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イベントレポート『働き方戦略会議2023〜ワーケーションが変える、僕らの生き方・働き方』

こんにちは!NPO法人ローカルネットワークの美和です。

2023年の節分2/3(金)の夜、トークイベント『働き方戦略会議2023〜ワーケーションが変える、僕らの生き方・働き方』を開催しました。
メインゲストの松下慶太教授(関西大学)の講演と、パネルディスカッションで構成した当イベント。「地域との関わりから生まれる、幸せな生き方・働き方」のヒントが散りばめられた内容になりました。今回は、そのレポートをお伝えします!

 ■前回のイベントレポートこちら

モニターたちの「ポジティブな変化」

2021年度からスタートした「まちまるごとオフィス東伊豆」。役場の皆さんや地域おこし協力隊のメンバー、地元の経営者の皆さんのご協力を得ながら進めてきました。

2021年と2022年には、ワーケーションモニターツアーを実施。実は、参加された皆さんから、「参加してよかった!」の声をたくさんいただきました。モニターがきっかけで、何度も東伊豆町を訪れるようになった方や、ご自身の車をアウトドアワーク&車中泊仕様に改造したエンジニアの方など。「東伊豆町の自然の中で働く体験や、地元の方との交流を通じて、働き方への意識が変わった」とおっしゃる方が何人も現れました。

▽下記は、東伊豆でワーケーションをしたモニターさんたちの記事です。 

東伊豆町は、ワーケーションの“聖地”になりうるか!?

ワーケーションモニターのポジティブな意識変化、行動変容を受けて、「より良い働き方・生き方とワーケーションの関連性をもう一度考えたい!」と企画したのが、今回のイベントです。「働き方や働く場所」「ローカルと都市のソーシャルデザイン」「観光と食」等の研究における第一人者、関西大学の松下慶太先生をお迎えして、ワーケーションについて、ウェルビーイングについて、東伊豆町という地域の可能性についてお話しを伺いました。

渋谷と東伊豆町をオンラインで繋いで開催。渋谷会場のSHIBUYA QWSはリアルの参加者も!

当日は、オンライン・オフラインのハイブリッドで開催。渋谷会場(SHIBUYA QWS)と東伊豆町会場(稲取EASTDOCK)を繋ぎ、zoomで配信しました。お申し込みは60人超。多くの皆さんが注目してくださっていることがわかり、嬉しい気持ちでいっぱいでした。

「働き方はWFX(Work From Anywhere)へ」

キートークでは「ワーケーションの今と未来〜自治体・地元企業・ワーカー、3方よしの形とは?」と題して、関西大学教授・松下慶太先生のお話を伺いました。

 「コロナ禍でテレワークリモートワークが広がって、WFH(Work From Home)、WFA(Work From Anywhere)という考え方が出てきました。どこでも働ける、ということです。しかし、どの地域(=Anywhere)でもいいのか?というと、そうではない。“WFX”が大事です。 “WFX” とは僕の造語なのですが、Work From Xの略です。そこの場所じゃないとダメ、もしくは、いろんな地域に住んでそれを組み合わせることで価値を出していく、ということ。東伊豆町でのワーケーションや移住、二拠点生活をしている方はきっと、WFXなんじゃないか、と感じました。」

 いま、東伊豆町に集まってきている都市のワーカーたちの働き方は“WFX(Work From X)”なのではないか、と、松下先生は分析します。
「ワーケーションとは何か?WorkとVacationの組み合わせだと言われていますが、ただ組み合わせるのではありません。重なっていること、重なりが大事なのです。」

