バンダイナムコスタジオのゲームデザイナーインターンで賞を獲得した話

これは何?
理系大学の学部1年の筆者がバンナムのインターンへ参加するに当たって何を準備したか?何を学んだか?を綴る記事です。次回以降に参加される方にとって、有益な記事となることを願っています。


インターンの前日まで


インターンへの参加確定メールが届いたのが7月29日、ちょうど開催の一ヶ月前でした。
それから開催にあたってのアンケートや、場所やスケジュールについての資料がメールで送られてきました。

中でも目を引いたのは、持ち物欄の「企画書、制作物など(任意)」の文言です。
普通の大学生である私にとって、プロのゲームプランナーに企画書を見てもらえる機会なんてめったにありません。これは絶対にモノにしなければならない!

……と思いながらも、夏休みの中盤まではサークルで制作するゲームのことでいっぱいいっぱいになっていました。
(今は冬コミに向けてSTGを作っています。公式Twitterはこちらです)
気づけばインターンまで3日を数えるばかりになっており、結局その時にふと思いついたVRゲームの企画を持ち込むことにしました。

企画の発想方や企画書の書き方、UXについては、こちらのページや書籍を参考にしました。

↓ページ
http://www.bukkoro.com/taro/column/
https://heppoko-neet.com/2018/09/08/4%e5%a4%a7%e6%96%b0%e5%8d%92%e3%81%ae%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%8a%e3%83%bc%e5%bf%97%e6%9c%9b%e8%80%85%e3%81%ae%e4%bc%81%e7%94%bb%e6%9b%b8%e3%81%ae%e6%9b%b8%e3%81%8d/

↓書籍
吉冨賢介『ゲームプランナー入門』
Scott Rogers『「レベルアップ」のゲームデザイン』
玉樹真一郎『「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』
渡辺訓章『組み立て×分解!ゲームデザイン ――ゲームが変わる「ルール」のパワー』


インターン当日の朝


寝不足でフラフラな身体を起こし、乗るはずだった路線が止まってしまい迂回を余儀なくされるというハプニングを経験しながらも、なんとか開始3分前に会場へ滑り込むことができました。

きっと私のような学部一年が参加できているということは、参加人数は相当多いのではないかと思っていましたが、集まった学生の数はおよそ40名ほどでした。
最初の企業説明の前には、既に学生同士が机を囲んで当たり障りのない会話を繰り広げ、そこだけグループディスカッションのような様相を呈していました。
堅実な応酬を繰り広げながらも、「これが就活生なのか……」と妙に感心していました。

それから社員の方(私の大好きなアイマスに関わっている方ばかりで、眠気は完全に彼方へ消えました)による自己紹介や会社説明が行われた後、インターンのメインイベントであるアナログゲームジャムについての説明がありました。


アナログゲームジャム


アナログゲームというのは、いわば画面やコンピュータを用いず、机の上で遊べるように考慮されたゲームのことです。カードゲームやボードゲーム、TRPG等もそのひとつです。
アナログゲームジャムとは、そんなアナログゲームを四人一組でテーマに沿って考案し、最後には学生や社員で一緒に遊び、優秀なものを決めるという催しでした。

私たちの班は、美大の方が1人、専門学校の方が2人、そして私という構成で、誰もがアナログゲームについてはほとんど未経験でした。そこに社員の方がメンターとして一人ついてくださり、いよいよゲームジャムが始まりました。

はじめはブレインストーミングで、班員のアイディアをどんどん出力していきます。
ここでのアイディアはEMS Frameworkに則ったものであることが求められましたが、アイディアそのものについては完全に自由でした。

EMS Frameworkについては、提唱者である元ナムコの方のブログで分かりやすく書かれています。
http://pdblog.play-app-lab.com/?p=540


次に出てきたアイディアを眺め、要素を抽象化したり結びつけたりして、その場で考えた(ある程度の形を伴った)アイディアを他の班員に2分程度でプレゼンします。
そうやって各自が意見を持ち寄り、本格的に作品作りについての話し合いを始めます。
ここでの立ち回りが他の班員に評価されたのか分かりませんが、私はのちに全体に向けてのプレゼンの役回りをすべて請け負うこととなります……。

途中で昼休憩を挟み、午後ははじめに全体に向けて中間プレゼンをしました。
この時点ではまだコンセプトしか固まっておらず、具体的にどのような内容、ゲームフローにするかは決まっていませんでした。
「これで本当に形にすることができるのだろうか……?」と不安が募っていましたが、後からメンターの方に聞いてみたところまったく同じ感想を抱いていたそうです。

