見出し画像

「正しく」活用する指定管理者制度

誤った運用

PPPの基本的な手法とされている指定管理者制度。一部では古い仕組みでオワコンとも言われていますが、決してオワコンではありません。拙著「PPP/PFIに最初に取り組むときに読む本」でも解説していますが、使いようによっては非常に便利な仕組みです。

オワコンと思っている人・まちは、残念ながら全国的に「誤った運用」をしているだけです。

NHKニュース

低賃金の背景に「指定管理者制度」
なぜ、このような状況に陥ってしまうのか。
背景には、この児童館が「指定管理者制度」という仕組みで運営されていることがあるといいます。
さとみさんは公務員ではなく、株式会社の社員です。児童館は自治体が設置した公共施設ですが、管理・運営については自治体に代わって民間企業が行い、社員であるさとみさんが館長を務めているのです。「指定管理者制度」は2003年の地方自治法の改正にともなって導入されたもので、公共施設の管理・運営に民間企業などが参入できるようになりました。
この制度は民間のノウハウを生かして、市民サービスの向上と経費削減を図ることが目的で、今では多くの施設で活用されています。
しかし、実際には経費の削減ばかりが優先され、施設の運営や現場で働く人たちにしわ寄せが来ていると、さとみさんは訴えます。
児童館は無料で利用できるため、収入源は自治体から支払われる、年間2000万円前後の指定管理料のみ。この中ですべてをやりくりしなければなりません。
結果として、企業の経営を成り立たせるには人件費を削るしかないというのです。
休止・廃止に追い込まれた施設も
このうち、指定管理者が見つからなかったり、募集をやめたりして休止、または廃止となっている施設も複数ありました。
その1つ、兵庫県丹波市にある「休養施設 やすら樹」(やすらぎ)です。
豊かな自然に囲まれた市立の宿泊施設で、主に地元の人たちの忘年会や法事などに利用されてきました。
かつては市の直営でしたが、より効率的な運営を行うため、2010年に指定管理者制度を活用。地元の民間企業が運営を引き継ぎました。
指定管理料は当時予想された収支をもとに決められ、想定される赤字額だけを補填する形になっていたということです。
しかし、新型コロナの感染が拡大してからは客足が激減。売り上げはさらに大きく落ち込みます。
施設の老朽化にともなう改修費用も課題となっていたことから、企業は「地元の人が集まれる場所を残したい」と、市に追加の支援を求めたといいます。
これを受けて、市は休業補償は行ったものの、財政事情やほかの公共施設とのバランスを考えるとそれ以上の支援は難しいとして、指定管理料の改定などは行いませんでした。
その結果、企業はおととし、契約の期限を待たずに運営から撤退。市は新たな指定管理者の募集は行わず、現在も閉館したままになっています。
丹波市は取材に対し「企業側とは施設運営について何度も協議を重ねたが、結果としてこのようになってしまい非常に残念だ。新たな活用方法を検討していく必要があると考えているが、具体的なことは決まっていない」とコメントしています。

NHK_「年収250万円未満」児童館長が訴える公共施設の“危機”

重要な事例なので長い引用をしましたが、指定管理者制度によって「一般財源の負担を減らしたい」の短絡的な思考回路・行動原理で「なんとなく」表面上を誤魔化し続けた結果、サービスの質が低下するとともにコスト削減に耐えられる民間が消え、施設が休止に追い込まれたということです。

桑名市の指定管理者見直し

桑名市では、2019年4月から指定管理者制度を導入していた39施設を一斉に直営に戻して話題になりました。

その後に行われたサウンディング型市場調査では(※現在はホームページ上から削除されていますが、)「①指定管理者制度以外にも方法があること、②立地による施設の市場性があること、③管理運営方法を工夫することにより歳出削減が図られる可能性があることなどが把握できた。」と書かれていました。

※現在は指定管理者制度の見直しについて検討の経緯は不明ですがPPF(Public-Profit-Facilities)、「第三の施設」という概念に置き換られているようなので、当該部分はホームページから削除されていると推測されます。(第三の施設も条件付きの定期借地権≒普通財産の貸付に近い形なので、目新しいわけではありません。)