どこでも働けるようになったけれど、「働く場所は、どこでも良いわけではない」

日本型ワーケーションは、世界から評価の可能性も

一口に“ワーケーション”と言っても、日本のスタイルは欧米のスタイルとは異なる、と松下先生は指摘します。
日本型ワーケーションは、企業や地域が推進するスタイル。欧米のような、ワーカーの自発的スタイルとは異なります。しかし、地域とのつながりや社会課題解決の観点やSDGsの切り口などで、デジタルノマドや世界の若者たちに評価を得られる可能性があるのではないか。日本型の良さを言語化し、価値を可視化していきたいですね。」
 また、観光やワーケーションにおける地域の強みの作り方を、 “調香”に例えて説明されました。
“調香”というメタファーをワーケーションに取り入れたい。パフュームの香りを決める3つの要素があります。第一印象に近い立ち上がりの“トップノート”、中核となる“ミドルノート”、残り香・余韻の“ラストノート”。これはその人自身の個性になる。“調香”の話しを聞いたときに、ワーケーションで地域の強みや価値を見出す時と一緒だ、と直感しました。」
調香をワーケーションに置き換えると、トップノートは2-3日の滞在で、従来型の観光。ワーケーション1.0。ミドルノートは2-3週間の滞在。旅するように働くスタイルで、ワーケーション2.0。住民の人と一緒に何かをすることが可能になる。ラストノートは2−3ヶ月の滞在。溶け込むように働く。お試し移住に近い形かもしれない。ワーケーション3.0。
「自分たちの地域はどこを強くだすのか。東伊豆町のそれぞれは、何なのか。そういった議論に使ってほしい。」

 この“調香”のキーワードは、私たち『まちまるごとオフィス東伊豆』のプロジェクトチームにとって、大きなヒントになりそう!と感じました。

滞在のスタイルで、伝えるべき地域の強みや価値が変わる。

「これまでの地域のワーケーションの展開は、どこも、1.0から3.0へ、つまり、観光から移住に繋げる、という流れでした。もちろんKPIとして“あり”だとは思います。でも、いきなり移住に繋げようとすると、引かれてしまう。それは、洋服屋に入ったらいきなり「何を買うのですか?」と言われるのと同じです。町に来る人にとっては、どんなスタイルもありうるはず。どれも受け入れることが、結果として流入につながるのではないか」
東伊豆町に住む、多拠点居住やマルチワーカーのメンバーたちが、強く共感していました! 

ワーケーションは“Nice Party”型へ。“ゆるキャン”的に“越境”する

ワーケーションにおける“パーティ”という概念についても、問題提起がありました。
「デザイン態度論というデザインの研究の中で、“Good Movie”と“Nice Party”という考え方があります。“Good Movie”は、ありうる選択肢からベターなものを選ぶこと。限定合理性とも言われます。一方で、デザイナーのデザイン態度は“Nice Party”だと言われています。これは、新しい選択肢にチャレンジすること。これは主観的価値観を大事にする、拡張可能性の領域です。これまでは観光事業者や行政が主導するGood Movie型のワーケーションでした。2023年以降は“Nice Party”としてのワーケーションのデザインや実践がポイントになっていくと考えています。
豊かな人生とは何か?それには、各地域が主観的価値観を持つことが大事になります。」
僕は“ゆるキャン”という作品が好きなのですが、この作品は3つの“縁(たまたま)・援(サポートしたりサポートされたり)・宴(勝利を目指すのではなく楽しむ)”が主要なテーマになっていると思います。言い換えうと多様な価値観を認め合うことと、やったことがないことをやってみようという“越境”です。」

確かに、ワーケーションには同じ目標に向かって一致団結して作り上げる“プロジェクトX”のような挑戦スタイルは似合いません。偶発的な出来事や出会いから、新しい経験や、思いもよらない価値に出会っていく。『まちまるごとオフィス東伊豆』では、そんなスタイルを推進していきたいと、強く思いました。

