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たぶん月一の富山。2月編②

二日目。

私を富山に呼んだ友人が朝イチの魚計画に乗ってきた。断る理由もなく、それを了承した。彼は地元民だから現地で集合しようということになった。

まだ外が暗いうちから電車に乗りこむ。
この電車は、ICカードが使えないから注意をしてほしい。
一応観光スポットなのだから、ICカード使えるようにしてもいいのではと思ってもいるのですが…

関東の、特に郊外から都心部にかけて住んでいる人にはあまり馴染みがないと思うだが、この電車がなかなかに味わい深い。
どの時代からいるのだろうと思わせる車体に、デフォルトで向かい合わせになっている座席と、その色。バスのような料金表示の板。冷房がかかるのかを不安にさせる昭和の顔をした扇風機。

もう少し後の電車だと高校生が載っていたりもして賑わっているが、さすがに始発だと物好きしかいないのか、まだ大人だけだった。
いつものように、パソコンを開いて仕事をし始める。ここまで人がいないと、盗み見られる心配さえない。仕事が捗るというもので。

電車が走りだしてから、しばらくすると海沿いを走る。

眺めが本当に良いんだ。
電車に乗り込んだ時には、まだ暗かったから何も見えないかと思っていたけれど、向こうのほうで船が帰ってきていたのが見えた。点々と白いライトが見える。きっと美味しい魚を届けてくれているのだろう。そこから少し視線を上の方にずらすと、奥に黒い不気味な雲のような塊が横一直線に並んでいるのが見える。雨が降ってくるのだろうと思って、窓の外から目を外した時に、気がついた。

あれ、雲じゃない。山だよ。

まだ、金青の深い空から中縹へと変わり、浅葱、白縹へと明るくなり、水縹を経て、東雲から曙へとグラデーションになり、重々しい黒へと引き摺り込まれる。これが、海を挟んだあちら側で行われるものだから、それらが海に浮かんでいるかのように見える。

さて、ここで私は悩んだ。
写真を撮るべきか、私の目と心に焼き付けておくべきか。
普通は、写真を撮ればいいとも考えるのだが、経験上このような微妙な繊細な光はiPhoneといえども再現ができない。しかも、私は言葉で表現をするものとして焼き付けて何か言葉を生み出すべきではないのかと思った。これ、かなり悩ましい。まあ、結局写真は撮ったんですけどね。

電車より、iPhone14Proのノーマルカメラで撮影。
加工とかしないでこれだからすごい。

ちなみに、悩んだ末に編み出したのは動画を回して最初に画角を調整したら固定して、その間は私が肉眼で見て感じるということでした。ありがとうテクノロジー。そして思ったよりも綺麗な色味が出せていた。こういう時には14Proにして良かったなと思う。高かったのだけれど、このような文章を書いたりするときの材料にするために、いざという時に残したかったので、ちょっと奮発して14Proにした。
実は、このような企画であったり、行街(私たちが作っている小説同人誌)が動き始めたりしたのは去年の10月だけれど、構想と計画自体は随分と前から存在していた。それこそ、数年前くらいから。
ちなみに遅れた原因は、忙しかったり革新的な技術が誕生してしまったりしたこともあって振る舞い方を悩んでいたので少し遅れたスタートとなってしまった。

この同人誌には、誕生日が二つある。
一つは2023年10月16日。同人誌を創刊した日。

そして、もう一つが3人が集まった日。
LINEで3人のグループができた日。
この日から来月で一年になる。自分で初めてこれだけ色々と続けられているのは、初めてかもしれない。二人には感謝している。

そして、3人が集まった時に、強かに酔っていたらしい泊木からメッセージが来た。正確にいうと、久保田が間を取り持ってくれてそのメッセージを3人のいるところで送ってくれた。

同人誌の方向性やらの話であったのだが、それ以上に私に響いたのが「やるなら本気でやりたい」ということだった。
私がこの同人誌に熱を向けるのは、ここが出発点である。あの時、間違いなく火がついた。

それまでの構想は薪を割ってくべていたに過ぎなかった。

最後に、火をつけ燃え広がらせてくれたのが空さんのその一言だった。
それこそ、夜明けに燃え出た朝焼けだった。

これについてはずっと言っているのだが、この同人誌をただの同人誌で終わらせるつもりはない。

さて、旅行の話から少しずれてしまったが、まあ、エッセイらしくもあるし、これを考えていたくらいに、ちょうど目的の駅に着いたくらいであろうから、駅に着いた後の話は、次に回そうと思う。

③へ続く。coming soon…


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