また、指定管理者制度そのものについては、コラボ・ラボ桑名ガイドラインで次のように書かれています。

指定管理者制度とは、公の施設の管理を、地方自治体の指定する者(指定管理者)が代行する制度です。この制度により、民間企業や公益法人、NPO法人、任意団体などが公の施設を管理できるようになっています。

コラボ・ラボ桑名ガイドライン(令和4年4月改訂)

指定管理者制度が残念ながらうまく活用されていないようです。

札幌ドームからエスコンフィールド

2023年シーズンから北海道日本ハムファイターズが、北広島市のエスコンフィールドにホームタウンを移転することになりました。

詳細な経緯やデータは上記をはじめ、様々なYouTubeチャンネルでわかりやすく解説されていますが、簡単に概略をまとめると下記のとおりです。

2022年シーズンまで北海道日本ハムファイターズは、札幌市の札幌ドームを本拠地として利用していたわけですが、ここは札幌市の公の施設であり外郭団体である株式会社札幌ドームが指定管理をしています。
ファイターズとしては最大の経営資源である選手に良いパフォーマンスをしてもらったり、ファンに喜んでもらえるための環境づくりを(飲食・物販の売上をファイターズに還元することも含めて)提案していましたが、札幌市及び外郭団体との間で平行線となっていました。
そこで交渉の材料として「札幌ドームからの移転」を出したわけですが、そんなことができるわけないと鷹を括っていた札幌市及び外郭団体。この噂を聞きつけた北広島市が土地は無償で用意するので、球場は自前で建ててほしい(同時に自分の球場なので自由に使って構わない)ことを提案し、今日に至っています。

これまで札幌市は札幌ドームから数億円/年の納付金を得ていましたが、これからはこの目玉コンテンツが消失することで大赤字のハコモノとなるだけでなく、周辺のエリア価値などにも甚大なダメージがでてくることとなります。
(一方で、2022年の地価上昇率の首位は北広島市です。)

札幌ドームに関する指定管理者制度をうまく活用できていなかった事例と言えるでしょう。

コロナ対応

指定管理者協会は令和2年度の提言書で次のように記しています。

https://www.shiteikanri.org/Portals/0/pdf/teigen/R2_teigen.pdf

当協会会員アンケートから見えた問題点
感染症対策については、協定書等に記載がありません。したがって、コロナ禍を災害と見なし、不可抗力のリスク負担の項目を参考に自治体と指定管理者が協議すること が多くなっています。しかし、事態が進行中で状況も刻々と変化するなか、方向性等の見えないままの協議のため様々な問題が提起されました。下記の事項は、実際に感じたことや事実関係等をまとめたものです。
【判断】
・ 自治体が判断すべき時に、指定管理者に決断を求める場面が多々あった。
・ 指定管理者にお任せのような面があり、自治体側からの指示がほしい。
・ 色々な判断(とその責任)を指定管理者に委ねている。
【休館】
・ 自治体から施設休館の指示はなかった。
・ 指定管理者の要請で施設の利用制限・休館となった。
・ 休館指示や要請を受けたわけでなく、協議をしてからの対応が主となっている。
・ 協議で学校休校期間と社会体育施設に合わせて臨時休館対応をした。
・ 緊急事態宣言後は全館休館となったが、それまでは一部窓口業務を実施していた。
【補填】
・ 令和2年の2月、3月に施設休館になりましたが補填はなかった。
・ 今年度収入の調査は入っているが、補填してもらえるかどうかは確定していない。
・ 休館しなかった施設では、利用料金収入の減少分を補填しないとの考えを示された。
・ 自治体には補填という考えがなく、予算ありきで動いている。
・ 開館していれば利用料金収入の減少は補填しないという考え方なので開館か休
館かの協議で開館維持を求められた。
・ 協議で自治体から休館の判断を求められたが、補償の話は保留のままあくまで指定管理者の判断での休館を求められた。
【事業中止】
「事業収入の講師契約や受講料収入は指定管理者の判断で行っているので自治体で 一律に判断はできない。自治体の判断で事業を中止する場合は損失補填を検討する 必要があるが、全ての事業について補償する保証ない。」との発言を受け、指定管理者が事業の中止の判断をした。
【返還要求】
・ 休業や営業短縮による人件費減を返還するように求められた。
・ 冷え込んだ利用者マインドには興味を示さず、催事中止による委託料(人件費含
む経費)の見直しと「戻入」を要請してきた。
・ 雇用調整助成金での助成額を経費マイナスとして「支出の減少分」を積算してほしいとの要請が多く聞かれるようになった。
【事務量増】
・ 貸館やイベント中止などに伴う返金作業や利用者への案内で、通常より業務時間が増えた。
・ 図書館の予約資料受渡し業務、還付業務など事務量が増加した。
・ 利用料金の補填についての積算資料作成指示が細かく、スタッフの残業が発生した。
・ 中止の事業でも自治体からの要請で広報誌には掲載、中止キャンセル対応が繰り返された。
・ 担当部局から庁議用、議会用等と説明資料作成依頼の追加が相次ぎ残業が発生した。
・ 消毒作業、身元調査の収集作業、飛沫飛散防止の物理的対応作業が増えた。
【職場状況】
・ パートタイマーは3月、4月は出勤停止とし、休業補償で対応した。
・ 4月以降は職員も可能な限り在宅勤務を実施した。
・ 休業等で職員の雇用不安やモチベーション低下が起こっている。
・ 感染が不安で出勤したくない、辞めたいという職員がおり人員不足が生じた。
・ 台風19号で河川敷にある施設が水没し、その改修のため工事期間中閉場してい
たが、そのままコロナの影響で閉場期間を延長、7ヵ月の間人件費等の補填もな
く、職員をやむなく他事業所に異動させた。
【信頼関係】
・ 協議において決裁が下りるまでの時間が長く、下りた時点では、もはやそれ以上 の対応が必要となっており、対応が後手に回ってしまうことが多々あった。
・ 同じ自治体でも所管課ごとに対応にズレがあり、横の連絡の弱さがうかがわれた。
・ 指示・通達が出されたが、それが上書きされず、生きたまま次の指示が出されることがあり、内容に矛盾が生じるケースがあった。
・ 指定管理者としては、本当に脅威に晒された際に自治体と連携して最善の対応ができるか不安に感じている。
・ その施設の状況から他の自治体と同じ対応は明らかに不可能なのに、同じ対応を求められた。

