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N 35°35’07.10” E 139°33’23.08”  入口

美しが丘小学校のすぐ裏っかわぐらいの道路が僕の思い出の場所でして、その交差点のところが僕にとっては「入口」というイメージです。
道路の向こうは昔、思いっきし山だったんですよ。いまそこらへんてだいぶ開発されて、きれーな家とかも建ってるんですけど。

そこでいちばん遊んでたのは小学校の時分で。そうですね、三年生ぐらい。25年くらい前だと思います。ちょっと行くと高級住宅地で、ほんとにお金持ちの方々が住んでいるところのすぐ脇に道を挟んで、たまプラーザとはちょっと違う感じの裏山があった。
そこは全然舗装されてない砂利道みたいなのが1本通ってるだけで、竹やぶがあったりとか、まあ、ちょっと非日常というか、ドラえもんにでてくる裏山みたいなイメージで、ちょっとした冒険ができる場所だったんですよ。
で、その交差点が僕んなかでそっちに抜けてくための「入口」になってました。

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そこに小さい丘があって、ある日穴を見つけた。たぶん人が掘った穴だと思うんですけど、何も考えずに「穴だ!」と思ってはいりました。
そのちょっと前に僕、小学校の友人のおじいさんちに防空壕が残ってる家っていうのがあって、見せてもらいに行ってたんですよ。で、そっくりだったんで、ああ、防空壕じゃん、て思いました。
それで、なかにはいってったら誰かが生活してる跡があって、わあー!っと。
まだ食べ物が残ってるような使いさしの食器みたいのが置いてあって。その残ってる食べ物が、まだ生々しいというか。
その穴はそこそこの長さがあって、小学生の僕らがちょっとかがんではいれるような大きさ。いちおう、光はうっすらはいってきてて、夕方でもまわりが見えた。
その食器を見つけて、帰ってきたらやばいよね、ってなって、逃げた。
穴に行ったのは結局その1回だけでした。でも、行ったことないやつなんかには、穴あるんだぜ、って話をしてました。

田んぼもあったんで、どじょう取りに行ったりもしてました。いま、確かめる術もなくて、へたすりゃ夢だったんじゃないか、と思う。でも、僕、どじょう取りに行って、田んぼのへりに思いっきし足はまって、抜けなくなって必死こいて取って洗ったんですけど、臭いんですよね。田んぼの肥料とかで。そういう匂いとか、すごく覚えてるんで、ほんとのことだったはずなんだよな、って。いまは全く跡形なくて、どこまでが田んぼだったんだろうと思うんですよ。

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