それから、メンバーの一人が出した案に皆で乗っかる形で様々な要素を足していき、「パーティゲームとして皆で楽しめるものにしよう」と全員の目線を合わせたことによって、一度座礁しかけたゲームはなんとか完成形へたどり着かせることが出来ました。


プレゼン


そこからが私の戦いでした。
作ったゲームは、他の学生や社員の方々が見ている前で5分程度のプレゼンをしなければなりません。
プレゼンの様式は特に決められていなかったので、私は密かに「ここは好きなように戦える!」と考えていました。
私たちが作ったゲームのタイトルは「下剋上会社」、コンセプトは「会社員を擬似体験しながら、社長を目指して下剋上する」といったもので、ならば擬似的に会社説明会を再現することでゲームの世界観の説明ができると考え、実際に以下の台本を書きました。

他の班はプレゼンをすべて真面目(という表現が正しいか分かりませんが)にやっていて、かつ私の班は発表順で一番最後だったため、始まるまでは手足の先の感覚がなくなるほどの緊張感を覚えていました。
しかしいざ始まってみると、全員の目が私ひとりに注いでいるのが嬉しくてたまらなくなり、自分でも意外なほど冷静に、かつアドリブで会場の笑いを誘うなどの余裕すら見せつつプレゼンを行うことが出来ました。

ゲームの出来はともかく、プレゼンについては普段の自分以上のパフォーマンスが出せたと思います。私は特段プレゼンに自信があるというわけではありませんが、それでも上手くいったのはひとえに、憧れの会社で自分の実力を評価してもらえるという高揚感が作用していたのだと思います。
終わった後にトイレでお会いした社員の方には、「君のプレゼンが一番良かったよ」というありがたい言葉を頂きました。


懇親会と授賞式


発表会が終わり、試遊会も終わったあとには全員が一堂に会しての懇親会がありました。
私は普段はどちらかといえば人見知りしてしまう方ですが、そこでは社員の方々や学生の皆さんと心ゆくまで話すことができ、本当に楽しかったです。
仲良くなった学生とは、連絡先を交換することもできました。今度は東京ゲームショウで会う予定で、とても楽しみです。

そして懇親会の途中で、アナログゲームジャムの結果が発表されました。
私たちのチームは「メンター賞」という賞を受賞しました。
景品としてノベルティグッズをもらうこともでき、なにより自分の実力が評価されたということが本当に嬉しかったです。

更に、私たちのチームのメンターを務めていただいた社員の方には、私が持ち込んだ企画書のレビューもしていただきました。
企画については新規性や目の付け所を評価していただき、コンセプトやターゲットを設定することの重要性を説いていただきました。
こちらの質問にも真摯に向き合ってくださり、非常にためになるお話をたくさんお伺いすることができました。

個人的な話になりますが、7月まで勤めていたエンジニアバイト先の上司は成果主義でかつ「分からないことがあれば、人に聞かず自分で調べろ」というスタンスだったので、理想の上司というのはこんな人のことをいうのだろうな……と勝手に考えたりしていました。
本当にお世話になったので、またインターン等でお会いすることがあれば改めてお礼を申し上げたいです。


そしてこれから


今回はアナログゲームジャムを通して「面白さの本質とはなにか」について、深く洞察することができました。
その最中で特に印象に残ったのは、

「ゲームの仕様は変わっても、コンセプトとターゲットとベネフィットは変わらない」

という言葉です。

どんなゲームであれ、ターゲットとするユーザーの感情をどのように揺さぶるか?という命題はすべてにおいて優先され、その目的の実現のために何ができるかを考え抜く必要があるということだと思います。

私はこれからゲーム制作チームのリーダー兼プランナーとして、プログラマーとデザイナーの仕事以外のほとんどをやることになりますが、この言葉を常に念頭に置き、最高のゲームを世に送り出せるように頑張ります。


最後になりますが、9/8(日)に東京工業大学で行われるゲーム展示会GAME^3に向けて、現在私がリーダーとなってチーム制作しているSTG「れーぞく!ネクロマンスちゃん」を紹介するペーパーの制作を行っています。

リスク・リターンの駆け引きを重視しつつ、シナリオはハイテンションで、ポップな作品になる予定です。

実機プレイなどは出来ませんが、そこでゲームの仕様や印象について皆様からご意見をいただければと思っています。
もし興味があれば、ぜひお立ち寄りください!
また公式Twitterのアカウントを開設しました。フォローしていただけるとありがたいです!



最後まで閲覧していただきありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。

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