これらの問題を分析していくと、コロナ禍が不可抗力に相当するのか、もし相当す るのであればそのリスク負担は自治体なのか、指定管理者なのか。現状の多くのリスク分担表では「協議事項」に相当すると考えられますが、どのような方向性で協議するのか、何をどう協議するか、などが曖昧であることが明らかになってきました。
リスク負担の協議事項で必要なのは、施設休館等に伴う指定管理料の取扱い、利用 料金制の場合本来得るべきであった利用料の補填、新たに発生した感染症対策のコ スト増等についてです。

指定管理者協会_令和2年度提言書

大切なことなので該当部分を全てコピペしましたが、要約すれば「行政がコロナに関するリスクを一方的に指定管理者へ押し付けている」ということです。
引用の冒頭にもあるようにリスク分担表で記載されていない≒想定されていないリスクなので、本来は協議しながらひとつずつ対応していくべきことですが、全国的に指定管理者制度がうまく活用されていないことを象徴する事例とも言えます。

「アルバイトではなく正規職員でやれ!」としておきながら、休館中の補償をしないどころか人件費の返還を求めたりと傍若無人な振る舞いをしてしまうことで、「本当に脅威に晒された際に自治体と連携して最善の対応ができるか不安に感じている」と思われてしまっています。
対等・信頼の関係がPPP/PFIの基本ですが、このような対応を取る自治体はそもそも民間と連携する資格・資質がないと言わざるおえません。

過去には

これまでも指定管理者制度を巡っては2016年に図書館協会が「公立図書館の指定管理者制度について」において、次のような問題点を指摘しています。

図書館協会_公立図書館の指定管理者制度について(2016)から筆者作成

指定管理期間が短いこと、指定のプロセスが不透明であること、政策決定と運営主体が分離していることなどを問題視していますが、どれも実体上の「運用上の問題」であり制度の問題ではありません。
実際に総務省も2010年に「指定管理者制度の運用について」で次のように書いています。

