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認知心理学×UXがテーマの社内輪読会を紹介 (後編)

この記事は Makuake Advent Calendar 21日目の記事です

「認知心理学とUX」をテーマに、前編後編の2部構成で記事を書いています。

前編ではUXデザイナーが仕事で活用しやすい認知心理学の理論を3つ取り上げました。


後編に当たる今回は、社内で行われている認知心理学の輪読会がどのようなものか紹介できればと思います。
マクアケの開発本部では勉強熱心なメンバーが多いため、日々様々な輪読会が進行中です。そんな中でも今回は認知心理学がテーマの社内輪読会の紹介です。せっかくなので、今回は社会的表明(Social Proof)という認知バイアスを解説しながら普段どのように輪読会を行っているのかをご紹介します。

認知心理学の輪読会でどんなことをしているか

頻度的には隔週の開催で、毎回認知心理学に関係するテーマが1つ決まっています。テーマに関連して、参加者全員で思いついたことをディスカッションしていきます。

以下は、参考までにこれまで取り上げたテーマの一覧です。

確証バイアス (Confirmation Bias)
プライミング効果 (Priming)
認知負荷 (Cognitive Load)
アンカー効果 (Anchoring Bias)
段階的開示
メンタルモデル (Mental Model)
親和性バイアス (Familiarity Bias)
他にもいろいろあります!

事前準備
事前に取り上げるテーマを決めておき、本を読んだりネットで調べるなどして概要をインプットしておきます。
当日のディスカッション

輪読会ではいつもFigjamを使いながらディスカッションしています

当日は、まずは概要のおさらいから始めます。たとえば社会的表明 (Social Proof)であれば、「周りの人たちが自分よりも優れていると勘違いし、周囲の判断が正しいと思い込んでしまうバイアス」のことを言います。
周りの人たちが口を揃えて「良い!」と言っているものに対して「みんなが良いって言うなら良いんだろうな、試してみようかな」となったことはありませんか?まさにその周りに流されるような感覚が社会的表明によってつくられています。

続いて、そのようなバイアスが身近なところでどのように動いているかをディスカッションしていきます。実際に当日話にあがったものとしてはECサイトのレビュー機能がありました。星5のレビューが数百件もついていると誰もが購買意欲をそそられると思いますが、これも社会的表明をうまく活用した仕組みなのではないか…?という議論をしています。

そして最後に、「自社サービスの中で社会的表明が当てはまる部分はあるか?」「社会的表明を活用して自社サービスをもっと改善できないか?」など自分たちが提供するサービスとテーマを結びつけて議論をしていきます。

たとえばMakuakeでいうとプロジェクトのサポーター人数や、応援購入した人たちの応援コメントをサイト上で見れますが、そういった要素がまだ購入していない人たちに対して「これだけ多くの人たちが応援購入したりコメントしているなら、良さそうだ」という社会的表明を醸成しているのでは?といったことが考えられます。

この自社サービスと結びつける議論が個人的にはとても重要と感じていて、ユーザー体験やプロダクトを設計していくメンバーは施策のアイデアであったり機能の良し悪しを判断する視点が仕事で必要になりますが、そういった視点を鍛える良いトレーニングにもなっていると感じます。

リファレンスとしての「Growth Design」

本題からズレますが輪読会でいつも参考にさせてもらっているGrowth Designというサイトについても紹介します。

カナダを拠点に活動しているDan BenoniとLouis-Xavier Lavalleeの二人組が運営しているサイトで、プロダクトやサービスを磨きあげる上で重要な心理学や認知科学のTIPSをカジュアルなコミック形式で紹介してくれます。

TiktokのCase Study

特筆すべきは不定期で更新されていくCase StudiesのコンテンツでAirBnB、Tinder、Tiktokなどおなじみのサービスを彼らが使ってみた時にどのような体験だったかという分析と、その体験の裏に隠されている心理学の知識や理論を紙芝居のストーリー形式でおもしろおかしく紹介してくれるところです。

輪読会のテーマは、このgrowth designで取り上げられているトピックから抽出しています。
気になった方はぜひ一度チェックをしてみてください。

以上、社内で行われている認知心理学の紹介でした。
半年以上この取り組みを続けてみた感想としては、定期的にインプットと議論を繰り返すことで、確実にプロダクトやサービスの良し悪しを見る目が培われていっているなと感じます。どのようなインプットにおいても学習した内容を実践で活かすことが大事かと思いますので最終的にプロダクトや事業に活かせるよう継続していきたいと思います。

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