的にはスーパーマーケットのシェアが高いものの、「脂肪・体脂肪+コレステロール」を訴求する商品のカテゴリではコンビニエンスストアのシェアが増加してることがわかります。

「脂肪・体脂肪+コレステロール」を訴求する商品のカテゴリは、コンビニエンスストアのシェアが12%から29%と、2倍以上増加している点が大きな特徴です。

市場全体とトクホに該当する商品の購入チャネル比較
期間1: 2020年3月~2021年2月
期間2: 2021年3月~2022年2月

5.トクホ市場のヘビーユーザーは減少中だが、健康意識は高い

直近の過去2年間で、年間の購入金額レンジ別でヘビー、ミドル、ライトに分けて分析をしたところ、トクホ市場全体ではヘビーが減少しているのに対して、「脂肪・体脂肪+コレステロール」と「中性脂肪」を訴求するカテゴリではすべての層で増加傾向にあることがわかります。このことから、この二つのカテゴリの伸長は市場の中でも突出していることがわかります。

市場全体とトクホに該当する商品の購入金額レンジ比較
期間1: 2020年3月~2021年2月
期間2: 2021年3月~2022年2月

また、インサイトを深掘りするという視点で、トクホに該当する商品を購入金額レンジ別に健康意識について分析を行った結果、日々の食生活の中でも健康に対する意識を持って取り組んでいる人は、ヘビーに多い傾向であることがわかりました。

トクホ市場全体と金額レンジ別健康意識

6.調味料も健康を意識した商品を購入傾向

トクホ商品のヘビーユーザーが、トクホ商品以外ではどのような商品を購入しているのか、併売商品の購買履歴データを見ていきます。

下図の右のリフト値は、市場と比べてその商品がどれだけ多く買われているのかの差分です。リフト値の差分が高い順に見てみると、調味料のカテゴリで特徴のある結果になっており、日常的に使用頻度の高いものに健康意識が表れていることがわかります。

トクホ商品のヘビーユーザー購入商品TOP15

7.まとめ

  • トクホ市場全体としては2016年をピークにダウントレンドが続く

  • トクホ市場では「脂肪・体脂肪+コレステロール」や「中性脂肪」を訴求する商品カテゴリが伸長

  • コロナ禍で健康意識の高まりはあるが、トクホ市場自体は昨対比94%と縮小し、商品が多様化する中でトクホ商品への特別感は希薄化していると推測される

  • 「脂肪・体脂肪+コレステロール」や「中性脂肪」を訴求する商品群は30~50代男性のシェアが増加し、昨対比110%伸長

  • トクホ市場のヘビーユーザーは減少中だが、健康意識は高い

  • 調味料においても健康を意識した商品を購入しやすい傾向

8.無料調査レポートのご案内

当調査結果にご興味を持たれた方は、自主調査レポートをこちらからダウンロードが可能です。無料ですのでぜひご活用ください。

■分析仕様
データソース :QPR™(消費者購買履歴データ)
分析対象者:15~69歳の人口構成比に合わせた男女個人(一部緩和の70代含む)
対象カテゴリ :マクロミル標準 特保カテゴリ
集計期間 :2012年1月1日~2022年2月28日
エリア :全国(沖縄除く)
業態 :全業態
金額 :税抜

・・・【付録】皆様のご参考情報としてご活用ください・・・

消費者購買履歴データ「QPR™」
全国3万人のモニタにバーコードリーダーを貸与し、日々の購買履歴データを収集・分析し、商品購入実態をリサーチ。アンケートの実施により、なぜ購入したのかという意識も掛け合わせて聴取することができます。

無料セミナー「30Mins Weekly Topic」
隔週水曜日の14時~14時30分、社会トレンドを踏まえた消費者変化を、マクロミルの様々なデータを切り口に読み解くセミナーを実施中。
登録不要でどなたでもご参加いただけます。
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(※開催日時は変更となる場合がございます。)

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