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目に見える変化

意識の変化

目に見えて職員意識が変わった

最近、いくつかのまちから「まちみらいが関わるようになって、目に見えて職員の意識が変わった」という嬉しいお話をいただきました。

公共施設マネジメントだけでなく、自治体経営・まちづくりを進めていくためには、テクニカルなことではなく「覚悟・決断・行動」が必要だと経験上感じていることから、こうしたご意見は確かにありがたいものです。

ただ、一方で自分に対してはもちろん、そのまちにも少し注意が必要な言葉のような気がしています。

意識の低さ・積極性のなさ

国土交通省のブロックプラットフォームのサウンディングやいくつかの自治体を突撃訪問させていただいているなかで感じるのは、残念ながら未だに意識の低い自治体が想像以上に多いことです。
公共施設・インフラは老朽化し、市街地には空き店舗・空き家が溢れ、まちが恐ろしいほどのスピードで衰退しているのに「我関せず。。。自分たちの仕事はそこじゃないから。。。」

例えば学校跡地について

・地域も体育館・校舎を使うから、それに配慮して欲しい
・耐震性はないし老朽化しているけど行政では財政負担できない
・民間ノウハウを活用して魅力的な場にして欲しい
・行政財産使用料で定められた使用料は納付してもらう
・地域住民に開かれた場にすること
・地元雇用を創出すること
・利活用にあたっては地域意向を反映すること

行政からの相談・ブロックプラットフォーム等での行政の思い

等々、まるで民間と連携すれば玉手箱のように全てが叶うようなことを無垢に思ってしまっています。(間に入っているコンサルはそれらしいことを発言したり、民間事業者も最終的には行政の財政負担を引き出して旧来型ハコモノ整備事業に誘導しようとするニュアンスを出したり。。。)
行政財産使用料を納めたり地元雇用を創出するためには、相応のビジネスでの収益が必要で、地域住民の利用や地域意向によってビジネスに制限がかかってしまっては困難になってしまいます。

そして、意外と全国の事例やプレーヤーを知らない人たちが多いです。
例えば廃校活用でも福知山市のTHE 610 BASE、里山ファクトリー、S-LABなど、地域プレーヤー・地域コンテンツと真剣に向き合うことで地域とリンクできる可能性はありますが、こうした情報が行き届いていませんし、そもそも「自分から知ろうとしない」ことが問題です。

意識の変化は素晴らしいけど。。。

こうした実態から考えると、前述の「意識の変化」は第一歩として非常に大切な要素だと思います。一方でどこかに違和感もあって「意識が変わった」だけでは意識「だけ」高い系を生産したに過ぎません。

大切なのは上記のnoteでも書いたとおり実践です。
必要なのは「意識の変化」に留まらず「まちの変化」です。

まちの変化

まずは「試行」錯誤

目の前にある課題や可能性に対して少し動けば「今できること」が山ほどあります。細かいことを考える前に、まずは「試行」してみることが大切です。

今年度からお手伝いさせていただいている阿南市ではESCO、かもだ岬温泉などのプロジェクトと並行して市庁舎・科学センター・中林保育所を対象としたトライアル・サウンディングを行っています。

2022年11月5日に庁舎で行われたAKINO YONAGA MARCHEでは、土曜日の昼間から夜にかけて庁舎敷地内・庁舎内を活用して飲食店・物販・コンサートなどが行われました。
庁舎内・閉庁日(土曜日)・夜間・アルコール販売と通常では禁止されていることを「試行」することで未来への可能性を探り始めています。

阿南市_AKINO YONAGA MARCHE_庁舎内
阿南市_AKINO YONAGA MARCHE_クラフトビール販売
阿南市_AKINO YONAGA MARCHE_屋外

まちとリンクする

「試行」するためにはフィールドと一緒に動くプレーヤーが必要です。
行政の場合、フィールドは膨大に保有する土地・建物を活用することで比較的簡単に準備ができるはずです。(もちろん、行政という与信を活用して私有地を貸していただく形でもできるでしょう。)これすらできないようでは、やはりどこかで言い訳をしているに過ぎません。
もっと重要なのは「誰とやるか」です。とにかく日常的に職員がまちへ出て自分の金を散財して地域のプレーヤーを知ること・つながることが前提になります。
阿南市においてもいきなりAKINO YONAGA MARCHEができたわけではなく、職員の方々がまちへ出ながら多様なプレーヤーとつながってきたことが、このような「暫定的な未来の姿」につながったのです。

小さなプロジェクト

トライアル・サウンディングなどで「試行」することとあわせて、小さなものでも良いのでプロジェクトとして実践することも重要です。
阿南市では、直近で課題となっている公共施設の空調設備・照明設備の更新のためにESCO事業の検討をはじめ、早速サウンディングを実施して事業化に向けた準備を着々と進めています。

自販機の貸付・有料広告・ネーミングライツ・低未利用の公共資産の一部貸付など目の前でできること、小さなプロジェクトとしてできることも数多くあります。
あるいは沼田市・鳥取市・貝塚市などで行われている解体予定施設での消防突入訓練なども、非常に小さいですが大切な取り組みです。

試行「錯誤」の蓄積

「まちの変化」をサポートしていくことは自分のミッションでもありますが、そのためには数多くのプロジェクトを創出し、そうしたプロジェクトの連鎖から多様なプレーヤーの新しい動きを誘発していくことが必要です。

数多くのプロジェクトを創出していくためには「試行」や「小さなプロジェクト」による成功体験・ネットワークももちろん必要ですが、同時に「錯誤」もしながら「どうやったらコケるのか」基礎体力をつけていくことも求められます。

うまくいかないと「失敗だ」と多方面から吊し上げられたり、なぜかあまり関与していなかったのに勝手にヒヨる幹部職なども出てくるでしょう。
このような経験知が蓄積されていくからこそ、よりそのまちの実態に即したリアルなプロジェクトの組成ができるようになったり、いろんな物事が動くことになっていくのです。

小田原市でも包括施設管理業務などではかなり痛い目に遭いましたし、現在もいろんなことでコケています。そんななかでも随意契約保証型の民間提案制度を活用して旧片浦支所をリノベーションしたuがオープンしました。

コロナ交付金などに依存した官製コワーキングスペースとは異なるリアルな未来の姿の一端といえます。

ヒヨるのと同様に「錯誤」もやっている証拠ですし、それ自体も「目に見える変化」です。
「まちの変化」とは簡単にできる表面的な事業だけで構成されるのではなく、うまくいかないことや思ったような姿にならないものも含めた複雑で多層的なものだと思います。(実際に先進自治体・プロジェクトとされているまちでも、なぜこのまちがこんなことでコケてるの?なぜこんなショボいザ・ハコモノがあるの?というのが現実です。)

大切なのは、そうしたうまくいかなかったことも糧にして「まちの変化」、負債の資産化・まちの再編・まちの新陳代謝をしていけるかどうか、それこそが本物の「目に見える変化」ですし、まちみらいとしても改めて現場重視・実践至上主義で頑張っていきたいと思います。

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