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まちなかにチャレンジのカルチャーをつくる。「みしますきー」半年間の軌跡

こんにちは!
加和太建設株式会社 まちなか事業室の狩野です。

昨年の夏に始まった、三島まちなかチャレンジプログラム「みしますきー」

先日2月15日に開催した最終発表会をもって、約半年間走り続けたプログラムも無事にフィナーレを迎えることができました。

最終選考会直前の様子。皆さん緊張しているようです。

今回の記事では、「みしますきー」におけるこの半年間の歩みを振り返りながら、プログラムを通じて三島のまちなかに起き始めた変化や、今後の展望について触れていきたいと思います。


そもそも「みしますきー」ってなに?

「みしますきー」とは、”三島が好きな人を増やす人”を指す言葉です。このプログラムを通じて生まれたチャレンジによってまちがさらに魅力付けされることで、三島が好きな人を増やしていきたいという思いが込められています。そして、「みしますきー」を始めた背景には、これまでのまちなか事業室の取り組みが大きく関わっているのです。

不動産屋に来る人や問い合わせをする人は主に物件探しが目的です。ある程度事業計画の出来上がっている人や、事業内容が固まっている人でなければそもそも不動産屋に行ったり、問い合わせをしたりもしません。つまり、既存のやり方ではどうしても私たちの出会える人が限られてしまいます。

もしかするとこれまで出会えなかった、不動産屋に来店するに至らなかった人たちの中に、まちの活性化につながる魅力的な事業アイデアを持った人が眠っているかもしれません。それならば従来の不動産屋の枠組みを飛び越えて、まだ出会えていない人たちに自ら会いに行ける仕組みをつくろう。そう考えて、事業化を前に漠然とした不安や悩みを抱え、立ち止まってしまっていた人たちを支援する、この「みしますきー」のプログラムを始めました。

タイトルロゴ。流行りの邦画風手書きフォントです。

また、実は「みしますきー」という一見おちゃらけたプログラムタイトル自体にもしっかりとした思いが込められています。思わず口に出したくなるようなキャッチ―で可愛らしい印象のタイトルにしたのには、これまでに接点を持つことができていなかった人たちにもこのプログラムを届けたいという理由がありました。

“まちづくり”と言われると、ハードルが高く、取っつきにくい高尚なものに感じられることがあるかと思います。私たちのチームも、“三島まちなかエリアのまちづくり”を看板として掲げてはいますが、どこかで“まちづくり”を限られた人たちだけのものにしたくないという思いがあります。

「みしますきー」もプログラム内容自体はビジネスコンテストのようなものです。しかし、タイトルにまで「ビジネスコンテスト」を付けてしまうとどうしても敷居が高くなってしまいます。小学生からお年寄りまで、これまでよりもさらに多くの人、幅広い層にこのプログラムを知ってもらい、関心を持ってもらうことを目指して、このプログラムは「みしますきー」と名付けられるに至ったのです。

「みしますきー」を通じて生まれる出会い

募集が始まったのが7月。そこから約2ヶ月の間、様々なイベントを実施しながらエントリーを募り、その結果なんと56組もの方々からお問い合わせをいただき、そこから総勢16組の方々にエントリーいただくことができました。そして、そのほとんどがこれまでに接点のなかった人たちだったのです。「みしますきー」に込めた思いが、ちゃんと伝わっているのだと感じた瞬間でした。

8月に行われたオープニングイベントでの説明会の様子

有難いことに様々なメディアにも取り上げていただきました。そんな中、「みしますきー」についての新聞記事を見た物件オーナーさんから連絡が入りました。内容は、“所有している空き物件を「みしますきー」でも活用してもらえないか”という相談でした。プログラム設計当初では、事業実現を目指す方からの問い合わせしか想定しておらず、物件オーナーさんからの問い合わせは完全に嬉しい誤算でした。今回のプログラムでは自社で所有している物件をプログラム対象物件として公開していましたが、もちろん数には限界がありますし、私たちとしてもエントリーした方々が活用できる場が増えることはありがたい限りです。結果、活用までは至らなかったものの、「みしますきー」を通じてまちの物件オーナーさんにも自分たちの取り組みを知ってもらえたこと、そして物件提供という形で協力の姿勢を取ってもらえたことは、大きな成果となりました。

