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2024中国 玄奘こと三蔵法師は3日に1冊の速さで翻訳し続けた②

ども、世界遺産ハンターのMackyです。

年始に西安の文化的なシンボル、世界遺産にも登録されている玄奘が建てた大雁塔のある大慈恩寺に行ってきた。
前回はそこで学んだ玄奘の凄さを伝えたくて記事を書いた。

この記事では実際に大雁塔の歴史的文化価値の素晴らしさと、西安の不夜城の現代的な楽しみ方に紹介したい。

世界遺産:大慈恩寺の大雁塔

遠くの塔が大雁塔。それより手前の建物は後の時代に追加されたもの


これ実はあの三蔵法師で有名な玄奘が652年に建てた塔。
インドから持ち帰った有り難い経典や仏像などを保存する建物として、木造ではなく煉瓦造りにしたお陰で1300年以上経った今でも私たちの目の前に堂々とそびえ立っている。


時間配分にご注意を


中国では後世に素晴らしい建築物を讃えて、新たな建物や門が追加されることがよくある。ただ、新旧の建築様式が混在することで、本来の美しさを見落とさないよう時間配分にご注意を。

※これ、古い書物にも見られる現象。顔真卿などの名筆に対しても、皇帝など後の所有者が、「この書凄いんだよねー!」とか最初とかにわざわざ紙を追加してコメントを付け足してたりする。押印も然り。自分の印を押すことで、その文化価値を高めたり、自らの権威を示したりしているので、本来見たかった部分を見落とさないようにお気をつけて。




ストゥーパと卒塔婆と五重塔

最古級の現存ストゥーパ(卒塔婆)。
※ちなみに、中国最古の煉瓦仏塔は北魏時代に河南省登封市に建てられた嵩岳寺塔らしい。


それにしても、ストゥーパというともう少し丸みを帯びたドームのようなものを想像していた。卒倒婆と言えば御墓参りに行った時、お墓の後ろに立て掛けられている木の板しか思い浮かばない。日本の五重塔とも雰囲気違うし、関係あるのかな?

ま、あるよな、絶対。
と思って調べてみると…

何と、ストゥーパ自体は上のチョコンと飛び出ている輪っか辺りだけらしい。実は、五重塔はストゥーパを高く天まで持ち上げるためのただの土台だったみたい。上の部分だけ良く見ると原インドのストゥーパであるドームのような形も保たれているとのこと。

そして、日本のお墓で見かける木板の卒塔婆は、実はあの切り込みによってストゥーパの形を模倣しているらしい。

マジか、昔立派な仏塔だったのに、時代と地域を経て最後は木の板に成り果ててしまったのか。というか、木の板で表現できるようにしたことで、コスパ良く仏塔もどきを建てることが出来るようになったのか。


いや、違うな。表現を変えよう。

時代と地域を超え、仏塔がどのように変化してきたのかは、まさに文化の流転を感じさせる。

・卒塔婆の原語であるストゥーパとは「仏塔(舎利塔)」のことであり、お釈迦さまの骨を埋めたお墓や、礼拝の対象となる塔のこと
・卒塔婆を建てるのは、亡き人に功徳を届ける追善供養のため
・厳密にはストゥーパは相輪の部分であり、塔の部分ではない
・卒塔婆は五輪塔(ストゥーパ)を模したもの
・卒塔婆の形は五輪(地・水・火・風・空)を表現している

禅エッセイ



大雁塔は最上階まで登れる!

大雁塔を裏側から

入場料15元を払って、さあ入ろうと塔の入口へ向かうと、まず塔の1階に数多くの人名を見かける。

寄付をした人の名前かな?と思いきや、実は唐時代に進士試験の合格者がここで名を記したらしい。後に宰相になる人も輩出する名門地区。

登った塔からの景色

7層64mの仏塔で、階段で最上階まで登れる。階段は若干の螺旋状になっており、四方に窓があって西安市内を一望でき、天気も良かったので綺麗だった。

景色を堪能した後は、お勉強。塔の後ろに、玄奘三蔵法師にまつわる情報や翻訳本などが展示されている建物があるので、そちらで玄奘について学んだ。この玄奘の凄さは前回の記事に書いた通り。

唐の時代の長安と大雁塔

これは何かの本で読んだのだが、上の写真にもある唐都長安城の「城」の意味は日本の「城」とは異なるらしい。

日本で「城」というと天守閣をイメージしがちで、普段は殿様含めて家臣達が住んでる自分の勝手な思い込み。

中国で「城」というと、この写真の分布図のように都市を意味するそうだ。城壁で囲った内側が安全地域で人々が住むことができる都市。

日本は小さな島国であることも大きいのかもしれないが、
漢字の意味合いや使われ方もその地域に馴染んで変わってくるのは当然かもしれない。


近くにある陕西歴史博物館に見やすいマップあり。赤丸が大雁塔。


陕西歴史博物館がめちゃ面白い!

この大雁塔の近くにある陕西歴史博物館、予約が必要だが無料で入館できて、中国の重要な歴史を知れるし、国宝も展示されていてめちゃめちゃ面白い!長くなってきたので別記事で。


大唐不夜城は成功している商業エリア

これは最近になって出来た商業的な催し。不夜城と言っても、意外と早く終わってしまうのだが、歩行者天国の大通りに屋台が大量に出たり、無料で短い劇や芸の披露などの催し物が盛り沢山。
冬の閑散期はスケジュール通りには催し物は開催されず、何度か待ち惚けを喰らったので、夏の繁忙期の方がお祭り好きな人にはオススメ。その代わりかなりの人数の観光客がいるので、ゆったり巡りたい人は閑散期にどうぞ。

この大通り、幅は500mとゆったり歩けるが、端から端まで歩くと2km程あるので、30分くらいかかる…

通りの中央には、所々に歴史上の人物の像があり、顔真卿や鑑真、空海なども見つけることができるし、デザインもカッコ良く配置されたりしているので、屋台で少し食べ物を摘んでゆっくり眺めて歩くのも楽しい。

夜にはライトアップされ幻想的
大唐不夜城の通りにある鑑真の像


自分は商業エリアはあまり興味がない方なのだが、この大唐不夜城はなかなか楽しめた。唐の時代の繁栄振りと華やかさを再現しようとしており、それが歴史的な物語を織り交ぜて魅せる文化教育の面もあるところが素晴らしい。


是非、唐の時代に思いを馳せながら巡ってほしい場所だ。


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