偶発的な出来事や出会いから、新しい経験や、思いもよらない価値に出会う、Nice Partyとしてのワーケーションスタイルが、これからの主流になる。

観光資源から、ワーケーション資源へ

松下先生からは、ワーケーションや関係人口創出を考える上で大切になる“ワーケーション資源”とその探し方についても、ヒントをいただきました。
「ワーケーション資源を考えていくことも重要になります。今までは、2-3日の滞在を想定して、その間に見学・体験できることが観光資源になっていた。観光資源だけを突き詰めていくと、その地域やエリアが“観光一本足打法”になってしまいます。」
1週間滞在すれば/するからこそできること、経験できることがあるはずです。例えば、準備も含めた地域の祭りはそうですし、課題もむしろ資源として見ることもできます。どんなものでも地域に関わり続ける余地が、ワーケーション資源になります。」
ワーケーション資源の良さは、観光以外にもお金が循環すること。観光一本足打法にとどまらない、地域の展開やビジネスの循環につながります。」「これからの地域がクリエイティブローカルになっていくには、3つのHが必要になります。①Henjin(変人・異端な人材)②Hack(ハック=テクノロジーの利用・活用)③Hospitality(歓待・他人を受け入れ共に変容する)。これらを備えるべきです。」

 20分間のご講演でしたが、思考を刺激されるキーワードが満載でした!これからのワーケーション成功への鍵、ヒントを、たくさん教えていただきました!

パネルディスカッションには、東伊豆町の「Henjin(変人)」たち、登場(笑)

松下先生のご講演の後は、先生を囲んで、パネルディスカッションを行いました。稲取会場からは、岩井茂樹東伊豆町長と、不破花奈実さん(完全移住で稲取暮らしを満喫するフルタイムリモートワーカー)がパネラーとしてご参加。渋谷会場からは、松下先生、森田七徳さん(東伊豆町役場企画調整課長)、高浜拓也さん(稲取で多拠点居住を楽しむ大企業ワーカー)、守屋真一(ローカルデザインネットワーク理事、子育てしながら日本中を飛び回るマルチワーカー)がパネラー登壇。そして私、ローカルデザインネットワークの鈴木美和が、働くことを支援するキャリアコンサルタント視点で、ファシリテーターをつとめました。

東京会場(SHIBUYA QWS)と東伊豆会場(稲取EASTDOCK)を繋いで進行しました。

 ここからは、印象に残った各パネラーの発言について、ご紹介していきます。

 「東伊豆町型ワーケーションは、“関係人口”文脈で」


岩井茂樹 東伊豆町長「もともと国政をやっていた立場から東伊豆町に来ました。松下先生のお話を伺い、越境してきた立場として、改めて私の任務を感じました。」
「“Nice Party”という考え方に興味を持ちました。今後二十年で人口が半分になる東伊豆町の町づくりにおいて、主観的に自分の生活が豊かだと感じられる町を作っていきたい。その時には“Nice Partyスタイルで”と心に残りました。」

国政から地方自治体へ。究極の“越境”で地域と日本を変えようと奮闘する、岩井町長。

森田七徳さん(東伊豆町役場企画調整課長)「東伊豆町は、住人が1万1千400人、コロナ禍前には年間74万人が宿泊する町。産業別売上では44.4%が宿泊飲食業、働いている人のうちの27%が宿泊飲食業で働いています。人口1万人以上の町の中では、箱根町に続いて2番目に観光で働く人が多い。現在は、まさに観光一本足打法になっています。」
「ワーケーションを観光文脈で捉えても、例えワーカーが100人200人増えても、経済的に大きな影響はない。しかし東伊豆町にとって、ワーケーションが不要なわけではありません。ワーケーションを、関係人口の入口、まちづくりの一環として捉えています。」 

笑ありの、賑やかで、でも真面目なトークセッションでした!

東伊豆町での暮らしは、「自己実現」「溶け込むように働く」「自分らしく」を全て実現してくれた

高浜拓也さん(東伊豆町稲取で、多拠点居住を楽しむ大企業ワーカー)「コロナ禍に、自然に近い場所で暮らしたいと探し始めた時に東伊豆町に出会い、一目惚れしました。とにかく最高です!(笑)。移住してQOL、生活の心地よさが格段に上がりました。美しい自然に囲まれていて、海も山も近い。受け入れてくれるコミュニティもある。ここにもっと仲間が来たらまさにPartyが起きるな、と思って仲間を呼びました。もう200人くらいがきてくれた。パーティが徐々に高まってきている最中」です。
「移住者の視点でワーケーション資源について考えました。町から見ると資源でも、移住して住む側からすると、①自己実現②自分の好きな町を育てたいという二つの気持ちにつながります。いま、東伊豆町とは、そういう関係が作れていると感じています。」 

