アメリカの「メモリアルデー」は〇〇〇の日?!
アメリカでは、毎年5月の最終月曜日はMemorial Day (メモリアルデー)という祝日になります。日本語では「戦没将兵追悼記念日」となるようです。過去の戦争で亡くなった人への追悼の意を表す日で、戦死した人たちが眠る墓地の墓石ひとつひとつにアメリカの国旗が掲げられた光景には、圧倒されるものがあります。国、人種はさておき、戦争によって、こんなにたくさんの人の命が失われたという事実が、視覚を通して痛感させられます。
さて、このMemorial Dayには、ある暗黙のルールがあります。非公式のものではありますが、このMemorial Dayから夏が始まって、9月の第1月曜日のLabor Day (レイバーデー/労働者の日)で夏が終わるというものです。つまり「メモリアルデーは夏の始まり」というのが、アメリカ人の一般的な認識なのですね。ちなみに、日本とは大きく違って、アメリカには祝日が数えるほどしかありません。2022年の祝日をあげてみますね。
1月1日(土) New Year’s Day (元日)
1月17日(月) Martin Luther King Jr Day (キング牧師生誕記念日)
5月30日(月) のMemorial Day (戦没将兵追悼記念日)
7月4日(月) Independence Day (独立記念日)
9月5日(月) Labor Day (労働者の日)
11月24日(木) Thanksgiving Day (感謝祭)
12月25日(日) Christmas Day (クリスマス)
といったところでしょうか。年間の祝日がこれっぽっち。そこへいくと、毎月のように祝日があって、5月にはゴールデンウィーク、9月にはシルバーウィークなんていうものまである日本は羨ましいかぎりです。そんな祝日の貴重さもあり、アメリカにおいては、祝日というだけで結構な大ごとなのです。
ここアメリカにおいて、「夏の始まり」として認識されているMemorial Dayですが、私が命名した別名は「バーベキューの日」。というのも、アメリカ人はとにかくバーベキューが大好きで、夏といったらバーベキューだからです。つまり、Memorial Dayはバーベキューの解禁日ということ。
Memorial Day⇒夏だ!⇒バーベキューをしよう!という流れです。
さてさて、バーベキューと言ってもアメリカのバーベキューは、日本のバーベキューとは少し違います。まず、日本では当たり前の焼肉用の薄切り肉というものが、基本的にアメリカのスーパーでは売っていません。牛肉でも豚肉でも「薄切り肉」というもの自体が存在しないのです。よって、「薄切り肉」を手に入れるには、アジア系のスーパーに行くことになります。ところが、サクラメント唯一の日系スーパーでは、どういう訳かお肉の取り扱い自体が少なく、しかもかなり割高に。お刺身は買いますが、お肉は買ったことは、ほぼないですね。では、お肉はどうするかというと、しゃぶしゃぶ用の超薄切り肉や、豚バラ肉のスライスなら中華系スーパーへ、焼肉用の薄切り肉なら韓国系スーパーへ、というのが私たちの基本的対処法。それぞれ全く別の場所に位置しますので、面倒くさいといえばその通りですが、韓国系スーパーはキムチが安くておいしいとか、中華系スーパーでは中華系調味料が充実しているなど、それぞれの特徴があるので、薄切り肉入手という目的だけに留まらない面白みもあって、それはそれで結構楽しいものです。それと最近知ったのですが、私が働いている高級スーパーWhole Foodsの精肉コーナーでは、事前にお願いしておけば、お肉の薄切りに対応してくれるそうです。「Shabu shabu」は一種のお肉用語として通じるようですよ。お肉の塊を凍らせてからスライサーでスライスするので、要事前予約ということですね。我が家でもステーキ用の牛肉を凍らせて、包丁での薄切りを試みたことがありますが、残念ながら理想的な薄さにはなりませんでした。アメリカにも豚小間とかがあったら、安くて便利で、レシピも増えるものですが、肉好きのアメリカ人にとっては、豚小間では物足りない、というか「肉」として認識されないのかもしれませんね。