1 指定管理者制度については、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度であり、個々の施設に対し、指定管理者制度を導入するかしないかを含め、幅広く地方公共団体の自主性に委ねる制度となっていること。
2 指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適 切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものであること。
3 指定管理者による管理が適切に行われているかどうかを定期的に見直す機会を設けるため、指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとすることとされている。この期間については、法令上具体の定めはないものであり、公 の施設の適切かつ安定的な運営の要請も勘案し、各地方公共団体において、 施設の設置目的や実情等を踏まえて指定期間を定めること。
4 指定管理者の指定の申請にあたっては、住民サービスを効果的、効率的に提供するため、サービスの提供者を民間事業者等から幅広く求めることに意義があり、複数の申請者に事業計画書を提出させることが望ましい。一方で、利用者や住民からの評価等を踏まえ同一事業者を再び指定している例もあり、 各地方公共団体において施設の態様等に応じて適切に選定を行うこと。
(以下略)

総務省_指定管理者制度の運用について

「地方公共団体の自主性に委ねる・単なる価格競争とは異なる・設置目的等を踏まえて指定管理期間を定める・サービスの提供者を民間事業者等から幅広く求める」ことは当たり前のことです。
制度がはじまって5年が経過した時点でこのような「基本的な」文書が発出された事実は、総務省の想定したとおりに指定管理者制度が運用されてこなかったことの裏返しでもあります。

代理執行・コスト削減?

指定管理者制度は地方自治法上、旧来の管理委託に代わる制度として登場しました。管理委託では公の施設の管理主体が出資法人・公共団体・公共的団体に限られ、その内容も具体的な管理業務または業務執行の委託に限定されていました。これがいわゆる代理執行という概念です。

更に、この時期は行財政改革の名の下にコスト削減が行政のトレンドになっていたため、指定管理者制度も「民間事業者にアウトソーシングすることでコスト削減する手法」として誤認されていきました。

指定管理者制度は、代理執行・コスト削減の手法ではありません。

改めて指定管理者制度

地方自治法の位置付け

地方自治法では指定管理者制度についてそれほど多く・詳細に規定されているわけではありません。

・条例の制定(§244条の2第3項・第4項)
  指定の手続(申請、選定等)、管理の基準(休館日、開館時間、使用制限)、業務の具体的範囲(施設等の維持管理、使用許可)
・指定の方法(§第244条の2第5項・第6項)
  指定の期間等を定め、議会の議決を経て、指定管理者を指定
・利用料金制(§第244条の2第8項・第9項)
  公の施設の利用に係る料金を指定管理者が自らの収入として収受することができる
・事業報告書の提出(§第244条の2第7項)
  指定管理者に指定された団体は、毎年度終了後、事業報告書を提出
・地方公共団体の長による指示、指定の取消し、業務の停止命令(§第244条の2第10項・第11項)

地方自治法から筆者要約

ここでのポイントは「業務の具体的範囲を条例で定め」、「議会の議決を経て指定する行政処分」であり「利用料金制」をとることができることです。
つまり非常に自由度の高い仕組みなのです。

総務省の資料

総務省の指定管理者制度に関する資料では、制度の目的について次のように書かれています。

総務省_公の施設の指定管理者制度について

「民間事業者の活力を活用した住民サービスの向上」、行政の直営や従来の管理委託ではできなかった質の高いサービス、この中心となるのが利用料金制と貸し館だけではなく「自主事業」となります。
更に「費用対効果の向上」は求めていますが、短絡的なコスト削減とはどこにも書かれていません。
あわせて「利用料金制」により利用料金を指定管理者が収受できる仕組みも地方自治法で位置付けられています。自主事業と合わせて指定管理者は利用率を向上させることが自らのインセンティブ・経営的な魅力となっていくのです。
利用料金制を採用せず従来どおり使用料でやっている限り、指定管理者は経営的なインセンティブが働かないため、それほど頑張る要素になってきません。発想が古い自治体は、そのことにすら手をつけていないのではないでしょうか。

運用のポイント

何をしたいのか?