都市からの東伊豆町稲取への移住の先陣を切った、イノベーター・高浜さん。

守屋真一(ローカルデザインネットワーク理事、日本中を飛び回るマルチワーカーパパ)「松下先生の話で、もやもやがスッキリしました(笑)。“溶け込むように働く”というキーワードが、まさに自分の気持ちにフィットした。」
「移住を勧めない、という話にも共感しました。移住しない選択肢が心地よかった。“ゆるキャン”的な生き方にも共感します。」

「まちまるごとオフィス東伊豆」を紹介しつつ、ワーカーとしての自身の経験や思いを熱く語りました。

不破花奈実さん(完全移住で稲取暮らしを満喫するフルタイムリモートワーカー)「転職をしてフルリモートになったので、移住しました。東伊豆町に住んで一年。高浜くんとは大学の時に1度だけ会って、その後、ゆるい繋がりの中で、3度目の再会が伊豆でした。東伊豆町に住んでいて、こんなに居心地が良いものなのか、と感じています。自分らしくいられる、比較しなくていい・・・。」

不破さんは東伊豆から。細野高原のススキ野原をバーチャル背景に選んで、ご登場くださいました。

 東伊豆町のトップノート、ミドルノート、ラストノートは?

不破さん「松下先生のお話で印象に残ったのは、“調香”。旅行で2−3日滞在して町の空気を知る、観光することはやっていました。でも、どこも似ていて、自分にとって唯一無二の場所はなかった。東伊豆町に長く滞在し、もてなす側になった結果、東伊豆町が唯一無二の場所になったのです。移住することの予想外の楽しさを、いま感じています。」

 松下先生「伊豆に行って、“滞在した初日にいいな、と思ったこと”と、“1ヶ月2ヶ月で見えてきたもの”は違うと思います。東伊豆町にはきっと、その両方があったのではないか?」
「関係人口の若者3人の話を聞いていて、“自己実現”も一つポイントだと感じました。最近では、会社を作る時にも、利益目的ではなく自己実現のため、という事例もアメリカで出てきています。WFXの働き方や、会社を作って地域に関わることで、ある種、自己実現に結びつく。自己実現や関わりしろの手触り感・スケール感が、東伊豆町にちょうどいいもの、魅力的なものがあったのではないか?と感じました。」

高浜さん「“調香”の三段階のお話しには共感しました。トップは、たまたま伊豆でコワーキングのオフィスを探していて、海の見えるEASTDOCK(イーストドック)を訪れた時の印象。海が見えるのがいいな、と思ったけれど、新しいスペースなのにコロナの時期で誰もいなくて、逆に可能性を感じました。こんなに素敵な場所なのにまだ何も知られていない。この町は何色にも染まっていない。自分が関与していける、というのが最初の印象でした。」
「その後、マンスリーで借りられる、3万円で温泉が出るアパートで暮らしてみた。初めて、町の風を感じた時に、この町に馴染んでいると思えました。町の深みに馴染んだことが心地よかった。もっと暮らしてみたいと感じたところから、長く暮らすことになりました。」

不破さん「最初に訪れた時、EASTDOCKからの眺めが美しくて・・・痛いくらいに綺麗でした。本当に美しかったから、町に惚れちゃった(笑)。1週間、2週間を滞在して、自分が好きな道に出会ったり、好きな角度で海が見える場所を見つけたり・・・。」

 岩井町長「松下先生のお話の中で、課題も資源のうち、という話がありました。着任してまだ1年経ちませんが、最近は町の課題も見えてきました。それが町の伸びしろだ、と思うようにもなってきた。」
「トップ、ミドル、ラストの引用の部分も、一年近くが経ち、町への見方が変わってきた実感があります。」 

松下先生「トップ、ミドル、ラストで言えば、ミドルが“東伊豆町の今までの観光ではない一面”。ラストは、そこに住んでいる高浜さんや不破さんなど、個人にフォーカスされていきます。住んでいる人の“その人らしさ”が加わってくる。そこと結びつけて捉えると、整理しやすいと思います。」

