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「戦争へ 志願する」

戦争になったら
あんた 徴用されるだろ
目の前の看護師 女の看護師
ぼくよりはずっと若いが
30…40歳くらいか
そんな時が来れば
彼女まで
戦場に送られる―か

そんなことを
ひざの治療で通う病院で
思った

ぼくは絶対に送られぬ
トシがトシだから

戦場で
できることもないし
ああ
従軍記者ならなれるか

戦争になったら
否応なく
みんなが動員される

殺すのも
殺されるのも
イヤです

戦争に背を向け
逃げだそうとしても
自分が 殺される

敵でなく「味方」に

それが戦争というものだ

戦いが始まれば
総動員だ
誰もが駆り出される
戦場に行け―
背中を押される

純粋な若者の間に
ひとつの熱狂の波が起これば
彼らは自ら
一歩前に踏み出す
背中を押される前に
志願する
いや
体制が 空気が
志願させるのだ
志願であれば
そこに 拒否はない

国は権力は空気は
狡猾に若者を誘い出す

やれ 行け 殺せ 死ね…
無理強いではない
志願なのだ
そうせざるを得ない状況を
国は権力は空気は
つくりだす
(未完)

写真は1941年のソ連軍女性兵士=タス通信

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