指定管理者制度を運用するに当たっても、基本となるのは「そこでどんなサービスを提供したいのか」「どんな場にしたいのか」というビジョンです。
それを(行政だけではできなかった部分も含めて)実現するためのサービスプロバイダとして指定管理者があるのです。ハコありきでも指定管理者ありきでもありません。

自主事業

前述のとおり管理委託では業務委託仕様書で管理主体が行う業務を(本来は)事細かく規定するので、「決まったこと」しかできず(求められず)クリエイティブなコンテンツを提供することは「できない」(やってはいけない)ものとされていました。

指定管理者制度の目的は「サービスの向上」なので、受動的な貸し館事業にとどまらず、アクティブに民間ノウハウを活用してクリエイティブなコンテンツを提供する自主事業が最大のポイントといっても過言ではありません。

きちんと制度を理解した体育施設では、エントランスで関連するウェア・スポーツ用品・サプリ・飲料などがセンスの良いPOP、専門性の高い解説とともに置かれ、なかには専門の販売員を置くところもあります。
8レーンのプールでは4〜5レーンが常に様々なスクール等で活用され、自由遊泳・水中ウォークは2〜3レーンに集約されています。
単純な利用料(≒貸し館)では1人あたり数百円の単価にしかなりませんが、スクール形式を取ることでスイミングであれば5,000〜8,000円/月程度、単発のアクアビクスでも500〜1,000円/回の単価となってきますし、圧倒的に泳力・体力(≒サービス)の向上にもつながっていきます。

文化・教養系の施設でも貸し館では1時間あたり1部屋で数百円から千円程度にしかなりませんし、そもそも「誰かが」「何かを」「偶発的に」やってくれない限り利用もなされません。一方で自主事業として様々な講座を仕掛けていけば、前述のスイミングスクールの例のように単位も部屋ではなく個人になり、単価も向上するとともに、「お金を取れるコンテンツ」である必要から質も自ずと向上します。

自動販売機・売店・キッチンカーなどの付帯的な自主事業もサービスと費用対効果の向上に直結していきます。

指定管理者制度の最大のポイントは、このような自主事業をどれだけ実施できるかになってくると考えられます。

要求水準書

このような視点から考えると、下記のnoteとも関連しますが、公募時の要求水準書においても実績や資本金ではなく「何をしたいのか」「どんなコンテンツ≒自主事業を展開できるのか」を積極的に問うていくことが求められます。(もちろん、行政が「その施設でどのようなサービスを展開したいのか?」を明確に示すことが前提となりますが。)

自主事業に関する提案を求めなかったり、会社規模・実績・コスト削減・労務管理ばかり事細かに規定したり、受付人数や「業務のやり方」まで要求水準で仕様発注にしてしまっては、クリエイティブな民間事業者は魅力を感じないので応募を見合わせてしまいます。

採点表

これと連動して採点表もしっかりと考えていかなければいけません。
「民間事業者のノウハウを積極的に活用」したいのであれば、採点表で最も配点すべきは自主事業です。
価格点の配点割合が自主事業よりも高かったら、民間事業者は「プロポーザルで勝つため」にコスト削減を徹底的に図ります。単価の高いクリエイティブな正規社員(やエース級)ではなく、単価の安いアルバイトなどを中心に配置し、自主事業が求められない・評価されないのであれば、そのようなことに時間も労力も一切割くことはなくなります。

パートナー

「指定管理者制度(をはじめ民間との連携)を進めていくと、行政のノウハウがなくなっていく」と勘違いしている行政職員・まちもいまだに多くありますが、根本的に間違っています。
指定管理者は行政とともに公共サービスを創り上げていくパートナーです。
丸投げ委託・短絡的なコスト削減のためのアウトソーシングとして運用して、現場にすらいかなくなるので現場がわからなくなり、ノウハウも喪失していくのです。

指定管理者(をはじめ民間事業者)と一緒になって、そこで提供する公共サービスの質の最大化を必死になって図っていく、「行政だけではできなかった」部分を創出していくことが基本です。
そういう意味では、直営時代にも増して現場に足繁く通う必要がありますし、日常のルーティンワークとなる部分も含めて効率化を図っていく必要があります。

対等・信頼の関係がベースなので「指定管理者の質が低い」と嘆いているのは、「行政の質が低い」といっていることと同義です。指定管理者がオワコンと言ってPPP/PFIの基礎的な手法である「指定管理者制度すらまともに使えない」自分たちこそがオワコンなのです。

指定管理者制度をうまく活用してクリエイティブな公共サービスを提供する、費用対効果を向上するためには、それと同じレベルで行政がクリエイティブにやっていくことが必要です。

こちらのnoteで記したサウンディングと同様、指定管理者「も」見つめ直し、クリエイティブに使っていきましょう。

↓(一時期、品薄状態が続いていましたが)4刷が市場に出始めており、すぐに購入できる状態になりました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?