さらに、“「みしますきー」のプログラム運営に関わりたい“という学生からも問い合わせがありました。私たちも初めてのプログラム運営、何もかも手探り状態で進めていく中、「みしますきー」の趣旨に共感してサポートしたいという方の登場は大きな励みになりましたし、私たちの目指す方向に間違いはないのだということをより実感することができました。

今回問い合わせをくれた人たちは、きっと「みしますきー」の仕組みがなければ出会えなかったのではないかと思います。「みしますきー」の取り組みを始めたことで、これまで接点のなかった人たちとも出会えたこと、それこそが私たちにとっても大きな価値になっています。

まちなかにチャレンジのカルチャーをつくる

2月15日の最終選考会には、エントリー16組のうち1次選考をくぐり抜けた8組が臨みました。事業内容は自然素材を使用するオーガニックヘアサロンから、ジェンダーフリーがコンセプトの美容サロン、どこか懐かしい洋食レストランや、アート本を中心に取り扱う独立系書店といった多種多様な顔ぶれ。10月にメンタリングをスタートした時には、ほとんどの方が収支計画を立てたこともないような状況でしたが、1組は実際に事業をスタートし、4組が具体的な融資相談をできるフェーズにまで成長することができました。

みしますきー第一号、芝本町にあるブックカフェ「ジンジャーブックス」

メンタリングを続けていく中で、思いがけない変化も起こり始めます。エントリーをしてくれた方々の関係性が次第に深まり、みしますきー自体が一つのコミュニティとして機能し始めたのです。同じまちなかで事業実現を目指す仲間として認め合い、彼ら・彼女らの間には強い絆が生まれていました。最終選考会終了後の懇親会でも、“今後もし出店する際には近くに出てもらえると心強い”と、それぞれが口々にしていた様子が強く印象に残っています。事業実現を目指す間はどうしても孤独な闘いになりがちです。チャレンジする人たちが求めているのは、ともに切磋琢磨し合い、支え合えるような仲間だということが、一番の気づきにもなりました。

さらに、私たちの考えも大きく変わり始めます。当初は、最終選考会を通過した人のみが事業をスタートするというプログラム内容でしたが、プログラムのゴール自体を大きく変更することを決断しました。「みしますきー」は、今回のプログラムでも協業していただいた株式会社エンジョイワークスが、東京の馬喰町で実施していた「さんかくプログラム」を基にしています。ですが、三島はマーケットの規模や人口など、東京とはなにもかもが違います。小さな三島のまちだからこそ簡単に切り捨ててしまうのではなく、関係性を継続していくことが重要だと考え、最終選考会の参加者すべてを「みしますきー」として認定し、事業が実現するまでサポートをしていくことを決めました。

全く知られていませんが「みしますきー」ポーズなるものが存在しています

私たちは、ただ事業者を輩出しているのではなく、このまちにチャレンジのカルチャーをつくっているのだと感じています。もっとチャレンジを身近なものにすること、そしてチャレンジを応援する人を集めること。そのための仕組みづくりを、「みしますきー」が担っていきたいと思っています。きっとその文化がまち全体に広がっていけば、さらに三島は魅力的になるはずです。

最後に

プログラムを終えてみて、改めて私たちの力だけではなく、メンターや地域内外から応援してくれる仲間の方々の力があったからこそ実現できた仕組みだったと痛感しています。この場を借りて、皆さまにお礼を言わせてください。本当にありがとうございました!

そして、「みしますきー」第二弾の開催も決定しました。まだ詳細は未定ですが、前回よりももっと幅広い人たちにこのプログラムを届け、さらにチャレンジのカルチャーをこのまちに浸透させていけたら、とあれこれ考えています。二回目の「みしますきー」で、またお会いしましょう。

▽お問い合わせはこちらまで
machinaka@kawata.org(加和太建設 まちなか事業室)