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「おしゃべりの声」

現代詩 午前零時の再登板 №10

人の声 しゃべり声
若い子供ら
若い女ら
彼ら彼女らの話し言葉
それらは意味を解せず
音として
ぼくの耳に入る

ピーチク
パーチク

小鳥のさえずりだ

思わぬところで 囀りが聞こえ
その音が
あの人の声のように思え
目を向けた

若い見知らぬ女ふたりの話し声

あの人ではなかった

あの人は
アラフォー 2児あり
かわいい顔だち
年齢の割に
キュートな表情
目の前にいたら
気になる存在

それでいて 彼女
仕事では ぐいぐい行く
電話口では
業者には強く要求し 契約先には声音を変えて 丁寧に
飲み会では キーマンの上司のそばに貼り付く
なかなか男でもできない「仕事ぶり」

そんな彼女
声がかわいく
鳥の囀りのように聞こえた
コロコロと鈴がなるような声 音が耳に入り
ぼくには心地よかった

どこかから
その「囀り」が聞こえ
彼女がいるのか と…

囀りは
遠くから届き
ぼんやり 聞いているものが
よい

鳥たちの 声」(2021年7月31日)を改変


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