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『天使にラブソングを』は、音楽だけでなく言葉の扱いにも丁寧な作品だと改めて思った話

 ただの感想垂れ流しです。

 昨晩、久し振りに(十数年以上ぶり?)金曜ロードショーで『天使にラブソングを』をやってたので、これまた久しぶりに観たんですが、やっぱりいい映画ですな。私の好きな映画の一つです。

 今更劇中の音楽のすばらしさについては説明するまでもないでしょうが、この映画の素晴らしいところは、細かな部分でのワードのチョイスが、そのまま作品の本質につながっているところ。

 まず原題の『sister act』からしてそうなんですが、これをズバリ解説しているツイートがあったのでそのまま紹介しますと、

 着想の元となった修道院(もっと大きな主語でいえばキリスト教)と音楽(讃美歌とモータウンサウンド)へのリスペクトが強く感じられ、もうそれだけで「これはいい映画だ。」と思えます。そのような原題から『天使にラブソングを』という、洋画の邦題史上最高の名訳が生まれたのも納得ですね。

 言葉の取り扱いの繊細さは作中のセリフの随所に持感じられますが、中でも私がお気に入りなのは、主演であるウーピー・ゴールドバーグのひとことリアクションのお芝居の仕草で、たとえばジョゼフ・メイハー演じるオハラ司教がマギー・スミス演じる修道院長を「あなたは素晴らしい奉仕の精神の持ち主だ」と宥めすかすところに入れる"exactly"と言う合いの手や、ビル・ナン演じるサウザー警部補に「頼むから、トークショーに出たりなんてしないと約束してくれ」といわれて"okay."と応じるシーンの、わずかに間を取ってニュアンスを込める演技プランが、クライマックスでサウザー警部補に逮捕されたヴィンス(演:ハーヴェイ・カイテル)との決別するシーンでの"bless you."の芝居をものすごく引き立てていたりなど、とにかくこういったディテールの積み重ねが気持ちい映画でもあります。ぜひ、音楽以外にも注目してほしいポイントです。

 そしてこの言葉の扱いの巧みさの最たるところは、「1」「2」とある『天使にラブソングを』2作品のED曲の関係性に見られます。

 「1」のED曲はペギー・マーチによる1963年リリースの『I will follow him』、「2」のED曲はマーヴィン・ゲイとタミー・テレルによる1967年リリースの『Ain't no mountain high enough』ですが、それぞれの歌詞の中にある

a mountain so high it can keep,keep me away(訳:どんな高い山にも引き裂くことはできないのです)
Ain't No Mountain High Enough(訳:越えられない山なんてない)

この2つのフレーズが対になってるところなど、気が付いた時にはちょっと鳥肌ものでしたね。楽曲の背景をたどってみても、かくまわれる形で修道女になった主人公デロリスが、「2」のラストシーンで「私はスターよ。」と宣言して元々いた世界に戻っていくのと、作品を通じて最後の曲で「モータウンサウンドの入り口といわれる曲」に立ち戻る演出の意味が隠されていて、これも実に素晴らしい。

 そんなことを思い出しながら昨夜の金曜ロードショーを観てました。取り急ぎ、日記的にこの作品の好きなところをまとめてみた次第です。


まだ見たことのない方は、amazonプライムなどでも観ることができますよ(ただし有料。レンタルビデオ店で借りてくるのと変わらないくらいの額です)。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07SQY6GYK/ref=atv_dp_b00_det_c_Z0r2A3_1_2


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