東伊豆町で暮らし、よく笑うようになった。

高浜さん「変化といえば、東伊豆町に移住してから、よく笑うようになったこと。日々、大手企業でプレッシャーを感じながらストイックに仕事をこなしているから、普段はぷんぷんしているのですが(笑)。東伊豆町に帰ると、自然体に戻れる。どれだけ上司と喧嘩しても、自然の中でストレスが開放される。東京にいるよりも孤独感がない。人は少ないけれど、自然が身近にある。海も星も山も。それらと自分が繋がっている。生きる豊かさというものを、新しく感じ始めています。」

 森田課長「若い人が増えたことで町側も変わってきています。ある日高浜くんから「2拠点居住やワーケーションに興味のある若い人がまわりにいるけれど、東京から東伊豆町まで電車で片道7000円かかるところがネック。何回も通うとなると、電車賃が負担。何か対策を考えられませんか?」と相談を直接受けました。さっそく町長に話しをして、新制度が出来上がりました。
昨年の7月から、“4回以上東伊豆町に来て、そのうちの2回、町の人の役に立つことをすると、最高1年間6回まで電車賃を半額負担する”という制度がスタートしています。」
●東伊豆町関係人口応援事業補助金 ←こちらをクリック

「2022年度には17人が登録してくれた。田舎の町は、コミュニティも情報の流通も内向きになりがち。いいところもあるけれど、限界もある。最近はこうして、町が開かれていく方向に変化しつつあると感じています。東伊豆町に興味のある方は、ぜひ頻繁に通ってきてもらえると嬉しいです。」

守屋「ワーケーションモニターの皆さんも、いつもと同じ仕事でも(東伊豆町でのワーケーションでは)パフォーマンスがあがったという話や、クレームの電話だったけれど海を見たらもう大丈夫です、なんて話も聞こえてきました。」
「場所を変えるだけで働き方や気持ちが変わる。“フルでローカル暮らし”でなくても、東京と両立するローカルだからこそうまくいくこともあるのではないか。両方取りできる人がうまくいくのでは、と感じます。」

▽2021年ワーケーションモニター企画の様子はこちら

 東伊豆町に移住や多拠点で接点を持った皆さん。
町はどうやら自己実現の意味でも寄与しているし、“クリエイティブローカル”としても生かされているように感じました!

これからは、変人以外も巻き込んで

東伊豆町に集まる都市の若者について、これからの関係人口について、松下先生はこんなふうに分析します。

松下先生「今日の印象から言うと、東伊豆町にはきっと、変人が多いのでは、と。いい意味です。(笑)」
「あえて課題があるとすれば、巻き込み力、余地、仕掛けだと思います。世の中は変人ばかりではないので(笑)、普通の感覚の人をうまく巻き込んでいくことが大事だと思います。」
「“パーティ”には、いくつか意味があります。ロールプレイングゲームのパーティには“仲間たち”という意味がある。政党もパーティ。パーティを大きくしていこうというところが東伊豆町の課題だと思います。」
「東伊豆町に合った適正な規模のパーティを計っていくことが、今後、大事になってくると思います。」

岩井町長「バランスかもしれませんね。変人は十分揃ったので(笑)。パーティという括りの中でしっかりとバランス良く広げていく。町の政策の中心において考えていきたいと思いました。」

 移住は“ゼロサムゲーム”。関係人口なら“プラスサム”

松下先生「移住しないからこそ関わりたいと思える課題や、関わりしろがあります。例えば、坂が多く、空き家が問題になっている長崎。移住して“坂の大変な空き家に住め”と言われたら“うっ”となる。でも、一生は無理だけれど、1ヶ月、2-3ヶ月なら、といったマッチングはあるはず。そういう関わりしろの提案の仕方もあるだろう、と思うのです。」