という訳で、アメリカのバーベキューは、とにかく豪快。グリルに乗るのは、ステーキ、ソーセージ、ハンバーガーパティ、ベイビーバックリブと呼ばれる豚のアバラ骨の背中側についている骨付きの肉、串刺しになったお肉(焼き鳥のように小ぢんまりしたものではなく、豪快な串刺し)などのお肉が中心。合わせて、ホットドック用のパンや、ハンバーガー用のパンも用意されます。あまり野菜のイメージはありませんが、トウモロコシは定番なのかな。野菜よりもこだわりがあるのが、おそらくはバーベキューソースなのでしょう。バーベキューと言っても、広いアメリカ、地域によってバーベキューソースに特徴があるようですからね。
アメリカでは、祝日はもちろん、週末にお出かけバーべキュー、友達を呼んでのお庭バーベキューパーティーは、夏の定番イベントです。私たちが住んでいるアパートにも、住人が使えるバーベキューグリルが常設されています。私たちは、家の中でホットプレートで日本風焼肉派なので、外のグリルを使用したことはありませんが、たまに外でバーベキューをしている人がいると、いい感じの夏のにおいが漂ってくるものです。夏場は家庭用のバーベキューグリルも人気商品となります。グリルといっても、テーブルの上に置くタイプではなく、足がついた立派なアメリカンスタイル。私たちのアパートはベランダでのバーベキューは禁止されているのですが(それもあって、共有のバーベキューグリルが常設されているのでしょう)、一軒家はもちろん、アパートやタウンハウスのバルコニーにバーベキューグリルが置かれている光景は、アメリカではよくある光景なのです。
職場バーベキューもありますよ。Whole Foodsでは、毎年6月にAppriceation week (感謝ウィーク)というものがあって、その週は、毎日、記念グッズやお楽しみ袋の配布、そして、日替わりの無料フードが賄われます。去年は、タコ(ス)、ピザ、アイスクリーム、そしてバーベキューの日もありました。お店の裏に大きなグリルを設置して、担当の人が焼いていました。ソーセージ、海老、サーモン、ステーキ、鶏肉に加えて、フルーツサラダにクッキーなどのデザートも。お肉の質の良さでも定評があるお店のお肉を使用した、なかなか豪華な内容でした。旦那さんの職場でも「今日はべーべキュー!」という日があるので、やっぱり夏のアメリカにおいて、バーベキューは鉄板のようですね。
私は日本にいるころ、仕事で、毎年、夏の3週末は海辺でバーベキューをしていました。お肉、焼きそば、おにぎり、キャベツ、ピーマン、玉ねぎなどの野菜にスイカ。仕事の一環のバーベキューだったので、物理的な体の疲れ、気分の高揚、そして、その後の片づけへの懸念なども含め、かなり独特な環境下ではありましたが、私にとっては大切なバーベキューの思い出です。回数からいったら、一生分のバーベキューを既に経験済と言えるかもしれません。そんな中でも、絶品としか言いようがないバーべーキューがありました。場所は南伊豆。獲れたて新鮮な魚介類が盛りだくさん。特大の海老のおいしかったことと言ったら!サザエやハマグリも食べ放題状態。手伝いに集まってくれた地元のおっちゃんたちの「肉はいいから海老を食え~」という声が今でも耳に残ります。おばちゃんたちは、大きなお鍋で伊勢海老のお味噌汁を作ってくれたっけ。
同じバーベキューと言っても、いろいろあるものですね。アメリカの肉三昧のバーベキューもいいものですが、海辺で食べた新鮮な魚介類三昧のバーベキューに勝るものはないな、と今でも懐かしく思い出す、どこまでも日本人の私。「熱々の海老の頭を外して、その頭の方をチュゥチュゥするのが最高なの!そこに海老のエキスがつまっているんだよ!」と、うちの旦那さんにいくら熱弁しても、全く理解されないんだよなぁ。
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