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サキボム???

昨日、仕事終わりの片づけをしていたときのこと。ベーカリーのパンチームで一緒に働いている、真面目で超ポジティブなアメリカ人の好青年君が、私の顔をふと見て「おー、そうだった!」という調子で話し出しました。「マチコ、僕たち昨日『サキボム』に初めてトライしたよ!」ん?『サキボム』???瞬時に私の頭に浮かんだのが、Sucky bomb。Suckyというのは「酷い」「悪い」「最低の」と言う意味のスラングです。例えば、「Food was pretty sucky in that party」と言うと「あのパーティーの食べ物は最悪だったね」という意味になります。ボムは爆弾という意味のbomb。つまり、私は彼が「Sucky bomb (最悪の爆弾)」と言ったと思ったのです。意味?その時点では意味は後回し(笑)。それでも私が「???」の表情をしていたもので、彼は「ほら、『サキボム』だよ、『サキボム』」と「サキボム」を連呼。脳みそフル回転の甲斐もあり、そこでピンときました!あぁー!『Sake bomb (酒爆弾)』ね!日本酒は、アメリカでも「Sake」として知られていますが、アメリカ人は「Sake」をサケではなく、キと発音するのです。だもので、私はSakeではなくSuckyかと思ってしまったわけです。さて、彼が言った言葉は分かったものの、果たして「Sake bomb」とはなんぞや?「あれ?知らないの?」みたいな顔をしている彼に聞いてみると、どうやらビールに日本酒を混ぜたもののことのようなのです。え?カクテル?
さらに彼のジェスチャーから判断すると、ショットと呼ばれる、おちょこのような小さな器に注いでクイッと一気に飲み干すタイプのような…?何でも、前日に家族で寿司レストランに行って、みんなで初めての「Sake bomb」に挑戦したと言うのです。基本的にアルコールを飲まない/飲めない私ですが、これは聞き捨てならぬと、いろいろと聞き取りをした結果、見えてきた内容がこんな感じ。
 ・温かいお酒を冷たいビールに入れたらしい
 ・普段はビールを好んで飲まない彼としては、味はビールだったらしい
 ・普段はビールを好んで飲まない彼としては、アルコールの強さもビール 
  と同じと感じたらしい

残りの片づけをしながら、謎の「Sake bomb」とやらが気になってしかたなかった私でした。その時の私の頭の中の疑問を書き出してみるならば、
 ・ビール+日本酒?焼酎も日本酒なんだっけ?
 ・熱燗をビールに入れるのはヘンじゃない?
 ・「ハイボール」ってウィスキー+ビールだっけ?
   ※「ハイボール」はウィスキーのソーダ割りということを後ほど確認
といった感じでした。

そんな疑問を抱えたまま帰宅してググってみると、これが衝撃!この記事の最後に動画のリンクを貼り付けようと思っていますが、まずは、この衝撃の「Sake bomb」なるものを、私なりに説明させてくださいね。私は、ウェキペディアの説明を読んだあとで動画を見ましたが、いやぁ~、びっくりしました~。

以下、どうぞ想像力モード全開で読んでくださいませ。
 ①徳利に熱燗を準備
 ②ビールジョッキ(またはグラス)に冷たいビールを2/3ほど注ぐ
 ⓷ビールジョッキの上に、割り箸を割って、橋を渡す
  (箸で橋を渡す・笑)
 ④熱燗をおちょこに注ぐ
 ⑤おちょこを箸の橋の上にセットする
 ⑥テーブルをゲンコツでたたき、衝動を与える
  掛け声は「Ichi, Ni, San (1,2,3)!」
 ⑦衝動でおちょこがジョッキの中へ落下する
 ⑧日本酒熱燗入りおちょこ入りのビールを飲み干す

どうですか?そして、どう思いますか?
ちなみに、掛け声は「Kanpai (乾杯)!」のこともあるようです。誰が考えたのか知りませんが、なんて大胆な… そして、おいしいのでしょうか?結果的にぬるいビールができあがってしまわないのでしょうかね。