守屋「移住、って言われると、ひきます(苦笑)。ちょっと住んでみたかっただけなのに・・・と。僕たちにフィットするのは、“移住”よりも“引っ越し”。移住だとその後ずっと住まないといけないから、ハードルが高い。この時代だから、どこに住むかなんてわからないです。“1ヶ月でも半年でも住んでみませんか?”という町があったら、行きたいという人がいるのでは?言い換えだけでも、人の気持ちが違うと思います。」

森田課長「行政としては移住施策にも取り組んでいますが、本心では、移住はゼロサムゲーム(±ゼロ)だと考えています。東伊豆町に移住してきたら、どこかで一人減る。日本全体で人口が減る中で、税金を使って住む人を取り合うのは滑稽です。でも、関係人口ならプラスサムになります!」

松下先生「ターンという言葉もよくない。Iターンとか、Uターンとか。ターンではなく、サークルの方がいいのでは?色々回る中で、今は東伊豆町にいて、サークルの1点です、といった発想に変えていくのが大事。」

 パネラーの皆さんから、活発な意見や本音がポンポン飛び出してきました!
これからは、移住ではなく、「ロングワーケーション」や「ちょっと引越し」などの言葉を使っていきましょう!

 さてここからは、イベント参加者から寄せられたご質問に対するパネラーの回答をご紹介します。

働き方やワーケーションに関する質問が、多数寄せられました!

参加者とのQ&A

Q .ワーケーション資源を発見するには?

松下先生「地域の人と外の人が、一緒になって発見することがポイントです。食べ物、天候、社会課題など、さまざまなタグをつけて。東伊豆町でやってみませんか?東伊豆町モデルが全国に広がるのではないかと思います。」

Q .溶け込むように働くスキルとは?

松下先生「スキルではなく、これはまさに“縁”です。縁を見つけに、色々なところに行ってみることがポイントだと思います。また、訪問者のマインドや態度も大事ですが、行政ができることもたくさんあります。細かいけれど、ゴミ捨てのルールなども大切なポイントです。行政が細やかなところをヒヤリングして、“溶け込んでいきやすい地域”として情報発信するのも大事ですね。」

 森田課長「初めての町にいきなり行って、すぐに居場所を見つけるのは難しい。けれど今の東伊豆町には、高浜くんや不破ちゃんのコミュニティがあります。来たその日から仲間入りできるオープンマインドのコミュニティ。人、環境が整っています。」

 松下先生「結局、人単位で町の魅力が見えてきます。変人を探すのも、いい地域を探す第一歩だと思います。今日ここにおられる皆さんが、肩書きではなく、名前を連呼しあっているのはとても良いですね。部署とか、会社名ではなく、個人名で覚えて帰る。この点は、東伊豆町の強いところだと感じました。」

最後に総括。岩井町長と松下先生から

岩井町長「今日のこのイベントに参加して、東伊豆町に興味を持ってくれたり、訪れてくれたり、移住や引っ越しや関係人口になっていただいている皆さんに、改めて感謝を感じました。そして、東伊豆町自体の魅力にも改めて気づきました。」
「この国は、地方からでないと変わらない。東伊豆町から、新しいコミュニケーションの中で、地方を、盛り上げる発信ができれば、と思っています。」

松下先生「何よりも、まずはやってみましょう!ということだと思います。自分が一歩踏み出すのがすごく大事です。誰もやっていないことを、まずは自分がスタートする。それが戦略を変えるということです。皆さんにとって、そういう2023年になっていくといな、と思っています。」

 松下先生のキートークを皮切りに、東伊豆町での移住、多拠点、ワーケーション体験で得られたモノやコトについて、活発な意見交換が行われました。これからの東伊豆町ワーケーション推進のヒントとキーワードがたくさん見えてきた、素敵なイベントでした!『まちまるごとオフィス東伊豆』でのワーケーションを軸に、働く人、地元の人、行政、3方よしの関係づくり、ウェルビーイングなまちづくりを、これからも模索していきます!
東伊豆町にぜひ、遊びに来てくださいね。

松下先生からのラストメッセージ。「働きたいように働く社会を!」

今後もnoteでの情報発信を続けていきたいと思います。ぜひチェックしてみてください!

#まちまるごとオフィス東伊豆

 


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