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目的を置き去りにしないデザイン

こんにちは。
最近、日々のデザイン業務の中で思うことがあったので記事にしてみようと思います。

「誰に何を」が置き去りになった企画

とあるECサイトの運用を担当をしていたとき、特集やキャンペーンなど、毎週のように更新される大量のLPを制作し、公開する日々でした。
そのチームでは、ECの売り上げを上げることがビジネスの目的であるため、当然、売り上げが上がるための施策を行い続けます。

その手段の一部が、期間限定のキャンペーンを開催したり、特集を組んだページを公開したりすることでした。

そんな中、また一件の特集ページの制作依頼が私の元に来ました。
担当ディレクターと打ち合わせをし、概要を聞いたところ

  • 商品を掲載するメーカーに営業をかけて、各メーカーが打ち出したい商品を集めた特集

  • 打ち出すテーマは特に決まっていない

  • ターゲットはECに会員登録している全員

という内容でした。
通常、このような企画を立てるときには、
何か特集のテーマを決め、企画趣旨に合った商品をピックアップし、メーカーに掲載の営業をかけると思います。

ただこのときの場合は打ち出すテーマが特に無く、よってターゲットも決まっておらず、ただただメーカーに営業をかけ、結果的に集まった商品を羅列するだけの特集ページになっていました。

要するに、商品を掲載するメーカーに掲載枠を売りたいがために打ち立てただけの特集ページで、どんな人にどのように何を届けるかは置き去りになっていたのです。

ビジネスの目的は?

本来であれば、特定のテーマを掲げた特集ページを打ち立てることで、特定の層に刺さりやすくなり、買ってもらえる確率が上がる筈です。
そうすればメーカーも自分達(EC側)も売り上げが上がりwin-winの構図になります。

しかしこのときは、掲載枠を売ることで確実にメーカーからはお金が入るため、最低限の利益は得られる状態になっており
「誰に何をどう売りたいのか?」を考えることを怠っているのが明らかでした。
企画の精度を高めることで売り上げが格段に上がる筈が、施策の効果を最大化するための努力をサボっており、本来の目的を見失っていました。


特集の企画もある種のデザイン

「デザイン」という言葉はかなり広い意味を持つ言葉で、私は特集ページの企画もある種の「デザイン」だと思うのです。

誰のために・何を・どのように届けるのか?
ユーザーの行動の流れを読み、感情を推し測り、購入に向かわせるための戦略を考える。
これはデザインを制作するときの考え方と共通しています。

「デザインは課題解決の手段である」という言葉は、デザインを生業としている人であれば耳にタコができるほど聞いてきた言葉だと思います。
沢山のデザイナー達が課題解決のためにあらゆる努力をして、根拠や理論に基づいたデザインを行い、意図したメッセージを成果物に込めています。

今日、ビジネスの現場でデザイン思考やUXが叫ばれて久しいですが、まだまだ現場にその意識が浸透していない場合もあるということを、この経験から感じました。

この記事が、ビジネスに関わる人の目に留まり、改めて自分の仕事の進め方について考えるきっかけになれば幸いです。

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