「記名?匿名?」調査会社オススメの実施方法/従業員リサーチナレッジ
マクロミルでは、クライアント企業の従業員リサーチをご支援する際、大きく2つの実施方法をご用意しています。従業員様全員に対してアンケートに飛ぶための共通したURLを案内し、従業員の誰が回答しているかわからないよう匿名性を担保する方法と、社員番号などのID入力でログインいただく方法と、大きく2つです。
しかし、社員番号などを入力させる方法の場合、企業の従業員リサーチのご担当者様から、「個人が特定されるのでは?」と従業員が不安になり、質問に対して正直に回答してくれないかもしれない・・・というご相談をよくおうかがいします。そのため、ご担当者様の中には、社員番号を入力させることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
この2つの実施方法それぞれに、どのようなメリット・デメリットがあるのか比較してみたいと思います。
1.従業員リサーチでの記名・匿名の違い
2つの実施方法をまずは詳しく見ていきましょう。
1.共通URL:全員共通のURLで、システム上回答者が識別出来ない。
2.ID認証:従業員番号やランダムに発番するIDなどでアンケートにログインして回答するため、システム上回答者が識別出来る。
では、それぞれのメリット・デメリットから考えてみましょう。
従業員リサーチの2つの実施方法におけるメリット・デメリット
上の図のように実施方法にはそれぞれ、従業員と会社それぞれにメリット・デメリットがあります。これらを踏まえ、私たちは「ID認証」を推奨しています。
従業員視点では、
「共通URL」を使うと、回答者の心理的障壁は下げることが出来ますが、システムによって制御できる範囲が狭くなり、アンケートの途中保存ができない、途中でアンケート画面を閉じてしまった場合に1から回答し直さなければならない等、回答負荷を上げてしまう可能性があります。
一方、「ID認証」を使うと、回答者が特定されるかも…という心理的障壁は上がってしまいますが、アンケートの途中保存ができるため回答負荷を下げることができます。業務で忙しい従業員の皆様が、業務の合間に回答することを想定すると、回答率を上げるためにも重要なポイントです。
また、会社側の視点では、
「共通URL」を使う場合、データの分析用に、回答者の部署や職務、性別や年齢、勤続年数などアンケートの中で聴取する必要があり、その分、設問数が増えてしまいます。従業員が業務時間に回答することを想定すると、できるだけ設問数は増やしたくないですよね。
「ID認証」を使うと、従業員番号に紐づいたそれらのデータがあらかじめ存在するため、改めてアンケートの中で聴取する必要がありません。設問数を減らし、従業員がより回答しやすい環境を作ることができます。
このように総合的に判断した場合、アンケートに回答する従業員様も、従業員リサーチのご担当者様側も、ともにWin-Winである方法が「ID認証」という実施方法だと言えます。
なお、ここで触れた回答負荷の話は別記事「従業員リサーチの回収率をアップさせるテクニック」の回でもご紹介していますので、気になる方はぜひあわせて読んでみてください。
2.従業員に不安や不便を感じさせないテクニック
「ID認証」で実施する際には、ぜひとも気を付けていただきたい点があります。それは、告知文章の中で「個人を特定しないことを伝える」ということです。
個人を特定されることへの不安によって回答を正しく得られないことを防ぐために、例えば「IDは回収状況の把握や回答保存が出来るようにするために行うもので、分析において個人を特定することは一切しません」などの事実を踏まえた説明文を付け加えることはとても重要です。
マクロミルのサービスを使って従業員リサーチを実施された企業様の事例をご紹介すると、個人特定は行わないことを、従業員リサーチに関する会社の方針や目的、社長のメッセージと併せて、告知文に掲載し、従業員の理解を得るように実施された企業様もいらっしゃいます。
また、少し特殊なケースですが、「共通URL」と「ID認証」の折衷案のような方法でご支援をするケースがあります。この方法は、システムがどの従業員にどのIDが発番されたかがわからない仕組みであるため、元々企業様が保有している従業員の個人データとの紐づけはできませんが、回答を途中で保存する機能は使えるため、仕事の合間の隙間時間を使って回答いただけるといった、従業員への負担を軽減できる方法です。
回答開始とあわせてシステムが回答保存用のIDを発番する仕組み
このように、実施方法ごとに、必ずメリット・デメリットがあります。それぞれの特徴を把握して、ぜひ自社にあう方法を検討してみてもらえればと思います!
筆者
企業様の従業員リサーチなどをご支援するリサーチプラットフォームグループ(左から、平岩、竹内、川村、徳田)