その後、帰宅した旦那さんに「『Sake bomb』って知っている?」と聞いてみたところ「名前は知っているけど、何のことかは知らない」とのこと。彼もアルコールは一切飲まないので、まぁ、そうでしょうね。私なりに説明してみたところ、興味あり気に聞いてはいましたが、果たしてうまく伝わったかどうか…

そういえば、サクラメントエリアのFolsomという地域には、日本の月桂冠のアメリカ支社があるんです。コロナ以降、閉鎖になっているようですが、月桂冠の中には、お酒のテイスティングルームもあるようで。興味はあったのですが、基本的にお酒を飲めない、そして、その後の運転をしないでいい状況で行かなくてはいけない、ということもあり、未トライのまま今に至っています。そのうち、いい機会ができたらということで。

アメリカでも、日本酒や日本のウィスキーは、酒屋さんはもちろん、スーパーでも売っているし(サントリーのウイスキーは定評があるようです)、日本食レストランでは一升瓶がずらっと並んでいる光景も珍しくありません。今のところ、身近でSake好きの人に出会ったことこそないものの、アメリカの日本酒需要が高まりつつあるという記事を読んだこともあります。また、さすがに「飲みニュケーション」という言葉こそ広まってはいないものの、日本を始めとした、東アジアの国々には、飲み会をコミュニケーションのひとつとして考える概念があることは、それなりに知られているようです。おそらく、それをふまえて、考案されたのが「Sake bomb」なのではないでしょうか。だって、実際、日本人はそんな飲み方しないですものね。しないですよね?

同じように、,勝手にちょっと拡大されて、実際とは微妙に違った感じで定着しているのが、日本のバラエティ番組にありがちなゲームコーナー(罰ゲーム?)ではないでしょうか。アメリカのテレビにおいて、日本らしさを演出しようとすると、かわいい被り物などを付けて、高速で回転するベルトコンベヤーの上を全力で走りながら、糸で吊るされた天ぷらに食いつく…みたいな感じになってしまうのです。時として「ちょっとこれはないでしょ」とか「さすがにそんなことしないよ~」なんて思うこともありますが、どうやら、それがアメリカ人にとっての、日本のテレビ番組のイメージのようなのです。

私がまだ日本にいる頃、マクドナルドで「Big America」というキャンペーンがありました。アメリカの各地をテーマにしたハンバーガーメニューで、テキサスバーガー、ニューヨークバーガー、マイアミバーガー、ハワイバーガーなどがあったかと思います。記憶にある範囲では、テキサスバーガーにはフライドオニオンが入っていたり、マイアミバーガーにはトルティーヤチップが入っていたり、ハワイバーガーには目玉焼きが入っていたような。でもそれも、あくまでも日本人がイメージしたところのアメリカンなハンバーガーであって、アメリカ人にしてみれば「なんじゃそりゃ?」の世界なのでしょうね。

コロナで状況は少し変わったものの、地球上の人々が、国の行き来をより気軽にするようになり、それに伴い、自国以外の人々や文化に触れる機会も増え、以前と比べたら国境も薄くなってきたといえるでしょう。それでも他国に対する固定概念というものは、なかなか頑固なもののようですね。日本人に「ドイツといって思いつくものは?」と質問すると、間違いなく「ビールとソーセージ」という答えになりますが、アメリカ生まれ&育ちのうちの旦那さんには、それがおかしくてしかたないようです。彼に聞かれ、私も速攻で「ビールとソーセージ」と答え、爆笑されました。

アメリカにいて、日本人は魚が好きという話になったりして「そうだけど、だからと言って、日本人が毎日お寿司を食べてるわけではないよ」というと「え?そうなの?」と本気で驚かれることがありますからね。お互い様です。「へぇ~、そうなんだ~」と、純粋にそれが興味のきっかけになればいいのだと思いますよ。

最後に「Ske bomb」の動画リンクを貼りつけます。
是非、答え合わせをしてくださいね!
Sake bomb動画


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